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野口あけみの一般質問:
2016年03月01日

貧困対策について


 厚生労働省による2014年の国民生活基礎調査で「生活が苦しい」と感じている人が6割を超え、「下流老人」や、子どもの貧困が言われている中で、我が党、佐藤みち子議員の代表質問で、市長の貧困問題についての認識を問うたところです。
 こどもの貧困について私は、昨年9月議会でとりあげました。平均的な手取り収入の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合である、子どもの貧困率は、16・1%、6人に1人、ひとり親世帯では54・6%、2人に1人というなか、国は貧困対策の法律と大綱をつくりましたが、市でも専門部署をつくって、まずは実態調査をしてはどうか、未婚のひとり親家庭について寡婦控除をみなし適用して保育料等を軽減してはどうかなどを求めました。そして、新年度予算に「子どもの貧困対策調査と体制整備計画策定」として300万円が計上され、寡婦控除のみなし適用事業についても実施するとされています。
 さて、党議員団では1月に団の視察を実施し、栃木県小山市の子どもの貧困撲滅5か年計画、今全国に広がりつつある「こども食堂」の草分け的存在である豊島区のNPO法人豊島子どもわくわくネットワークなどについて学んできました。
 人口16万5千人の小山市では、2004年9月、4歳と3歳の二人の幼い兄弟が虐待の末、橋の上から川に投げ込まれて亡くなるという痛ましい事件が起き、このような事件を2度と起こさないとの決意で始まった子ども虐待防止運動が、今、オレンジリボン運動として全国に広がっています。
 小山市では、要保護・準要保護児童生徒は4・5%と、全国平均の15・64%と比べても低い状況にありますが、2014年5月、地元紙に小山市内の貧困家庭の事例がリアルに取り上げられたことをきっかけに、市長を本部長とする「子どもの貧困・虐待防止対策本部」を設置、全庁的に総合的な貧困対策を推進する体制を整え、課題や施策の検討。そして、「子ども・子育て支援事業計画」と一体に、2015年3月、「子ども貧困撲滅5か年計画」が独自に策定されました。
 (お手元の資料を参照してください。これは小山市の「子ども貧困撲滅5か年計画」から抜粋したものです。)
 計画では、子どもの貧困対策のため「早期発見のための取り組み強化」「生活支援の充実」「教育支援の充実」「就労支援の充実」「経済的支援の充実」「支援体制の整備・充実」の6つの方針をかかげ47施策・事業に取り組んでいます。うち17は新規事業です。
 ユニークなものを、いくつか紹介します。
 表の17番の「要支援児童生活応援事業」は、登録した要支援児童に食事や、入浴、洗濯、学習支援などをおこない、居場所を提供するものです。これは栃木県のモデル事業で市が実施主体、NPO法人に委託し、民家を借り上げて(場所について非公開)おこなわれており、年間予算はおよそ800万円、うち2分の1が県負担とのことでした。
 27番「学びの教室」は月2回の土曜、公民館を利用して社会教育指導員、ボランティアによって中学生の学習支援をするものです。「誰が参加してもよい」という事業で、全中学生を対象に学校にポスターやチラシで周知するとともに、本来目的の要保護・要支援生徒等には、生徒と保護者の3者面談の機会や、場合によっては保護者を個別訪問して生徒の参加を促しています。
 そのほか、緊急一時的に生計維持が困難な事態に陥った世帯に、1万円2万円の小口の貸付や、小口の給付金を支給する制度も新設しています。
 また、早期発見のために福祉部局にスクールソーシャルワーカーを配置、今年度は2人、新年度は3人に増員するとのことでした。
 小山市の計画で重要なことは、表にある通り、数値目標を持っていることです。政府は子どもの貧困対策についての法律をつくり、大綱をつくりましたが、一番国がやるべき経済的支援はまったく不十分であり、また施策の具体的数値目標も示していません。自治体の対策はこの小山市のように具体的な目標をもって行われるべきと考えます。

 そこで質問です。
@新年度予算案では、「子どもの貧困調査と支援体制計画」として300万円計上されました。その内容をお聞きします。
A小山市のように、体系的な貧困撲滅計画を策定し、具体的なとりくみを進めるべきと考えるが、いつを目途に作成する予定か
B「主な食事は給食だけ」とか一人きりで夕食をとる子どもたちに、子どもが一人でも来れてにぎやかに食事ができる場を提供する「子ども食堂」が全国で急速に広がっています。その形態はさまざまです。多くはNPO法人やボランティアなどですが、小山市のように市が実施主体である例や、堺市では年間500万円の予算で民間団体を公募して実施予定とのこと。再来年以降は、市が全額負担するか、民間への補助で進めるか検討するとのことです。沖縄浦添市では実施団体に補助するとのことです。西宮でも2か所の子ども食堂がスタートしたときいています。財政的支援も含めた何らかの支援を行ってはどうか。
C小中学校の子どもがいる家庭で経済的困難がある場合に学校にかかる費用の一部を市が支給する就学援助制度、就学奨励金の改善はこれまでも求めてきましたが、今日は、中学生の入学準備金についてです。西宮では新入学用品費が1年生のみに26300円、7月に支給されています。指定された制服や体操服、靴やかばんなど5〜6万円かかるようです。支給されるものではとても足りませんし、保護者は3月には全額用意しなければなりません。人口80万人を超える政令指定都市の新潟市では、今年からこれまでの8月支給から3月支給に変更されることになりました。西宮でも中学新入学用品費を3月支給に早めることができないか、お聞きします。

 次に2点目、奨学金制度についてです。
 子どもが将来に希望を持てるようにするためにも、貧困の連鎖と呼ばれるものを防ぐためにも、教育は重要です。「意欲と能力のある学生等が経済状況にかかわらず修学の機会を得られるよう」にすることは国の子どもの貧困対策大綱にも掲げられています。生活保護世帯に属する子どもの大学・短大進学率は19・2%、ひとり親世帯の同じく大学等の進学率は23・9%と、全平均の56・5%を大きく下回っているのが実態です。これを引き上げていく実効ある対策が必要です。
 さらに、今の日本では、大学や専門学校に行くことによって若者が貧困に追いやられるという異常な事態となっています。
 大学の学費が高くなる一方で親の収入が減り、学生の2人に1人が奨学金を借り、うち有利子奨学金が7割を占めています。月10万円を4年間借りて、卒業する時には500万円近くのローンを抱えて社会に出ていかざるを得ない。月2万円づつ20年間で返しているなどという例や、大学は出たものの正規の仕事に就けず、(何せ2人に1人は非正規雇用です)返済が困難になり自己破産に陥るなど、過酷な事態です。若者の貧困は、子どもの貧困と同様、日本社会の大きな問題です。この解決は、はっきりいって一自治体の手には負えません。国によって学費を先進諸国のように無料とすること、給付制の奨学金制度に改善する必要があります。
 だからといって手をこまねいているわけにはいきません。少しでも市の奨学金制度を改善することを求めます。

質問
@市が行っている奨学金制度は5つあるが、その活用状況をおききします。
A給付奨学金の拡充など改善をはかれないか。