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佐藤みち子の反対討論
2016年03月28日

2016年度西宮市一般会計予算について


 ただいま、上程中の議案第96号2016年度西宮市一般会計予算について日本共産党西宮市会議員団は二つの修正案は賛成し修正案を除く原案には反対します。
 以下、理由を述べます。

 市長の施政方針は文教住宅都市にふさわしいシティプロモーションを重要項目として強調しています。子どもを中心に据えた政策推進を行うと述べていますが、高齢者や若者、市内で営業活動を行う中小業者等については何の施策も示さず非常に偏った施政方針であります。代表質問で取り上げた暮らしと貧困問題について、市長は「個人市民税は給与所得の増加傾向を継続している。一方単身高齢者の増加などにより生活保護世帯数及び支給額の増加傾向が続いている」と答弁しましたが「市民の暮らしは多様性だ」と一言で片づけ貧困と格差については全く認めませんでした。また、安倍政権が進めようとする消費税増税や、社会保障削減等についても国の法律や方針に従って対応すべきものであると答弁しました。安倍政権の元で市民の暮らしがますます苦しくなっている認識は市長にはまったくありません。
 3月議会の最中に安倍政権の2016年度の政府予算案が衆議院で自民、公明の与党等で可決、参議院に送られました。社会保障のためといって消費税増税を強行しますが社会保障は改悪の目白押しです。年金の給付水準を据え置き、入院給食費の負担増、診療報酬の引き下げ等が実施されます。一方、大企業には減税をばらまき、軍事費は4年連続で増加し初めて5兆円を突破しました。米軍への思いやり予算はさらに増やされ、戦争への道を進めるという、きわめて反国民的な予算案で到底認めることはできません。
 さて、西宮市の予算総額は3,155億7800万円となり過去2番目となる新年度予算案は、1126億円の一般財源を含む一般会計が1,747億400万円になり無駄使いをしなければ市民の暮らしを応援する財源は十分にあると言えるでしょう。しかし、その中身は、第2庁舎建設をはじめ、大規模な公共施設整備の準備段階の予算が目立ち安倍暴走政治から市民を守る防波堤の予算案とは言えません。

 まず二つの修正案について述べます。「広報アドバイザー」については、総務の分科会では「市長の広報の考え方が信用できない」「市長の偏向報道発言」等、市長のこれまでの広報姿勢について懸念する声が相次ぎ、広報の公平性が担保されるのか疑問であり修正案に賛成をするものです。次に「西宮の休日」については「まちたび博」として市民に知られており名称を変更する必要がありません。今まで通りのやり方で事業を実施すべきです。以上2つの修正案について賛成するものです。

 次に具体的な反対箇所を述べます。
 まずUR借り上げ市営住宅問題についてです。
 2015年12月議会で借り上げ市営住宅シティハイツ西宮北口の住民7名を裁判に訴える議案は全会一致で継続審査となり、代理人同士で話し合いが行われ、双方の合意を得る努力は続きます。建設常任委員会では継続審査となっていた議案は賛成多数で可決されましたが、同時に話し合いの継続を求める決議が全会一致で採択され、市も話し合いを継続すると明言しています。「住民は何も悪いことをしていません」と議会で答弁したにも係わらず裁判に訴えることは人道的にも許されません。この問題の解決のためには、代表質問で県の判定委員会について述べましたが、県は年齢や介護度等で一律に対応せずに住民の個々の状況を把握して継続入居について判断しています。県がこのような対応をしている背景には住民の運動があってのことです。しかし、市には柔軟に対応する姿勢がありません。1番の問題は「方針は変えない」と言う市長の頑なな態度です。市長は態度を改め、「話し合いで解決せよ」という議会の声をしっかり聴いて住民の継続入居を認めるよう強く求めます。
 2点目は、難病患者見舞金についてです。
 昨年の3月議会では、市長が市民にも議会にも報告せずに難病患者のみなさんへの年額2万円の見舞金の廃止を提案しました。議会では「福祉切り捨てだ。元に戻せ」と修正案を提案、全会一致で採択しました。新年度予算案では、市は難病患者の見舞金は廃止すると提案、廃止の理由として、難病患者の医療費助成について国が56疾病から306疾病に拡充し医療費の負担を3割から2割に減額する制度を整えたことを理由にあげています。見舞金廃止後は保健師を増やし相談業務を拡充するとしています。しかし、難病に指定されても医療費助成の対象は重度な患者のみとされています。また、56疾病の難病対象者で医療費が無料だった市民税非課税世帯は医療費が2割になり負担が増えることになります。原因不明の難病で苦しむみなさんへのわずか年額2万円の見舞金は継続すべきです。
 3点目は、マイナンバー制度についてです。
 この制度の運用が今年1月に始まって2か月がたちました。市では未だに通知カードが1万94通、4・5%の世帯に届いていません。このような状況で実際に運用していくことは困難です。以前から指摘をしているようにマイナンバーについては個人情報が流出してもそれを防ぐ手立ては何もありません。この制度はやめるべきです。
以上、3点については反対をします。
 
