2016年度当初予算編成に対する申し入れ:こども支援局/* --項目挿入-- */?>
2015年09月01日
こども支援局
- 子どもを取り巻く社会環境が悪化し、児童虐待や子どもが加害者となる事件も頻発している。そうしたなか、子どもたち一人一人がかけがえのない存在であることを確認し、子どもの育成の基本理念を定め、家庭、学校等、地域住民、事業主及び市の役割を明確にするとともに、現在市でとりくまれている様々な子育て支援や、教育施策を体系立ててのべる「子ども条例」が制定されることには大きな意義がある。すでに阪神間 では川西市、宝塚市で制定され、全国的にも増えている。
「子育てするなら西宮」を標榜する市だからこそ、「子ども条例」を制定し、子どもを大切にする理念を市全体のものにすること。
- 多くの反対の声を押し切り、公的保育制度を後退させ、企業参入を促進させる子ども・子育て支援新制度(以下、新制度)が2015年4月、スタートした。政府は、新制度は待機児童解消や保育の量の拡大や質の改善につながるとしているが、それを保障するだけの財源は確保されていない。自治体も保育者、保護者も不安を抱えて施行されているが、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童の心身ともに健やかに育成する責任を負う」という児童福祉法の理念に照らして必要な対策を講じること。
- 新制度では、補助金の対象となる施設等の種類が増え、施設によって基準が別々につくられ条例化された。うち、認可保育所で実施されている1、2歳児への保育士配置基準(国基準6:1を上回り5:1)、4歳以上児に対する保育士配置基準は(国基準30:1を20:1)は、運用上は、幼保連携型認定こども園でも確保されることが子ども・子育て支援事業計画(以下、事業計画)に明記された。この際、運用でおこなっている認可保育所の1、2歳児への保育士配置基準を条例化し、認定こども園でも同様に条例を改正すること。
- 保育ルーム、小規模保育所などでは、保育士資格を必須としていないが、一方で「すべて保育士資格取得者とするよう努めていく」と事業計画に明記されている。必須とすること。
- 新制度では保育の利用に先立って、保育の必要性と、保育が必要な子どもについては保育短時間、保育標準時間の区分認定が行われる。特に必要量の認定については個々の条件を十分配慮して適切に行うこと。
- 公立、民間保育所以外は保護者と施設との直接契約となるが、それに先行して市は、保育利用申し込みを受け調整・あっせん・要請などを行うこととなる。ひきつづき、利 用者の要望などを正しく受けとめ、施設についての情報も細かく提供して親身に 相談にのり、適切な調整・あっせんを行うこと。
- 3歳までが対象の小規模保育、並びに2歳までが対象の保育ルームに入所した子どもがひきつづき保育を必要とする場合、継続して保育が受けられるようにすること。その際、卒園後の受け皿等の役割を担う連携施設制度の整備については2019年度末まで据え置きとなっているが、早急に整備すること。
- そもそも保育に営利はなじまない。西宮市では株式会社の参入は認めないこと。
- 保育料について一定の所得者層を中心に引き下げられたが、まだ高い水準にある。さらなる引き下げを進めること。また、減免制度を拡充すること。
- 引き続き待機児童解消は市における重点課題である。事業計画では、「認可保育所整備や既存幼稚園からの認定こども園への移行を促進」することで入所枠を拡大するとしているが、認可保育所の大幅増設を基本にすえること。
その際、特に待機児童の多い夙川、甲東、浜脇などで認可保育所を新設すること。また、埋立地と言う特殊な事情があることから、西宮浜に早急に認可保育所を新設すること。
- 市立保育所、保育事業について
- 芦原保育所とむつみ保育所・むつみ児童館の耐震化にあたって、合築する計画が発表され、関係者に大きな不安を与えている。合築することによって、210人という大規模保育所になり「これまでのような丁寧な保育が行えるのか」などの安心安全への疑問や、移転先の交通環境などへの懸念である。両保育所の耐震化は合築以外にも方法はあり、これまで市が経験していない大規模保育所をつくることは将来に禍根を残す。芦原保育所とむつみ保育所・むつみ児童館の合築計画は白紙に戻し、各保育所ごとに耐震化を進めること。
- 認可保育所の増設にあたっては、民間任せにせず公立保育所の定員増や分園なども検討すること。
- 待機児童がなくなり、定員の弾力化が解消されれば公立保育所3か所を民間移管する計画になって、保育における公的責任を考え、公立保育所民営化はきっぱりと撤回すること。新たな保育所民営化は行わないこと。
- すべての保育所の耐震化やその他施設改善を盛り込み、とりくむこと。
- 虐待や生活荒廃の影響を受けている子どもや、親自身が問題を抱えたケースが増えている。市保育所事業課の保健師や保育士等が、市要保護児童対策協議会と連携して対応しているとのことだが、ひきつづきとりくみを強めること。また、虐待など問題をキャッチできるのは現場の保育士である。研修を強め適切に対応できるようにすること。
- 自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で、給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるために調理員の増員をはかること。
- 一時預かり(一時保育)を公立保育所でも実施すること。
