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庄本けんじの反対討論
2016年03月28日

議案第68号 訴え提起の件について


 議案第68号 訴え提起の件(建物等明渡し等請求事件)
 上程された議案第68号、訴え提起の件、建物等明渡し等請求事件について、日本共産党西宮市会議員団は反対いたします。以下、その理由を述べます。
 第一は、UR借り上げ市営住宅の入居期限問題に対する市の対応が、地方自治法に明記されている「住民の福祉の増進を図る」という根本原則を踏み外し、それを正そうとしないままの訴え提起となっていることです。
 そもそも、この問題が浮上した当初、2011年1月24日、日本共産党西宮市会議員団がおこなった市への申し入れに対し、市は、「入居者を悲しませるようなことはしない」、「UR団地を買い上げることも視野に入れて継続入居できるようにしたい」との考えをしめされました。自治体として当然のこととはいえ、「さすがは西宮だ」と誇らしくさえ感じたものです。ところが、市は、一転、継続入居の考えを捨て、入居者の個別事情を無視する全員転居の方針を強行するに至ったのです。
 第二は、この問題は、公営住宅法第25条第2項で明記された住宅明け渡しの通知義務を、西宮市が履行しなかったために生じた問題であり、にもかかわらず、市の一方的で、かたくなな態度を変えることなく、裁判に問題解決をゆだねる、そこに、なんの道理もないと考えるからです。
 第三は、裁判は、早期解決の確実な保障がなく、長期化は免れないからです。UR借り上げ市営住宅の入居期限の問題は、早期解決が強く求められる問題で、市当局の説明でも、裁判の目的はあくまでも早期解決だと強調されました。であるならば、議会が一致して求めているように、双方が歩み寄って話し合いで解決をする、そのことに市はもっと努力を払うべきであり、これまでの経過を見る限り、努力をつくしたと言えるものではありません。裁判によって早期解決を期待するのは、かなりの無理があります。双方の歩み寄りによる話し合いこそ、早期解決の保障となるものです。
 昨年の12月議会でこの議案が提案され、議会は、話し合いによる解決を強く求め、議案を継続といたしました。その後に始まった弁護士による代理人同士の話し合いは、協議すべき課題が徐々に整理され、訴えの対象となる人たちの個別事情を検討することが必要になる、ということが確認され、この間おこなわれてきた3回の協議で終わるものとはされていません。
 今議会において、3月9日におこなわれた建設常任委員会では、この議案は賛成多数で可決されたとはいえ、委員がそろって強調したのは、やはり、双方が歩み寄って、話し合いで解決すべきだ、ということでした。当局の答弁でも、裁判に訴えつつも、裁判と同時並行で、話し合いによる解決を排除するものではない、ということを繰り返し強調されました。
 建設常任委員会は、各委員が求めた話し合いの努力、当局からの答弁の内容を担保するために、話し合いによる解決の努力を市に求める付帯決議を、全会一致で可決いたしました。
 議会の意思は明白です。市はかたくなな態度を改め、双方が歩み寄って話し合いで解決をする、そのための努力を継続し、強める、そのことを議会は市に対し強く求めているのです。西宮市は、この議会の一致した意思をしっかり受け止めて、早期解決のために努力すべきであることを、最後に、強調して、反対討論といたします。