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野口あけみの議案討論
2016年03月28日

議案74号、89号、94号について


 日本共産党西宮市会議員団は、上程中の諸議案の内、議案第74号 西宮市個人番号を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例制定の件、および議案第89号 西宮市立留守家庭児童育成センター条例の一部を改正する条例制定の件の2件については、反対し、議案第94号 西宮市水道事業給水条例の一部を改正する条例制定の件については採決に加わらず退場いたします。以下、それぞれについて意見、理由を述べます。
 まず、議案第74号 西宮市個人番号を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例制定についてです。この議案は、市長が行う事務において利用する特定個人情報を追加する等、所要の規定の整備を行うものです。
 具体的には、第1に「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に関する事務が、番号法に規定する法定事務に追加されことを規定する、第2に番号法を規定する法定事務以外で市の機関が独自に個人番号を利用する事務等で市税や保険料などの徴収事務等に関して庁内の情報連携を行うものについて、特定個人情報等の規定を整備するものです。
 マイナンバーは、日本に住民票をもつ人すべてに12桁の番号をつけ、国が個人情報を管理する制度で、税や社会保障の徴収強化を目的としたもので、国民の利便性を向上するためのものではありません。
 1月に本格的に始まりましたが、番号が通知されていない人が依然として多数残されるなど、問題は山積したままにもかかわらず、政府は、つくることが個人の任意である「マイナンバーカード」の宣伝・普及にばかり力を入れていれています。多くの国民の不安や疑問などを置き去りにして、カードの普及や利用拡大をすすめることは、国民のプライバシーを危険にさらすものでしかありません。ただちに、中止・凍結、廃止へむけた検討が必要であるとの立場から、日本共産党西宮市会議員団は議案第74号に反対するものです。

 次に議案第89号 西宮市立留守家庭児童育成センター条例の一部を改正する条例制定についてです。この議案は、共働きやひとり親家庭などの1年生から3年生までの子どもたちが、新年度からは4か所については4年生も、放課後や夏休みなどの長期休業中を過ごす留守家庭児童育成センターの、長期休業中の朝の開所時間を30分繰り上げるのに伴い、延長料金を1000円徴収しようとするものです。私たちは、開所時間の繰り上げには大賛成ですが、「延長」といういわばオプションとせず、標準開所時間の変更とし、延長料金を徴収すべきでないという立場で反対するものです。
 育成センターと同様に共働きやひとり親家庭を支援するのに欠かせない保育所の開始時間は7時、7時15分、7時30分となっています。これは勤務実態などから適正だと思われます。開所前の育成センターの前に子どもたちが開所を待っている姿がしばしば見られるところですが、育成センターの開始時間が8時30分だというのは遅すぎます。8時に繰り上げることは当然です。まずは、4か所からのモデル実施ですが、当局が説明するように一刻も早く全育成センターで実施できることを求めるものです。
 問題はこの繰り上げ30分に月1000円の延長料金を徴収しようとしたことです。当局は、その理由として、アンケートの結果から利用する家庭は一部と判断し、かかる経費には受益者負担の観点から、応分の負担をしてもらう、また、夜の2時間延長では延長料を徴収しているのでそれとの公平性もあると説明し、仮に延長料金を徴収しなければ育成料の値上げも検討するとまで言いました。
 はたして今の育成センターの現状は、利用者が等しく益を受け、公平性が保たれているといえるでしょうか。条例でさだめている1人当たり必要面積や休養室などの基準を当面適用除外としている等、その保育環境はきわめて不十分です。さらに専用の施設のところもあれば空き教室や近隣の公共施設を利用して保育を行っているところもある等、保育施設には著しい違いがあり、4年生以上の受け入れも条件のあるところでしか実施されていません。そんななかで育成料の値上げを持ち出すことなど言語道断です。
 せめて、夏休み等の開所時間は、区別することなくすべての児童に対し8時とすべきです。
 教育こども常任委員会では、先ほどの委員長報告にあった通り、全会一致で不採択となりました。なお、当局は、延長料徴収が否決されても時間繰り上げは実施すると明言されています。引き続き待機児童の解消はもちろんのこと、保育環境の向上にむけ一層の努力をすることもあわせて求めます。
 最後に、議案第94号 西宮市水道事業給水条例の一部を改正する条例制定の件について、意見を申し上げます。
 今回の条例改正は、水需要低迷のため給水収益減少が続く中、今後の人口減少や施設の老朽化等に対応するため、料金制度の変更を行なおうとするものです。内容は、これまで基本水量制として、10㎥までは実際の使用の如何にかかわらず定額徴収としていたものを廃止し、人件費や修繕費、減価償却費などの固定費を新たに基本料金として回収すること。また、変動する経費については従量料金として回収しようとするものです。
 今回の提案によりますと、平均で月額103円6.78%の料金値上げとなります。景気の悪化により所得が減少する多くの市民にとっては負担増となるもので、賛成することはできません。
 一方、日本共産党西宮市会議員団はこの間、多額の内部留保を市民に還元し料金を引き下げるよう求めるとともに、実際に使用していない分まで負担することになる基本水量制の廃止も求めてきました。今回、基本水量制を廃止することについては評価できるものです。その結果、約2割の世帯で料金が値下げになります。
 以上のことから議案第94号について、日本共産党西宮市会議員団は採決に加わらず、退場することにします。