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佐藤みち子の反対討論
2014年09月29日

2013年度決算の反対討論


 ただいま上程中の決算認定のうち、認定第20号、2013年(平成25年度)西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。
 以下、討論を行います。

 安倍首相は9月3日、2012年12月の安倍内閣発足以降、初となる内閣改造・自民党役員人事を行い、安全保障法制担当相、地方創生担当相を新設しました。安倍首相を含めて19人の閣僚のうち15人が、日本の侵略戦争を正当化する改憲・右翼団体「日本会議」を支援するために作られた「日本会議国会議員懇談会」の所属議員です。戦争する国づくりへの布陣だといわなければなりません。
 今、焦眉の問題となっている集団的自衛権行使の容認、原発再稼働、消費税10%の再増税、沖縄の米軍新基地建設等、いずれの問題でも反対世論は過半数にのぼり、沖縄の新基地建設中止は県民世論調査で80,2%に達しました。これら「反対世論」は保守政治を中枢で支えてきた人々を含めた声となっているのが特徴です。いま、国民が求めているのは、大臣の顔のすげ替えではなく日本を亡ぼし、国民を亡ぼす安倍亡国政治に一刻も早く終止符打ちたい政治を変えたいということではないでしょうか。
 西宮市では、2014年4月に市長選挙が行われ、河野市政から今村市政に変わりました。今村市長は、国民の中で大問題である原発や集団的自衛権行使容認等については「国政の判断に委ねるべきもの、市長として特段の意見を言う立場にない」と発言しています。国が一層の悪政を行うとき、その防波堤になるのが地方自治体であり、その役割は重大です。今村市長には、平和を守り市民の命を守ること、そして、地方自治の本旨に沿って「住民の福祉の増進」を進めるよう要望するものです。

 さて、2013年度決算は、一般会計、特別会計合わせて歳入で2,464億7,400万円、歳出で2,399億8,200万円、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は62億1,200万円の黒字となりました。一般会計の黒字額は44億8,000万円です。歳入の根幹となる市税は830億800万円で、個人市民税の増などにより8億1,251万円増加しています。地方交付税は、市税及び交付金の増に伴う基準財政収入額の増額などにより10億8,300万円減少しています。歳入の大きなものは、学校給食の公会計化に伴う学校給食費負担金収入による諸収入で22億4,000万円、仮称第46小学校新設に伴う代替用地の売り払い収入の増などにより財産収入で15億9,200万円増加しています。市債では、2012年度に東部総合処理センターが完成したことによる整備事業債の皆減などにより15億8,800万円減少しています。歳出では用地取得に伴う仮称第46小学校新設事業費の増や学校給食費の公会計化による給食物資購入経費の皆増などにより教育費で48億7,369万円、被保護世帯数の増加等による生活保護扶助事業経費の増や障害福祉サービス利用増加による障害者介護給付費等事業経費の増などにより民生費で20億3,100万円、増加しています。
 また、特別会計では歳入総額807億1,500万円、歳出総額は789億7,700万円です。
 歳出では33億5,900万円増加しています。基金積立金の増などにより国民健康保険会計で22億805万円、保険給付費の増などにより介護保険特別会計で7億5,800万円増です。
 市民要求との関連では、地元中小業者の仕事起こしにつながる住宅リフォーム助成制度については本格実施を望む要望に対して2年連続モデル事業で実施となりました。民間保育所1,2歳児の保育士配置基準が子ども5人に対して保育士1人に上乗せ、国民健康保険料抑制のためひきつづき10億円の繰り入れ、はり・きゅう・マッサージ等の福祉医療費の受領委任払い実施、小・中学校校舎の耐震化の完了、中学校の普通教室にエアコンの設置等々は評価をするものです。
 基金の状況は、2014年3月末では財政・減債基金を合わせると214億7,000万円になります。さらに2013年度の決算額が44億円の黒字と、約250億円もの資金余裕となります。今後は人件費が減少し公債費も減少傾向となるなど、安定した財政状況が続くと見込まれます。経済の先行きは不透明で2014年4月には消費税8%への増税が強行され市民は暮らしの先行きに大きな不安を抱えています。市としては200億円程度の基金保有が妥当だとしていますが、現状ではそれをはるかに超えています。地方自治体の本旨は「住民の福祉の増進」です。無駄な大型公共事業にはつぎこまず、国民健康保険料の引き下げ等、住民サービスの向上のため財政の有効活用を思い切って図ることを求めます。

