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上田さち子の継続賛成討論
2015年12月15日

UR借り上げ市営住宅問題について


 ただいま上程されております「議案第68号 訴え提起の件(建物等明渡し等請求事件)」につきまして、日本共産党西宮市会議員団は「継続審査」との議長報告に賛成し、この際、意見を申し述べたいと思います。

 本件は、阪神淡路大震災により住宅を失った被災者のみなさんに、西宮市がUR都市再生機構と20年の契約期間で借上げている市営住宅のうち、9月30日に西宮市とURとの契約期間が終了したとの市の一方的な理由で、「シティハイツ西宮北口」に継続して入居を希望する7世帯を相手取り、市営住宅の明け渡しと損害賠償を求めるための訴訟議案です。

 日本共産党西宮市会議員団は、UR借り上げ市営住宅問題が浮上して以降、本会議はもちろん、建設常任委員会でも入居継続を求める方々の立場で論戦してまいりました。入居者のみなさんが突然の「全世帯は転居・退去」という市の方針に驚かれ、日本共産党市会議員団に相談に見えたのが始まりでした。それ以来市議団は公営住宅法上の問題点などを掘り下げ、入居者の住み続ける権利を守ろうと取り組んできました。とくに、伊丹市や宝塚市では全世帯の入居継続を認め、兵庫県や神戸市でも一定の条件のもと5割近くの方々の入居継続を認める方向が出ている中、西宮市だけが「全世帯転居・退去」を基本方針としていることに対し、心からの憤りをもって希望者の入居継続をと論戦してきたところです。

 この中で大きく二つのことが明らかになりました。一つは、はじめて民間住宅を自治体が借り上げて、災害などで住宅をなくされた方々に、公営住宅として提供したのが20年前の阪神淡路大震災です。その時、国は借り上げ期間満了時に円滑に退去・転居していただくため、公営住宅法を改正し、その第25条2項には、借り上げ契約をした自治体が、入居者に対し入居決定時に、URとの契約終了時には転居・退去してもらいますよということを明らかにした「事前通知」を行うことを義務付けました。しかし、これまでの西宮市の答弁で、この「事前通知」そのものが履行されていなかったことが明らかとなりました。
もう一点は、入居者に非があるのかどうかです。市とURの契約期間が20年だったとする「事前通知」を受け取っていなかった入居者が、終の棲家として安心して住み続けられる、住み続けたいと願うのは当然のことです。この点についても「入居者は何も悪くない」との見解を副市長が示したことも重大な点であったと思います。
 
 このような経過から、日本共産党西宮市会議員団は、今回の市による「訴え提起」で、何の落ち度もない、被災者である高齢の入居者を被告席に立たせるわけにはいかないということから、なんとか入居者のみなさんの願いがかなうように、もっと市が話し合いの努力を行い円満解決をと、議案の継続審査を建設常任委員会で主張いたしました。他の会派の方々からも、議案は継続審査とし、市は該当者ともっと話し合いをと意見を述べられました。

 最後に、今回の議案に対し議会の意思は「継続審査」となる見込みです。市長はじめ市当局におかれては、この結果を真摯に受け止められ、また国の借り上げ住宅への補助金の活用も視野に入れ、早急に当事者との話し合い・協議のテーブルをつくり、事態の円満解決にあたられるよう強く要望しておきます。

 以上、日本共産党西宮市会議員団の意見といたします。