 次に、問題点を指摘します。
 職員についてです。
 市の正規職員は3649人、嘱託職員は1022人、臨時職員は604人で非正規職員が29・7%にもなります。職員は阪神淡路大震災時より300人減っており、大災害が発生した時に市民の命や安全を守ることができるのか問われます。
 また、生活保護のケースワーカーは本来なら75人が必要であるのに47人の配置になっています。生活保護世帯が増え続けているのに職員の配置が追いついていない状況が数年にわたって放置されていることは大問題です。生活保護受給者は心身にさまざまな問題を抱えている人が多くケースワーカーの支えが必要ですが不足していることで、訪問活動が充分できない等、支障があります。市民の暮らしを守り支える必要な職員の配置は待ったなしの課題です。ただちに対策をとるよう強く求めます。
 次に、保育所待機児童問題です。
 保育所の入所選考で子どもが落とされた母親が政治への怒りをつづったブログに子育て世代を中心に共感が広がり、安倍政権の「子育て・保育対策」に厳しい批判が広がっています。子どもを預ける保育所を確保できない事態は死活問題なのに、「実際に起こっているのか」「確かめようがない」と平然と述べた安倍首相に批判が集中したのは当然です。「働きながら子育てをしたい」という親の願いを真剣に受け止め事態を打開できる政治の実現が急務となっています。この問題は西宮市にとっても他人ごとではありません。2016年4月保育所入所の選考で834人の子どもが落とされました。その中には、小規模保育所から認可保育所の入所を申し込んだ3歳児の40人も含まれており、問題はより深刻になっています。早急に公立幼稚園の空き教室や空いている公共施設を活用して公立保育所の分園の設置等、待機児童解消について緊急課題として取り組むことを強く求めます。さらに、根本的に保育所待機児童解消のために0歳から就学前までの保育所の新設が必要ですが民間の認可保育所だけではなく公立保育所を整備することを強く要望します。
 3点目、介護保険についてです。
 国は要支援と認定された高齢者を介護給付から追い出し2017年4月から実施する「新総合事業」に丸投げします。この制度は要支援者の訪問介護と通所介護を市町村が行う独自の取り組みにより実施するというものです。市は訪問介護の家事援助を実施する主体として西宮シルバー人材センターや社会福祉法人を活用し2016年度は家事援助を行うサポーターの育成を行います。また、地域にふれあうカフェ等を整備します。要支援者と認定されている人は在宅でヘルパーさんの家事援助を受けながら在宅生活をしていますがヘルパーさんは単なる家事援助ではありません。要支援者の心身の状態を把握し変わったことがあればすぐにケアマネに連絡し適切な対応で要支援者の在宅生活を支える重要な専門職です。在宅生活をする高齢者にとっては命綱の役割を果たしています。専門家の介護を取り上げることにより要支援者の状態が悪化することが危惧されますが、サポーターが担う介護の質を保障する仕組みはありません。事業が始まる2017年度は現要支援の認定者については現行の介護水準を守ると言いますが、以後は現行水準の介護を受けることができるか保障はありません。介護保険料は年金から有無を言わさず天引きをしながら必要な介護を取り上げる、ますます保険あって介護なしの状況になり介護保険は国家的詐欺であるとの指摘をされています。市には実施主体としての責任があります。要支援者の介護の質を保障し安心して在宅生活を続けられる支援を強く要望します。
 4点目、第2庁舎についてです。
 第2庁舎整備事業については、新年度は基本計画策定、基本設計着手に向けて、1597万9000円が計上されています。わが党議員団は、土地の取得にも賛成しており、教育委員会庁舎の建替え危機管理センターの整備については反対するものではありません。    
 しかし、現第2庁舎整備計画は、第1に議会をはじめ、市民や職員の意見を十分に聞くことなく、事業を急ぎ過ぎていること、第2に建設規模が過大となっていることを指摘してきました。分散している部署の集約、手狭で劣悪な職場環境の改善、市民サービスの向上、経費の適正化などが求められます。ところが、厚生課や介護保険関係などの手狭な部署の環境改善が見込めない、保健所関係部署が集約できない、消防局庁舎を民間に賃貸しするなど、十分に市役所内の配置が検討できていないことは明らかです。市役所内での職員の意見、市民の声をもっと丁寧に聞き、計画を練り直す必要があると思います。拙速に過大な規模となる第2庁舎整備を進めることには反対です。
 5点目、まちづくり基本条例についてです。
 市長は文教住宅都市を都市ブランドとしてさらに発展させたいとの考えですが、現在の市の実態はとても文教住宅都市とは言えません。小学校40校区のうち19校区で受入困難や監視地区等に指定されマンション建設時には開発制限がかけられています。にもかかわらず、小学校・中学校に仮設校舎が建設され運動場の面積が縮小する等子どもたちの教育環境が悪化し続けています。さらに、学校だけでなく保育所待機児童問題や学童保育の待機児童の問題もあります。このことについての主要な要因は震災後、市内に無秩序に建設されてきたマンションです。子どもたちの環境や安心して子育てするためにも市長の公約である「まちづくり基本条例」の制定について早急に検討し条例を制定するよう強く求めます。
 6点目、市営住宅削減についてです。
 市は「西宮市営住宅整備・管理計画」に基づき、阪急神戸線以南の地域について建替え・管理戸数の削減に取り組んでいます。2016年度は阪急神戸線以北の地域についても、管理戸数の削減に向けた建替え計画を策定します。市は市営住宅の千戸削減に取り組んでいますが、高齢者世帯や母子家庭等市営住宅を必要とする低所得世帯が増えており今後も増える傾向にあります。特に高齢者世帯は民間賃貸住宅を借りることが困難です。「住まいは人権」という立場にたって、市営住宅は削減ではなく増やすべきだと求めます。

