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2016年度当初予算編成に対する申し入れ:産業環境局
2015年09月01日

産業環境局


  1. 脱原発をめざし自然エネルギーへの転換を
    2014年5月、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働差し止めを求めた訴訟で、福井地裁は運転差し止めを命じる画期的な判決を下した。また、高浜原発3、4号機の再稼働差し止め訴訟でも2015年4月、福井地裁は再稼働中止の仮処分決定を行った。
    大飯原発再稼働訴訟で「危険」と判断された大飯原発から250キロ圏内に西宮市は含まれている。また、日本列島の各原発に当てはめれば、北海道の一部と沖縄を除いて列島は危険区域にすっぽり収まり、日本に原発は「立地不適」を示している。
    そうしたなか、安倍政権は川内原発を皮切りに、各地の原発再稼働をもくろんでいるが、福井地裁の判決と国民の「原発ゼロ」の圧倒的世論を真摯にかつ重く受け止め、再稼働は即時断念し、原発ゼロへと進むべきある。次のことに取り組むこと。

    1. 市として原発再稼働反対の意思表示をはっきり行うこと。

    2. 市においても再生可能エネルギーへの転換を促進するために、「再生可能エネルギー・省エネルギー推進計画」における目標を早期に達成できるよう具体的な取り組みを強めること。

    3. 太陽光発電の公共施設への設置を大胆に計画し実行すること。

    4. 個人住宅用太陽光
      発電システム設置補助制度の利用が促進されているが、さらに設置を増やすため補助金の増額を進めること。また、飯田市などの先進例に学び、自己負担なしで太陽光発電システムを設置できる制度を創設すること。国や県に補助制度を復活させるよう求めること。また、自然再生エネルギーの買取価格が年々引き下げられていることから、2012年水準に戻すよう国に求めること。

    5. バリアフリー法で共有部分にも補助がでることになったマンションにも太陽光発電設置の助成を行い、あわせて設置住宅等への固定資産税の減免をはかること。

    6. 民間企業にも太陽光発電の積極的導入を働きかけること。

    7. 市も節電対策に取り組んでいるがいっそうとりくみを強め、さらに、民間事業者を巻き込んだ節電コンテストなど、具体的な節電意識の向上へのとりくみを進めること。その景品については、電気の使用増大に繋がるようなものはやめること。

  2.  
  3. 地球温暖化抑止の取り組みについて
    厳しい干ばつや大洪水、局地的豪雨など、地球温暖化の影響とみられる異常気象が世界各地、日本国内でも頻発している。世界第5位の温室効果ガス排出国である日本が削減の国際的責任を果たすのは当然であり、それに見合う対策を国や県、市も果たさなければない。市として次のことに取り組むこと。

    1. 政府はこの7月17日、温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で26パーセント削減することを決め、同日、国連にも通知をした。しかし、その目標は自然再生可能エネルギーの増加だけでなく、原発の増加が前提となっている。原発で事故が起きれば命や健康に加え、環境に悪影響を及ぼすことは明らかである。抜本的に自然再生エネルギーを増やすことを通じて目標達成に努力するよう、国に求めること。

    2. 地球温暖化抑止について本市は、「持続可能な地域づくり ECOプラン−西宮市地球温暖化対策地方公共団体実行計画」などに基づいてとりくんでいるが、脱原発を踏まえた目標や計画に抜本的に改めること。また市内最大の事業者として、市が実施状況を公表し温暖化対策をアピールすることによって、市内の事業者にも計画の策定と実行を求めること。

    3. この間取り組まれている庁舎の屋上緑化や緑のカーテンも室温を下げるなどの一定の効果があることから、他の公共施設についても実施すること。

    4. 店舗の看板や店内照明および自動販売機については、過剰な電光の使用を抑制するようひきつづき指導すること。また、市庁舎内の自動販売機を減らすこと。


  4. 神戸製鋼所が、灘区にある石炭火力発電所に新たに2機を増設する計画をすすめている。稼働すれば温室効果ガスの大幅な排出となり、西宮市にも環境面での影響を及ぼすことから、この計画に反対すること。


  5. 全国的に空き家がふえていることから、国は「空き家対策特別措置法」を制定し、すでに、この5月から施行がおこなわれている。市として市内の状況を十分把握し、その活用も含めた条例化の検討など、有効な対策を講じること。


  6. ごみの減量化推進のために、以下のことに取り組むこと。

    1. ごみの発生を生産段階から削減するためには、ごみ処理を自治体と住民に負担を押しつける現行制度について、OECDが日本政府に勧告している「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要であり、ひきつづき国に求めること。

