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2015年度当初予算編成に対する申し入れ
2014年08月28日

都市局


  1. 2013年、西宮市は文教住宅都市宣言から50年を迎えた。50年を超える市民と行政のまちづくりの取り組みが評価もされている。しかし、一方では、規制緩和による無秩序なマンション開発が西宮の住環境を悪化させ、学校の教室不足や保育所待機児童の増加などを引き起こしている。
    文教住宅都市にふさわしいまちづくりをすすめるためにも、以下のことに取り組むこと。
    1. 豊かな自然環境や住環境を保全し、文教住宅都市にふさわしいまちづくりを行うこと。同時に、阪神淡路大震災を経験した市として、東日本大震災の教訓をいかし、安全で安心な災害に強いまちづくり、環境にやさしいまちづくりを実践すること。

    2. 市長が公約している「無秩序なマンション開発などから西宮の住環境をまもるためのまちづくり基本条例」を早期に制定し、他の関連する条例や要綱などを含め、有効な開発規制に取り組むこと。


  2. この間、マンション開発規制については、西宮市は児童急増対策として「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとってきたとしているが、効果がなく後退している地域すらある。これは、教室不足にとどまらず、保育所や特養ホームなどの施設の不足もまねいている。開発抑制のための抜本的対策をはかるために以下のことに取り組むこと。
    1. 開発規制を有効なものとするため、早急に要綱を条例化すること。また、教室不足だけに着目せずに、保育所や福祉施設なども視野に入れたまちづくりという視点に立ったものに強化すること。

    2. 建て替えをした小学校区においては、教室不足が解消されたとして要綱の緩和が行われているが、逆に開発を促進することになる。条例化までの間、市全域を「準受け入れ困難地区」以上に規制すること。


  3. 開発指導について、以下のことを取り組むこと。
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」に基づく事業者による住民協議については、市として市民の立場に立ち事業者の指導を徹底すること。

    2. 開発区域への進入路が6m未満の場合の開発については、戸数制限を導入しているが、不十分である。さらに規制を強化すること。

    3. 500u未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらすなど、結果的に500u以上の開発を行うなどの「開発のがれ」 の事例がある。全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど、対応策を早急にたてること。

    4. この間、『大規模開発に伴う協力要請に関する指針』を改訂し、対象範囲として、5ha以上を2haに、300戸以上を200戸以上にするなど、一定の規制強化をした。一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供を求めるとともに、開発によって市に整備が求められる教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。


  4. アサヒビール西宮工場跡地の開発については、西宮市が3.8haを購入して公共施設を整備することを前提としたアサヒビールとの協定は、マンションや大型商業施設などを規制した市のまちづくりに協力する内容だったが、新市長が土地購入をやめたことから7月末に失効した。現在、市が2.6haを購入することとなったが、同地のまちづくりは振り出しに戻っている。今後は、土地所有者と協議し、地区計画での対応となる。集合住宅や大型商業施設、風俗営業などについて規制するよう、土地所有者と十分協議すること。


  5. 生産緑地は都市部での緑地の保全だけでなく、災害時の避難場所等の多面的役割を果たしている。この間、相続税が払えないなどの理由で生産緑地の解除が年々進んでいる。一度こわした農地を元に戻すのは大変であるとともに、緑地の減少にもつながる。生産緑地の保全を営農家だけにまかせるべきではない。
    この間、生産緑地の追加指定等にも取り組んでいるが、効果は小さい。生産緑地拡大にむけて、指定にかかる面積要件500uを縮小するなどの手立てをとるよう、国にも働きかけること。


  6. 第4次総合計画(中間改訂)において、「名神湾岸連絡線の計画の具体化などを国に要請する」と明記している。現在、計画段階評価におけるアンケート調査がおこなわれており、国は着々と計画をすすめている。しかし、これは不要不急の公共事業であるとともに環境悪化につながる。名神湾岸連絡線の整備に反対すること。