 次に要望について2点述べます。
 水道料金については、条例改正の討論でくわしく述べましたが、精神障害者にも上下水道の基本料金減免を拡充することを求めておきます。
 
 児童相談所の設置についてです。
 子どもの数が多いことや転入者が多く知り合いのいない中で子育てをしている等、市は阪神間でも虐待件数が多くなっています。日本共産党議員団は児童相談所の設置を再三要望してきましたが、市は多額の財政が必要なことや専門職の職員の確保が難しい、広域で対応すべき等の理由で児童相談所の設置については後向きです。2016年3月9日の新聞報道によると、国は児童相談所の設置が進まないのは専門人材と財源の不足が大きな要因と考え、支援強化が必要と判断し自治体側や与党と調整した上で今の国会に児童福祉法改正案を提出し2017年度からの施行を目指します。施行後5年をめどに中核市に対して政府が設置に向けた支援や必要な措置を講じると定めました。専門的な人材を育成するための研修の実施や児童相談所の施設整備費や人件費の財政支援が見込まれます。市でも児童相談所設置を設置するよう強く要望します。

 また、名神湾岸連絡道は環境破壊の不要不急事業であり、事業推進の立場を改めるよう求めます。

 最後に市長の政治姿勢について申し上げます。
 代表質問でも指摘しましたが地方自治体は、地域の住民を構成員として、地域内の地方自治を行うための地方公共団体であり営利を目的とする株式会社とは違います。市の主権者は市民であり、市は市民の命と暮らしを守ることが使命でありその担い手となるのが職員です。地方自治体を企業に例え、自らを経営者、住民はお客さん、職員を社員とする市長の考えは地方自治の本旨とは相いれないものです。市長は公の場でこのような発言を繰り返し行い、議会で指摘されても反省すらありません。    
 市長としてまちがった考えでありそのことはこれまでの議会軽視や住民の声を無視することに表れていると思われます。市長は市民に自分の考えを広報するのは熱心ですが市長として市民の声に真摯に耳を傾け謙虚に聴くということがまったくできていません。常に自分は正しいと言う立場にたち自分と違う意見にはとことん反論をしています。市の主権者は市民であります。このことを十分理解して今後の市政運営をしていくこと、市長と言う立場言うべきことではないでまちがった発想と発言については今後、改めるよう求めます。

 以上、日本共産党西宮市会議員団の修正案に対する賛成討論、修正部分を除く一般会計予算案にたいする反対討論といたします。