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佐藤みち子の代表質問
2016年02月26日

アベノミクス、市民の暮らしと貧困問題について


 一つ目の質問はアベノミクス、市民の暮らしと貧困問題についてです。
 「住民の福祉」の増進を図るべき地方自治体にとって安倍政権が進める政治は住民にどのような影響があるでしょうか。安倍政権は、昨年9月19日、国民多数の反対の声を踏みつけにして憲法違反の安保法制=戦争法を強行成立させるという暴挙を行いました。日本の政治が立憲主義の破壊という深刻な事態に直面しています。立憲主義とは、たとえ国会で多数を持つ政権党であっても、憲法と言う枠組みは守らなければならないということです。国家権力が憲法を無視して暴走を始めたらどうなるか。独裁政治の始まりとなります。たとえば、安倍政権が沖縄に対して行っている暴政は、憲法を無視し、法の支配を無視する独裁政治そのものです。戦争法によって、日本が「殺し、殺される」国になる危険が切迫し立憲主義が壊され、法治国家としての土台が壊されつつあります。このような独裁国家、戦争国家への道を断じて許すわけにはいきません。日本共産党は、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を回復することを強く求めるものです。
 暮らしと経済の問題です。安倍首相は自らの経済政策を「アベノミクス」と称し、「大企業が潤えばその恩恵が家計にも回る」と述べてきました。しかし、安倍政権の3年間で「アベノミクス」の破たんは明瞭です。大企業は、2年連続で史上最高の利益を更新し、内部留保金は3年間で38兆円も増え、初めて300兆円を突破しました。一握りの富裕層は株高で資産を増やしましたが、大多数の国民には「アベノミクス」の恩恵が回ってきたという実感はありません。国民生活調査でも、「生活が苦しい」と答えた人は62%にのぼり年々増加しています。じっさい働く人の実質賃金は3年間でマイナス5%です。年収400万円の労働者でいえば、年間20万円も賃金が目減りしているのです。とりわけ深刻なのは、日本社会のなかで、貧困と格差が広がっていることです。貧困子育て世帯は20年で倍増し39都道府県で子育て世帯の10%以上が貧困状態にあると新聞報道されています。
 安倍政権の3年間で、社会保障の自然増が、毎年3千億円〜5千億円の規模で削減され、介護報酬の削減、生活保護の切り下げで貧困と格差に追い討ちをかけてきました。社会保障の削減ではなく、年金削減の中止、医療費の窓口負担・国民健康保険料の軽減、特別養護老人ホームの入所待ちの解消、保育所の待機児童ゼロなど社会保障の充実に政策転換すべきです。その財源には消費税増税ではなく、富裕層と大企業への優遇税制をただし、応分の負担を求める税制改革を行うべきです。さらに、安倍政権は自治体が民間委託や指定管理者制度で削減した経費を標準とし地方交付税算定を引き下げる「トップランナー方式」を導入しようとしていますが、地方交付税は全国どこに住んでも健康で文化的な生活を営めるようにナショナルミニマムを維持するものです。むしろ、地方交付税の拡充や地方財源の確保を行うべきです。
 さて、2月15日、西宮市2016年度当初予算案の概要が提案されました。一般会計1,747億400万円、特別会計943億800万円、企業会計464億9000万円、総額3,155億7800万円、前年より44億6200万円増え、過去2番目の大型予算案となっており市の財政は安定していると言えるでしょう。
 歳入では、大企業が過去最高の収益をあげ、個人消費は落ち込むというアベノミクスの影響が出ています。個人市民税の落ち込みと安部政権が強行した法人税減税で市民税は4億9300万円の減収です。一方、活発な株取引による配当割交付金などが8億9000万円の増額です。地方交付税は、人口減少等特別対策事業費8億8900万円の上乗せはあるものの、振替財源である臨時財政対策債の5億4200万円減により実質3億4200万円の増額にとどまっています。一般財源は前年より2億円増え1126億6000万円になり市民の暮らしを応援する財源は十分にあります。
 歳出ではわが党議員団が要望していた婚姻歴のないひとり親家庭の寡婦控除の見直し、防犯灯の直営化、学童保育の通年での4年生受け入れ、小学校の老朽化に伴う校舎の改築、わが党議員団が主張していた水道料金、下水料金については基本水量制が見直しをされ約2割の世帯は料金が下がりますが従量制も見直しをされたため100円程度あがります。JR福知山線廃線敷についてはJR西日本と取り組みを進め市がトイレや案内板を設置し清掃、巡回パトロールなどの維持管理を行います。多くのみなさんに喜ばれることでしょう。
 消費税増税10%にともなう低所得高齢者に3万円の給付金で13億3500万円これは選挙目当てのばらまきです。UR借り上げ住宅からの追い出し予算も計上されています。
 2015年3月議会で突然提案された高齢者交通助成金の減額について2016年度は5千円を維持しています。難病患者の見舞金2万円については難病指定が56疾患から306疾患に広がったこと、国が医療費助成を3割から2割に引き下げたことを理由に廃止を提案していますが低所得者は医療費無料から2割へ負担が増えています。難病ごとに医療費助成の基準があり重度の患者のみしか医療費助成を受けられないきびしい制度になっています。原因不明の難病で苦しむ患者のみなさんへのわずか年額2万円の見舞金は継続すべきです。
 施政方針では、文教住宅都市という「都市ブランド」の強化、さらに未来に継承・発展させるためにあたらしい政策を展開し、環境整備と文教住宅都市としてのプロモーションを重要項目として推進するとしています。子ども施策の拡充を重視していますが目を見張るものはありません。これだけ広がっている子どもの貧困についても何もありません。高齢者についても何もありません。市民の暮らしを真正面から見る視点がまったくありません。以上、市長の施政方針と予算案についての見解を述べました。

 一つ目の質問ですが、日本社会では子どもから高齢者まで貧困が広がっており西宮市も例外ではありません。国が国民に悪政を押しつけるなか、自治体が住民の暮らしを守る防波堤としての役割を果たすかどうかが問われています。
 市でも個人市民税が落ち込んでいます。市民の所得が大きく減っているあらわれです。一方で企業業績が好調なため配当金や株式譲渡所得割交付金が増えています。貧困と格差が拡大している元で暮らし応援はまったなしだと思いますが市長は市民の暮らしについてどのような認識をもっているか。お聞きします。
 二つめ、子どもの貧困対策を実施するために「子どもの貧困対策調査」を行うとしています。日本では約16%、6人に1人の子どもが貧困状態と言われ特に母子家庭では半数が貧困状態だと言われています。しかし、市長の施政方針には子どもの貧困については何もありません。特に子どもの貧困は緊急に対策を求められるが市長の認識をお聞きします。高齢者のことについては施策も貧困についても一言もありません。「下流老人」という言葉がでるほど多くの高齢者が貧困状態に置かれています。高齢者の貧困について市長の認識をお聞きします。
 三つめ、大企業が潤えばいずれ家計に波及するというアベノミクスの破たんはもはや誰の目にも明らかです。暮らしを守るために国に対して消費税増税10%の中止、社会保障切り捨て路線の転換、派遣労働の拡大をやめる等、市長として国にはっきりと中止を求めるべきではないですか。