- 浜甲子園保育所については、引き続き公立保育所として整備すること。
- 民間保育所や保育ルーム等に対し、保健指導等のための巡回指導など質を高めるための支援策を実施されているが、いっそう強化すること。
- 認可保育所を希望しても入所することができず、また保育条件が合わないなどの理由で、やむなくベビーホテルなど、無認可保育所を利用せざるを得ない子どもがまだ多数残されている。各地でずさんな運営の犠牲となる子どもが出ているが、市として適切な指導監督を行なうこと。
- 新制度では、すべての子育て家庭を支援するため子育て広場や一時預かり、病児病後児保育などの様々な子育て支援をおこなうこととなる。これまでも市が実施してきた事業が大半だが、特に子育て広場は、中学校区に1か所の目標を早期に実現し、さらに小学校区1か所に拡充すること。
- 学童保育(留守家庭児童育成センター)について
学童保育所は、保護者が昼間家庭にいない子どもに、授業終了後および学校休業日に、専用施設を利用して、適切な遊びと、生活の場を与え、その健全な育成を図る事業である。また、指導員には子どもの安全を守り、適切な指導で発達を保障する専門職としての重要な役割がある。市として次のことにとりくむこと。
- 新制度の施行によって、市では静養のための区画整備、児童1人当たり面積、クラスの規模について国の省令基準どおり条例化し、「当分の間、既存施設については適用除外とする」旨を条例に盛り込んだ。条例どおりの事業として執行するには相当な困難があるが、条件整備を順次すすめること。
- 児童福祉法改正により6年生までが学童保育の対象となった。2015年度は4年生を対象に8月のみ2センターでモデル実施され、新年度は通年で数センターでの実施、数年後には全センター、さらに、5,6年生の受け入れへとすすむ方針と聞いている。保護者の要望も強く、高学年学童の実施を求めるものであるが、子どもの健やかな育成との観点が何より大切であるので、モデル実施の結果をよく検証し、関係者の意見もよく聞いて、高学年学童は別施設とし、指導員も独自に配置するなど、保育内容の充実も併せて検討すること。
- 学童保育の継続性からも数年ごとに運営事業者が変わる指定管理者制度の導入には問題が多い。市でもそのことを認識し、再指定においては審査基準に合致すれば同一の指定管理者を引き続き6年間指定できることに変更した。施設の管理運営が主ではない学童保育所に指定管理者制度、とりわけ公募はなじまない。少なくとも非公募とすること。
- 長期休み時は8時30分から開所されているが、保護者の要望に応えて8時から開所できるようにすること。また、午後7時までの延長保育を含めると長時間保育となることにより、指導員がシフト勤務となっているが、十分な打合せが出来ないなど、運営に支障が出ている。人員体制などの拡充をすること。
- 延長料金は通常の利用料と比較して高い。保育料と同様に所得に応じた減免措置を講じること。
- 入所を希望する子どもをすべて受け入れられるよう対処すること。
- 雨の日は子どもたちの遊ぶ場所がない。学校と協議して体育館を使用できるようにすること。
- すべての育成センターにおいて、保護者への災害時などの緊急連絡用に一斉メールが送信でを整備すること。
- 子育て総合センターは、各地域で行われている子育てに関する各種取組への支援や、子育て支援施設間や関係機関との連携・協力を促進などの役割が求められている。また、乳幼児教育・保育等の調査・研究においても役割を期待されている。センターで展開されている個別の子育て支援事業にとどまらず、ういった文字通り、子育て支援の総合センター的役割が果たせるよう、運営について整理・検討すること。
- 児童虐待や育児放棄などは、年々増加の一途である。市では児童・母子支援課を虐待問題等の窓口として対応しているが、さらに増員すること。また、学校、保育所、幼稚園などの子どもが通う施設やこども家庭センターなどとで要保護児童対策地域協議会を設置し、連携を図っているようだが、いっそう虐待等の早期発見、対策を強めること。
- 中核市として、市立児童相談所を設置すること。また、設置までの間、諸事案に適切に即応できるよう、こども家庭センター(児童相談所)の専門職員の増員を国、県に求めること。
- 「子育て支援の拠点」として児童館、児童センターを位置づけるのなら当然直営を守るべきである。あわせて、休日の開館や、地域偏在の解消、増館についても検討すること。
- 子どもの貧困対策について
2012年度には17歳以下の子どもの6人に1人、300万人余りが貧困状態にあるとされ、なかでもひとり親世帯では、2人に1人を超えている。食生活の乱れや受診抑制による健康への影響や学力の遅れなどが指摘され「貧困の連鎖」もいわれている。2013年に「子どもの貧困対策法」がつくられ、具体的な対策を定めた大綱も2014年に示されているが、勉強が遅れがちな子どもへの学習支援などの「教育支援」が中心で貧困家庭解消への対策はなく、国の対策は不十分である。
「子どもの貧困対策法」では地方公共団体も地域の状況に応じた施策の策定、実施の責務が言われており、東京都足立区では、子どもの貧困問題に取り組む専門の部署を設けて「早期発見・早期支援」にとりくんでいる。
市でもまずは、専門部署をおき、子どもの貧困の実態把握から開始し、課題の解決に向け対策を講じ取り組むこと。
- 婚姻歴のあるひとり親が所得税を収めるときに適用される優遇措置である「寡婦控除」を、未婚のひとり親にも「みなし適用」し、保育料等の負担軽減をすすめること。