    2. 粗大ごみや家電4製品等の不法投棄が多い。特に、家電4製品の不法投棄を誘発する「家電リサイクル法」について、リサイクル料金等の製品価格への内部化を義務づけるよう国に求めること。また、引き続き不法投棄のパトロールを強めること。

    3. 家庭用ゴミ収集については有料化を絶対におこなわないこと。

    4. ゴミ収集の業者委託は、市内6割以上へと拡大してきた。災害時の対応や、民間への適切な指導上の必要があることからも、これ以上の民間委託は行わないこと。

    5. その他プラスチック製容器包装の分別収集については、2013年4月から全市で本格実施されているが、目標値には程遠い状況が続いている。このまま推移すれば協力事業所を2社から1社に減らすとの議会答弁もあるが、いっそう分別・リサイクルの重要性の周知を図り、回収の増加をはかること。また、ビン類やその他紙類などの分別収集を早期に実施すること。

    6. 2016年度から小型家電の回収が民間事業者の協力もえて一年間行われ、その後市の責任で本格回収される見通しとなった。他の自治体の取り組みも参考に、回収量を増やすこと。

    7. ごみ減量・再資源化を促進するうえでカギを握るのは事業系一般廃棄物や産業廃棄物である。この分野での再資源化をさらに強化すること。

    8. 不燃ゴミのコンテナの軽量化がはかられているが、さらにすすめること。


  7. 西部総合処理センターについて、破砕選別施設は2022年度まで、焼却炉については2027年度までの使用予定となっているが、それまでに別の場所に整備することになる。市民の環境意識の高まりなどから可燃ごみは減少傾向にあることから、特に焼却炉の新設規模については、過大にならないよう整備すること。


  8. 依然として産業廃棄物の不法投棄がある。引き続き監視カメラの設置や立ち入り調査などに取り組み、不法投棄のルートや関与者を解明し、違反者には厳しい指導を行うとともに、排出者の責任で撤去させること。


  9. 市は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」を目的としていた大阪国際空港周辺都市対策協議会に属し、環境・安全対策を求めてきたが、同協議会はジェット機の増便を求めるなど、利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調し、当初の目的から大きく変容しつつある。大阪空港廃止を主張する大阪市は同協議会から脱退した。市も脱退すること。
    また、大阪空港は「欠陥空港」であり、安全面からも早期の撤去を国に求めること。


  10. ぜんそくやがんなどを引き起こすといわれている「olM2.5」(微小粒子状物質)については2009年9月に環境基準が設定され、測定場所が2015年度は4か所から5か所に増やされるが、さらに測定局を増やし、観測態勢をいっそう強化すること。


  11. 快適な市民生活を確保するために、以下のことを実施すること。

    1. 24時間営業の店舗や焼肉店、カラオケ店など、臭気、騒音、光などの苦情に応え、指導できるように「快適な市民生活の確保に関する条例」を実効ある内容に抜本的改正し、市民の要望にこたえられるようにすること。

    2. 花火などの騒音や生活騒音におけるトラブルが増えている。特に花火については、条例に基づき、パトロールを実施しているが、なお市民からの苦情が後を絶たない。特に香櫨園浜や甲子園浜などでの、夜間の花火禁止を条例に盛り込むこと。

    3. 同条例において市内公共の場所における歩きたばこ(自転車運転中の喫煙を含む)を規制しているが、依然として歩きたばこは多い。喫煙マナー向上に向け、さらに啓発を進めること。また、阪神西宮駅北側から市役所周辺にかけての一部のエリアを喫煙禁止区域とし、禁止区域内での違反者に対して過料の徴収をしている。しかし、禁止区域内に阪神西宮駅北側エビスタ広場などの喫煙可能場所を設けているのは、趣旨に反する。喫煙可能場所を廃止すること。


  12. 地域経済の活性化と中小零細企業・業者対策について

    1. 地域経済を守り発展させるために、市内事業者や市民、行政の役割や責任を明確にし、意見や要望を十分に反映させた「地域経済振興条例」を早期に制定すること。

    2. 商店・市場の振興策としての共同施設・設備などの新設・改修に対する補助を、小規模施設については1000万円に引き上げるなど、小規模小売業者の意見も聞き、振興策をひろげ充実させること。

    3. 現在実施されている中小企業を対象にした融資制度について、無担保、無保証人融資の限度額の引き上げ、利率の思い切った引き下げ、信用保証料の市負担分について融資額300万円を500万円に引き上げるなど、借り入れ希望者が容易に借りられるよう制度の改善を図ること。