  7. 第4次総合計画(中間改訂)で、「阪神西宮駅について民間主導の駅前整備に向けた検討を行う」としているが、不要な事業である。計画は撤回すること。


  8. 阪急神戸線武庫川部の新駅は、いわゆる「請願駅」となり、多大な市の負担が生じることが予測される。慎重に検討すること。


  9. JR甲子園口駅北側は、歩行者や自転車、バスなどが交錯し、「市内でも有数の危険な地区」と、市も認識している。用地の取得を含め、駅前広場の整備を早期に取り組むこと。


  10. JR西宮名塩駅は、屋外エレベーターの整備がすすめられ、2016年度完成予定となっている。駅外には上りエスカレーターしか設置されていない。下りエスカレーターを設置するよう、引き続き関係機関にはたらきかけること。


  11. 市民生活を支援するための公共交通の充実を図ることが求められているが、なかなか進んでいない。特に、地域交通の柱となるバス交通については、高齢者の社会参加促進とともに、通学区がますます拡大する高校生の通学保障の面からも、拡充が急がれる。以下の項目に取り組むこと。
    1. この間、新規を含め路線の拡充に取り組まれている。引き続き、住民要望に基づく路線開拓に努めること。特に、臨港線経由の西宮浜と阪神甲子園駅を結ぶ新規路線の平日運行、西宮市立中央病院を経由する路線の増便についても取り組むこと。

    2. 南北バス(さくらやまなみバス)については、運営費の赤字を市が財源補填する形で継続運行している。今後も、効率的な経営につとめ、市が責任をもって運行を継続させること。

    3. 交通不便地域については、それぞれの地域でのニーズや課題を深める努力が必要である。交通不便地域対策の予算を増額して公共交通政策に生かすこと。コミュニティバス運行は地域住民まかせではなく市が主体性をもって進めること。

    4. 北部の住宅開発地区では高齢化がすすんでおり、生活圏が広域で高低差があることから公共交通の整備が不可欠である。生瀬地区では住民により、コミュニティ交通導入にむけ、「ぐるっと生瀬運行協議会(準備会)」が設置され、試験運行の取り組みなどが行われている。早期に本格運行できるように支援すること。

    5. 西宮市内では、バスを乗り継がなければ目的地に到達できない場合の「乗り継ぎ」割引制がないため市民や高校生の負担が大きくなっている。同一バス会社の乗り継ぎとともに、阪神と阪急を相互に乗り継ぐ場合も運賃が割引となるよう、市は関係者と協議を行うこと。


  12. 西宮市の南部と北部を結ぶ西宮北有料道路(盤滝トンネル)は、住民の要望や議会の取り組みを経て、兵庫県は3年前倒しで、2018年度無料化実施の方向を示した。
    しかし、収益状況からも、もっと早い時期に無料化は可能である。「無料化にあたっては損失補填引当金の活用ができる」という国の見解が明らかになっているにもかかわらず、活用することになっていない。加えて、無料化までに前例のない大規模改修を行うことになっており、無料化を遅らせる阻害要因となっている。特に、笹子トンネル事故以後、大規模改修の時期や内容も明らかとなっておらず、放置状態となっている。
    より早期の無料化実施にむけ、兵庫県と県道路公社との協議をすすめ、あらゆる可能性を追求すること。


  13. 北部山口地域の渋滞は、地域住民の生活に影響を及ぼしている。北有料道路の早期無料化の実施も考慮し、国道176号の整備を含め、早急に渋滞解消のための対策を講じること。


  14. UR(都市再生機構)による浜甲子園団地の建て替え事業は、長期にわたる事業であり、まちづくりに対する市の主体性が求められる。以下の点に取り組むこと。
    1. さくら街に続き、なぎさ街が完成した。新たに特養ホームが設置され、戸建住宅も計画されている。現在、2期建築が行われているが、今後の課題は、残る団地の建て替えとともに、保育所・集会施設、商業施設等の整備である。早期に整備計画が示されるようURと協議をすること。

    2. これまでの建て替えでは、来客用駐車場の不足等、多様な住民の要望、意見が十分に取り入れられなかった。多数の住民の意見が反映されるような場を設けること。

    3. 戻り入居者は高齢者が多く、一定の配慮はされているものの、高くなった家賃負担は深刻である。家賃の引き下げをURに求めること。

    4. 建て替え前の団地街は、道路・通路なども老朽化が進んでいる。この間、一定の道路補修が行われたが、大きな段差などは生活に支障がでないようURと協議の上、全体計画工事前であっても早めに補修などに取り組むこと。