 以下、具体的な事業、施策について、反対箇所、問題点、意見を述べます。
 1点目、UR借り上げ市営住宅については、他の自治体が全部あるいは一部の継続入居を認める方針で対応しているにもかかわらず、西宮市は、継続入居を認める方針を持っていません。高齢化した入居者を無理やり追い出すような市のやり方は断じて認めるわけにはいきません。反対です。市は住み替え困難な入居者に対してまで、法的措置の手続きをとるとの強権的な手段を示していますが、言語道断です。継続入居の方針への転換を直ちに求めるものです。なお、この根底にある市営住宅の管理戸数の大幅削減計画をやめるよう強く求めます。これに関連して市営住宅を含む公共施設マネジメントの機械的な2割削減に反対です。
 2点目は、食肉センター特別会計についてです。これまでも指摘し続けているとおり、解体処理された食肉はそのほとんどが市外に流通しており、毎年多額の市税を投入し、施設を維持管理していることに市民の理解は得られないと考えます。
 2004年(H16年)の検討委員会の提言ではその一つに完全民営化があげられ、その後、関係事業者との協議では公設民営化が検討されましたが不調に終わり、指定管理者制度での運営で、今日に至っています。
 2013年度の一般会計からの繰り出しは、1億4395万円、うち公債費分3041万円を除いた分が運営経費に充てられ、運営費に対する一般会計繰入率は42・0%です。また、これまでの設備投資のための市債(市の借金)の残高は2013年度末で3億3336万円、今後の老朽化対策で2018年(平成30年)までに予定されている投資は現時点で1億8500万円とのことでした。
 検討委員会当時と比較すれば多少の改善があるとはいえ、ひきつづき市税の投入と市民負担は多大です。市民へのメリットもまったくなく、市が食肉センター事業を続けるべきではない、県など広域で担っていくべき事業であるという検討委員会の提言は、今でも通用する道理にかなったものです。そして、完全民営化や公設民営化が議論された経過からすれば、少なくとも運営経費については独立採算が本来あるべき姿です。検討委員会の提言の立場にあらためて立ち返り、食肉センターの民営化、または閉鎖を求めます。
 また、このたびの審査では、一般会計からの繰り出しに、食肉センター事業にもっぱら従事している3人の職員の人件費が含まれていないことが明らかになりました。他の特別会計では当然に繰り出しに含め、人件費として歳出しているものです。当局は従来より現場での従事者のみ繰り出しとしてきた、過去との比較のために問題なしと答弁される一方、財政当局とも協議するとされました。一般会計からの繰り出しを少なく見せようという意図が働いているものと思われますが、事業実態が会計に反映されるよう、他の特別会計と同様な財政処理に是正するよう求めるものです。
 毎年1億円を超える一般財源を投入し続けていることに反対です。
 3点目は、介護保険についてです。2015年4月から要支援者へのヘルパー、デイサービスについては市町村が独自に実施する「新たな介護予防・日常生活支援総合事業」として代替するサービスが行われることになります。適切な介護や支援を受けることができなければ重度化し、尊厳をもった自立生活を送ることが困難になります。市では介護保険非該当の方に専門家による介護サービスを提供しています。介護が必要だと認定されている要支援者に対して現行サービス水準を後退させないよう、あらゆる手だてを講じることを求めます。
 4点目は、子ども・子育て支援新制度についてです。2013年4月、市は保育所待機児童がゼロになったと発表しました。しかし、待機児童の基準は厚生労働省がしめしているもので実際には保育所に入れなかった子どもは250人にもなっており市にとって待機児童対策は今後も重要な課題にかわりありません。さて、2015年4月から新しく始まる新制度ですが制度自体が複雑で関係者はもとより当事者である子育て家庭にも十分理解されていない状況ですすめられようとしていることに憤りを感じます。新制度は、保育への公的責任を大きく後退させ、安上がりの保育を進めようとするものです。新制度では補助金の対象となる施設等の種類が増えることになりますが施設間の基準に格差をつけないことや保育士の配置基準についても認可保育所と同様にすることが望まれます。現行保育水準を低下させることのないよう、また、基準については引き上げるよう求めておきます。
 5点目は、国民健康保険会計についてです。国民健康保険についても、国の果たすべき責任を縮小、放棄する広域化をすすめようとしていますが、誰もが安心して医療にかかれる制度を目指すべきです。高過ぎて払えない保険料について、市は、市民の声を反映させ2012年度より一般会計から10億円の繰り入れを行い、一定保険料の抑制をしてきました。新年度も引き続き保険料抑制及び減免拡充のための一般会計からの繰り入れを継続するとともにさらに引き下げることを目指して繰り入れ額の増額、財政安定化基金の活用を求めます。
 6点目は、教育についてです。安倍内閣は教育委員会廃止の方向を目指しましたが、地方の教育委員会や学校管理職もほとんどが廃止反対をしたことから、教育委員会制度は残されることになりました。「新教育長」については首長が任命することになりましたが教育委員会として合議制は残されました。会議の公開、教育への見識や専門性を持つ人物の確保など、教育委員会の役割が発揮されることを要望しておきます。
 また、学校施設の老朽化については早急に検討し優先順位を決めて着手することを強く求めます。施設の改修費についても予算の増額を求めておきます。1995年度の約5〜6割に減額されている学校配分予算については大幅に増額しその積算根拠となる学校運営費標準については早急に見直しを進めるよう要望します。
 7点目、水道及び下水道料金についてです。わが党議員団は、これまで繰り返し料金の引き下げと基本料金制の見直しを求めてきました。2014年3月議会で上下水道事業管理者は2016年度より前に水道料金と下水道使用料金の料金体系の見直しを同時にしたい旨の答弁がありました。特に水道料金については長期的に阪神水道企業団からの受水がふえることや浄水場を統廃合することによる経費削減等、財政的に好材料が多くなっています。確実に基本料金の見直し実施を求めます。
 特に水道料金については、約23億円の内部留保金を活用し、引き下げを求めます。その財源として、早期に鯨池浄水場跡地の活用を検討し、売却による収入増を図るべきです。
 最後に病院問題について述べます。
 市長は、県市統合を目指すとしていますが、その可能性はまったく見えてきません。そのもとで現中央病院は現在の診療を現地で続けることになりました。
 この先10年〜20年間を見通した耐震補強、全館リニューアルによる老朽化対策、ライナック等高度医療機器の更新はまったなしです。
 2013年度決算でも2億円を超す資金不足となっており経営改善もあと遅りにはできません。新改革プランを地に足のついた内容で早期に見直すことを求めておきます。
  
 以上、新年度予算編成に生かしていただきたいことを含めて述べました。
 決算分科会でわが党議員団は多くの点で意見を述べています。これらを真摯に受け止め予算案に反映させていただくことをもとめ、日本共産党西宮市会議員団の討論とします。