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2015年度当初予算編成に対する申し入れ
2014年08月28日

政策局


  1. 安倍自・公政権はこの間、憲法を踏みにじる集団的自衛権行使容認の閣議決定をはじめ、消費税大増税、原発再稼働、沖縄・米軍新基地建設など、どの分野でも国民の利益を踏みつけにした「亡国の政治」を強行している。さらに、生活保護のさらなる改悪や、年金、介護、医療、保育分野などのあらゆる社会保障の切り下げも強行するなど悪政の限りを尽くしているといわなければならない。こうした国の施策が進められれば、市民のくらしに多大な影響を及ぼすことになるのは必至である。
    このような悪政の防波堤として、地方自治体である西宮市が最も大切にすべきは、憲法と地方自治法の精神としての「住民福祉」の増進である。
    市長は、集団的自衛権行使容認問題や原発再稼働問題等については、「国政に関することについてはコメントしない」旨の議会答弁を行った。国政の動向により48万市民に多大な影響を及ぼすことから、市のリーダーとしての責任回避と言わなければならない。今後は、住民の命とくらしを脅かすことに対してはきっぱりと反対し、地方自治の本旨を貫く立場での行政運営を行うこと。


  2. 安倍自・公政権は、2015年10月から消費税を10%に引き上げる構えである。「アベノミクス」は「株ノミクス」と言われるように、一部大企業の株価をあげ、一部大資産家や投資家に大きな利益をもたらすだけである。このような中、庶民の暮らしは悪化の一途をたどり、働く人の所得は増えないのに物価だけが上がる状況の中で、これ以上の消費税増税は行うべきではない。国に対し消費税増税実施反対の意思を示すこと。


  3. いま国において、道州制や「大阪都構想」など、地方自治のあり方を大きく変えようとする動きがある。現在「大阪都構想」については広く住民から批判されており、破たんしつつある。道州制は国の役割を外交、国家安全保障、司法などに限定し、教育や社会保障などの国民生活に関する責任は都道府県を廃止したさらなる広域の道州と自治体に対応させるという発想から生まれている。その中身はグローバル化の名のもとに、空港、高速道路、港湾などの大型公共事業を推進するための仕組みである。基本とされる自治体規模も人口30万人以上とするなど、さらなる市町村合併を進めるものとなっている。これまで進められてきた「平成の大合併」の検証もしないまま、国が本来果たすべき社会保障や教育などについて、財源の保証もせず地方に丸投げするような道州制には反対すること。


  4. 市長は「所信表明」の中で、自らを西宮市役所の経営者と位置づけている。さらに民間活力の積極的導入については、「民間でできることは民間に委ねる」としてごみ収集・学校給食・保育所や幼稚園等と事業名を挙げ、「市直営の方が安全」「直営の方が信頼できる」というような根拠が明確でない理屈は成り立たないと、一層の民営化や民間委託を強行する考え方を示した。この考え方の前提には、民間労働者の賃金をはじめとした労働条件の低さを肯定する立場がある。市が直営で事業を実施する中で、市民との強い信頼関係が築かれ、西宮として他市に誇る成果や実績を収めてきていることを直視すべきである。
    1. これ以上民営化等を進めず、住民の福祉の増進という市の責任を果たすこと。

    2. この間、指定管理者制度のもとで、プールでの死亡事故にみられる重大事故や市民サービスが後景に追いやられる事例が後を絶たない。この背景には、指定管理者選定過程において、指定管理料の低さが競われることから、選定事業者は利益を上げるためにさらに経費や人件費削減が行われる実態が指摘されている。
      市が選定した指定管理者については、その業務についてチェック機能を高めたモニタリングを今年度から実施しているが、その傾向を適宜議会にも報告し、民間委託も含め、労働条件の改善とともに、良質な公共サービスが提供されるよう、しっかり管理監督義務を果たすこと。

    3. 兵庫県の最低賃金は761円で、2014年10月には約15円程度引き上げられる予定である。しかし、ワーキングプアの解消にはほど遠いといわなければならない。最低賃金が生活保護基準より下回ることから、全国各地で、公契約条例の制定が相次いでいる。兵庫県でも三木市で2014年3月に条例制定され、1時間当たりの労働報酬下限額を820円と決め、7月1日より施行されている。西宮市としても公契約条例を制定し「官制ワーキングプア」を生まない仕組みを確立すること。

    4. 公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は今後とも導入しないこと。


  5. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざすとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものであり、現時点では当初のPFI手法は事実上破たんしている。
    市では、甲子園9番町市営住宅建て替えをPFI事業で実施し、地元企業の参入率は規定の30%を超え31.4%となった。しかし実際には、名義貸しのような実態があり、地元業者にはほとんど仕事が回っていないという声も聞かれる。またPFI事業は、これまでの10億円以上の工事から20億円以上の工事に修正されたが、PFI導入可能性調査等で市職員の膨大な時間と事務量が費やされるなど問題も多い。この際、PFI手法はやめること。