  15. 市営住宅について
    1. 市は現在約9,600戸の市営住宅を1,000戸減らす内容の「西宮市営住宅整備・管理計画」をすすめている。しかし、貧困と格差が広がり、不況が追い打ちをかけるなか、年々市営住宅への入居希望者は増大している。ところが、新市長はさらに住宅戸数の削減を目的に「整備・管理計画」の見直しを表明している。これは、市民の実情と大きくかけ離れており、福祉的観点からも市営住宅削減計画は撤回し、市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。

    2. 不足している障害者、高齢者仕様のバリアフリー住宅を多数整備すること。

    3. 現在、市営住宅の管理について、北部、中部、南部管理センターとして地域を分け、指定管理者を選定、募集業務は北部管理センターが行なっている。しかし、市営住宅は福祉的な対応が求められることから、指定管理者では、入居者の様々な要求や相談に、迅速かつ責任ある対応ができない。しかも、2013年度からの指定管理者選定において、北部センターの指定候補に不祥事があることがわかり、議案を取り下げ、前期の指定管理者が1年間のみ継続して指定管理者とする措置をとる不測の事態を招いた。このことも踏まえ、市営住宅の管理は市直営に戻すよう検討すること。

    4. 空き家募集の際、多回数落選者優先制度を復活させること。

    5. 階段型市営住宅へのエレベーター設置は、電気代等の共益費の新たな負担が生じることから、住民全員の合意を得ることが困難なため、すすんでいない。未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。

    6. 市営住宅の共益費徴収については住民間のトラブルのもととなっている。改良住宅では、共益費の負担はない。福祉的な観点からも、公平性の観点からも、共益費廃止で統一するよう検討すること。それまでの間は、市が責任を持って徴収すること。
      あわせて、現在入居者に義務付けられている共用部分の清掃など、維持管理についても、高齢化などにより困難な事態が生じている。市が責任をもって行うよう改めること。

    7. 一般住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いは、一部残されており、同一基準とすること。

    8. 名義の承継について、「配偶者に限るように」との国の通知(指針・ガイドラインとして)があるが、これは低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き、市の現行方針で慎重に対応すること。

    9. 市営住宅団地自治会等の運営費や駐車場管理費の問題をめぐるトラブルが多く発生している。市は適切に指導するなど、引き続き、責任をもって対応すること。


  16. UR(都市再生機構)借り上げ市営住宅については、兵庫県や他市が全世帯あるいは一部世帯の継続入居を認める方針を示す中で、西宮市だけが、URへの全住宅の返還、全員転居の方針となっており、入居者に大きな不安と負担を与えている。入居者の高齢化が進み、転居そのものが困難なことと同時に、これまで築いてきたコミュニティに支えられて暮らしてきた入居者が住み慣れた住宅を離れることは、命に関わる問題となっている。以下の点について取り組むこと。
    1. 直ちに方針を改め、希望者全員が継続入居できるようにすること。

    2. シティハイツ西宮北口(青木町)は、2015年9月末に借上げ期限をむかえるが、転居できない世帯が多数残される。設置された庁内連携会議は転居を強要するためにではなく、転居ができない世帯へ支援するために力を発揮するべきである。転居できない世帯の対応として、URと住戸借り(ばら借り)の契約交渉、そのための予算計上、国への支援要請に、直ちに取り組むこと。


  17. 特定優良賃貸住宅制度は国が推進した施策であるが、年次的に補助額が減り、家賃が上がるため、空き家が増加している。空き家による家主の収入減を都市整備公社が補填する仕組みとなっており、その財源の市の負担も増えている。20年間の期限(2017年度)までは国の補助金を拡充するなど、国が責任を持つよう強く求めること。


  18. 西宮市内は家賃が高い。青年や高齢者など低所得者に対して、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。


  19. 東日本大震災などにみられるように全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が急がれる。県の耐震診断と耐震補強についての補助制度とともに、市の補助制度が上乗せされたが、個人住宅の耐震化を一層進めるため、さらに制度を拡充すること。


  20. 市内には消防など緊急車両の通行に支障がある4m未満の狭あい道路が多数残っており、拡幅整備が必要である。しかし、遅々として進んでいない。住宅建築の際に市との協議を条例で義務付ける、市の助成制度を拡充(私道への助成)するなど、狭あい道路の解消を積極的にすすめること。