  13. 「住宅リフォーム助成制度」が2年のモデル実施を経て2014年度から本格実施され、市民と地元業者に喜ばれている。予算を大幅に増額すること。さらに店舗や事務所のリフォームへの拡大も検討すること。


  14. 公契約条例制定について
    市が発注する業務委託や、指定管理者による施設の維持・管理などは、直接市民生活に関わる重要な市民サービスであり、公契約である。ところが、低価格で受託する事業者が増え、そこで働く労働者が低賃金低労働条件を押し付けられ、しわ寄せを受けている。
    公共事業において、「安かろう、悪かろう」がまかり通り、「ワーキングプア」をつくりだすことがあってはならない。サービスの質の向上を進めるためにも、従事労働者の適正賃金確保と、事業者の安定経営が両立する早急な改善が求められる。

    1. 市は、労働者の賃金や労働条件は労使間で処理すべきものとし、当面「公契約条例を制定しない」と結論付けた。条例によらなくても賃金や労働条件確保に取り組むとしているが、目に見える成果につながっていない。いっそうの研究・改善をはかること。

    2. 市は指定管理者制度におけるモニタリングを実施しているが、その調査票の公開をはじめ、その中の特徴的傾向を適宜議会に報告するとともに、その中身をよく分析した上で、さらに公共サービスの向上や、従事労働者の適正賃金確保に寄与できるよう活かすこと。

    3. 公契約により業務に従事する労働者の実態は「賃金台帳」の提出によって把握することが可能となり、適正賃金への是正が進む。その際の賃金台帳は事業者の負担とならない方法が先進市では取り入れられている。このことにより公契約条例制定に対しての懸案事項の一つが解消される。これらをよく研究し、公契約条例」制定について引き続き検討すること。


  15. 勤労福祉対策について

    1. 雇用情勢がますます厳しくなる中、「人間らしく働ける」ルールの確立が求められる。さらに青年労働者をすりつぶすいわゆる「ブラック企業」や「ブラックアルバイト」の問題が注目されている。明確な労働基準法違反についてはきびしく是正を行わせることや、その一因である「労働者派遣法」改悪をやめさせるよう国に対し強く求めること。また、最低賃金については大幅な引き上げ(1000円以上)を求めること。

    2. 就労支援事業として「西宮若者サポートステーション」や「しごとサポートウェーブにしきた」など、国、県の事業を活用したとりくみが行われている。事業の継続、拡充をはかること。


  16. 中小企業勤労者福祉共済は、市内で事業を行っている常用従業員が300人以下の事業所を対象にパートタイマーも加入できるようになっているが、加入率は毎年低下している。共済事業の広域化などで内容を魅力あるものにするなどして加入を促進し、市内労働者の福利厚生に寄与すること。


  17. 勤労会館、青少年ホーム、サンアビリティーズの3施設は老朽化が進んでいる。勤労者施策や青少年施策などに果たす役割は大変大きく、利用率も高い。必要な老朽化対策をすすめ、トイレの洋式化や古い椅子の更新をおこなうこと。また、市直営を堅持すること。


  18. 医療や保険、農業などあらゆる分野に多大の悪影響を及ぼし、地域経済を破壊する、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加に反対すること。


  19. 市内で生産している軟弱野菜などの地産地消をすすめるよう直販所増設などに取り組み、西宮の農業を守り、育成すること。また学校給食で使用される市内農産物の提供農家に対し、市場出荷分に見合う価格保障を行うこと。


  20. 団塊世代を中心に、市民農園利用の希望が多くなっている。耕作放棄地や遊休市有地等を活用して、市民農園を拡充すること。


  21. 有害鳥獣対策に、いっそう力を入れること。特にごみを荒らすカラス、イノシシ対策は、実情をよく踏まえて取り組みを強めること。


  22. 新種の詐欺行為が横行し、いわゆる特殊詐欺による消費者被害はあとを絶たない。消費生活センターからの情報提供をより充実させ、相談内容の複雑化や多様化に対応できる体制を確保すること。


  23. 食肉センターで解体処理された牛・豚肉はそのほとんどが市外に流通しており、毎年1億円以上の経費に対する市税の投入や、施設の老朽化対策のための今後の税投入は市民の理解が得られない。また、西宮食肉事業協同組合に加盟する事業者で構成される株式会社が指定管理者となっているが、何の競争性も担保されず、独占状態である。以上のことから、食肉センターは、検討委員会の提言通り、直ちに民営化、または閉鎖すること。