  6. アサヒビール工場跡地については、2014年2月にアサヒグループホールディングス(株)、アーク不動産(株)、西宮市の3者で、市が取得する3.8haの土地に市立中央病院や西宮消防署等整備することを盛り込んだ「基本協定」を締結し、2014年3月議会では、市の用地取得費約69億円の予算が圧倒的多数の賛成で可決された。しかし、4月実施の選挙で市長が交代し、今村新市長は所信表明で前市長のアサヒ跡地への市立中央病院等公共施設移転整備に関する計画を白紙撤回、用地取得も行なわず、移転整備予定であった西宮消防署と中央体育館は現地建替えするとした。その後、6月議会で設置された「アサヒビール工場跡地問題特別委員会」の論議を踏まえ、市長はアーク不動産(株)より、2.6haを西宮市土地開発公社が取得するとの方針訂正に至った。
    市長は用地購入の根拠を県立西宮病院と市立西宮病院を統合する際の、600床規模の新病院建設用地の候補地の一つとし、その用に供さなければ土地開発公社が取得する用地は売却するとしている。
    しかし、5年、10年先を見通したとき、西宮市にとって老朽化した公共施設は多数あり、市の行政課題解決のためにも軽々に「売却」すべきではなく、必要な公共施設整備など有効に取得土地の活用を図るべきである。当然、活用方法が決定されるまでの間は、暫定として市民が憩える公園等に利用すること。
    また、その他の土地の民間による開発については、西宮市として良好なまちづくりを誘導すること。


  7. 2009年3月に策定された10年間の「第4次西宮市総合計画」は中間年見直しが行われたが、市長交代による事業見直しなど新たな事態となっている。
    市長の政策変更に伴う見直しにあたっては、アサヒビール工場跡地に移転整備される予定であった中央体育館や西宮消防署は現地建替え、中央病院については県立西宮病院との統合での整備としている。これらの具体的な整備時期や整備方法、財政計画を明記すること。あわせて、他の老朽化の激しい保健所や学校、養護学校建替え等も精査のうえ計画にのせていくこと。その際、議会への報告とともに、議会の意見も充分反映させること。


  8. いま市では、全庁的に公共施設マネジメントに取り組んでおり、2014年6月議会では「公共施設適正配置審議会」より公民館や市民館、共同利用施設のあり方や配置について中間報告があった。その中には、単純に利用率の高い低い等で施設の統廃合を進めない旨が述べられていた。公民館や市民館は設置された歴史的背景や住民の要望の中で現在の配置となっており、それを無視した機械的な統廃合は強行しないこと。むしろ適正に配置されていない現実の是正こそが急がれる。また、共同利用施設については、当初の目的であった大阪空港離発着時の航空機騒音公害から市民生活を守るという点では、一定クリアされたことから今後のあり方の検討が求められる。その際、市民の利用が多いことから廃止することなく地域住民の施設として、現行では利用者の費用負担がない施設であることを十分考慮した活用を検討すること。


  9. 東日本大震災の発生や最近頻発する集中豪雨による土砂災害等で被災者が大幅に増加している。さらに、南海トラフ巨大地震に備えるためにも被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。以下の項目を国に要望すること。
    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。抜本的引き上げを早急におこなうこと。

    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小企業の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。


  10. 市長は、公共施設整備のために新たな土地を取得せず、現有市有地を有効活用するとしている。高須東小学校跡地については一部暫定的利用が行われているが、全市全庁的な視野で有効活用が図れるよう早期に検討すること。また、上下水道局所有の鯨池浄水場跡地については、次期水道事業会計における財政計画にも反映させるよう、政策局が中心になって活用方法を検討し、必要な土地については市が上下水道局から買い取るなど早急に行い、有効活用に結び付けること。


  11. 2014年3月補正では財政基金180億円、減債基金34億8000万円で両基金あわせると214億8000万円にのぼる。さらに2013年度決算では44億円の黒字となり、約250億円もの資金余裕となっている。また、団塊の世代の退職により人件費が減少し、公債費も減少傾向となるなど、今後は安定した財政状況が続くことになる。
    市としては200億円程度の基金保有が妥当との議会答弁があったが、自治体の大きな役割はいうまでもなく「住民の福祉の増進」である。高すぎる保育料の引き下げや国保料のさらなる引き下げ、学校配分予算など教育費の増額など住民サービス向上のため、財政の有効な活用を思い切って図る予算配分を行うこと。


  12. 旧福知山線廃線敷きは、年間を通して多くのハイキング者が訪れている。宝塚市側においては、同市がJR西日本から無償貸与を受けて整備されている。西宮市側においてもJR西日本に一定の整備を求め、管理は西宮市が行う形で正式なハイキング道となるようJR西日本との協議を早急にすすめること。