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2017年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ:教育委員会
2016年09月14日

教育委員会


  1. 日本国憲法と子どもの権利条約をいかした教育をすすめるために、他市でも取り組まれている「子ども条例」を、市でも制定すること。

  2. 子どもや教職員、保護者等の内心の自由を守り、「日の丸・君が代」を教育現場で、決して強制しないこと。

  3. 平和教育を重視し、平和の尊さとともに、日本の侵略戦争と植民地支配の歴史的な事実や反省を、児童・生徒に伝えること。さらに、公教育が侵略戦争の美化・肯定を行うようなことは一切許さないこと。

  4. 教育委員会制度に新しい仕組みが加わったが、合議制の教育委員会が自治体の教育行政についての最高意思決定機関であることに変わりない。教育委員会は行政から独立して、教育の自由、自主性を守るべきであり、教育委員が、西宮の子どもたちや教育現場の現状と問題点をよりリアルにつかみ、教育施策をチェックできてこそ教育課題の解決や教育環境の改善がはかれる。教育委員会事務局はそのことを踏まえて、役割を果たすこと。

  5. 文部科学省は、発達障害や外国籍の子どもらに対応する教職員を増やすため、国が給与負担する公立小中学校の教職員定数を充実させると発表した。このことを歓迎するとともに、より根本的には、一人一人の子どもに行き届いた教育を保障する「35人学級」を小・中学校全学年で実現できる教職員定数にし、正規教員とすべきと考える。国に求めること。
    その上で、30人学級の実施に向け、必要な正規教職員の確保や施設整備に対しても、国や県に必要な対応を求めること。実現するまでの間、市独自で少人数学級を実施すること。

  6. いじめや不登校、児童虐待など学校現場での諸課題は引き続き深刻である。問題の早期発見と解決のためには、マンパワーの充実と関係各機関の連携が不可欠である。少人数学級の実現とともに、養護教諭の複数配置やスクールカウンセラーの全校配置など必要な対策を、国・県に強く求めること。こども未来センターや、こども支援局、県子ども家庭センターなどとも一層連携を図ること。
    また、横浜市や川崎市、相模原市などでは、ベテランの教諭が学級担任を持たずに専任で児童指導や支援を行い(児童支援専任教諭)成果を上げている。市でも配置について検討し、実施すること。

  7. いかなる理由があろうとも、学校現場での「体罰・暴力」は、許さないこと。

  8. 教職員の「超多忙化」「非正規化」を解決するために、教職員定数の改善を国に求めるとともに、以下の項目に取り組むこと。

    1. 現場では必要な職員の約1割が本定欠教員(臨時講師)となっている。定員についてはすべて正規教員で確保するよう、県に強力に求めること。また、非常勤講師の加配分についても、適正に行われるよう要望すること。

    2. 中学校における教員のクラブ活動へのかかわり方は、その献身性に大きく依存しており、心身ともに大変な負担となっている。早急な改善を図ること。

    3. 市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手など現場の声を聞き確保すること。

    4. 労働安全衛生基準に基づいて、教員の更衣室、休養室の設置を進めること。

    5. 「教員評価」「不適格教員」制度や「教員免許更新制」、「教員給与の格差付け」については、国に廃止を求めること。

    6. 過重勤務でメンタルケアを必要とする教員が増えている。教員に対するメンタルヘルスを充実させること。

    7. 臨時教員や非常勤講師については、有期雇用で「官製ワーキング・プア」と言われるような実態がある。このような非正規教員の処遇を大幅に引き上げるよう、国・県に強く求めること。

  9. 学校管理事務経費(学校配分予算)は、一人当たり換算で、1995年度(小学校27,306円、中学校は35,681円)時に遠く及ばない。教育予算を増額し、学校配分予算も大幅に増額すること。

  10. 特別支援教育について

    1. こども未来センターと連携した専門家チームの派遣や、市独自の特別支援教育支援員の全校配置、また、養護学校での介助員・看護師の配置など努力がなされているが、さらに充実を図ること。また、県に財政措置などの要望を強めること。

    2. 配慮の必要な児童・生徒を介助するなど補佐する役割を持つ学校協力員については、ボランティア的存在におかれている。教育委員会として身分を明確にし、必要な賃金を保障すること。

    3. 多様な様子を示し、程度もさまざまな発達障がいの子どもが増えている。引き続き教員加配などとともに、早期発見と適切な教育・支援が行えるよう全教職員向け、専門職向けの各種研修をつよめること。

  11. 学力テストについて

    1. 全国学力テストは子どもに過度な競争を強いるものであり、調査結果についても十分には生かされていない。参加しないこと。

    2. 市が実施しているリサーチプラン学力テストは結果が出るのが遅すぎて現場で生かされていない。一人一人の児童生徒の学力動向については、教員が把握する努力を日常的に行っていることから中止すること。

  12. 過熱しすぎる中学校運動部活動が社会問題になっている。成長期にある中学生に無理な練習を課すことはスポーツ障害の原因になり、教員の長時間労働にもつながっている。一方で、指導する教員がいないために部活動が成り立たない学校もあり、この際、中学校の部活動のあり方について、現場の意見や実態も聞き、見直すこと。

  13. 県の一斉事業であるトライやる・ウィークが実施されるようになって久しいが、授業時間や他の学校行事との兼ね合いから実施に懐疑的な意見も現場から出ている。また、各中学校で受け入れ先の事業所を探さなければならないが、地域によっては受け入れ先の確保が困難となっており、塩瀬中学校では父母の抗議があったにもかかわらず連続して自衛隊を体験先とするなど、問題点も多く噴出している。
    この際、トライやる・ウィークや自然学校など、県の一斉事業の押し付けはやめるよう要請すること。

  14. 学校図書教育を充実させるために、早期に専任・専門・正規の司書教諭を全校に配置すること。

  15. 西宮市の小・中学校での学校給食は、県下の各市に先んじて“直営自校方式”で実施され、食育の観点からも、子どもたちの健康と成長を守る上でも大きな役割を果たし、保護者からも喜ばれている。よって、以下のことを実施すること。

    1. 学校給食基本方針の改定にあたって、「効率化の一つとして民間委託の研究にも取り組む」としているが、一方で「質を低下させる効率化は行わない」としている。この観点から、将来的にも「直営自校方式」を堅持し、民間委託や民営化はしないこと。

    2. 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら嘱託、新嘱託、臨時等で勤務時間の差とともに賃金格差がある。早急に関係団体と協議し、整理改善すること。

    3. 週2.5回の「米飯給食」を週3回以上にすることを目指すとしているが、その実現のためにも自校炊飯できるよう施設整備をすすめること。特に、新増改築校においてはその前提で整備すること。米粉パンについても実施すること。

    4. 食物アレルギーのある子どもが増加している。2015年度に献立作成からアレルゲン情報の管理までを一括したシステムで行う取り組みが進められているが、さらにアレルギー除去食の完全実施を行うこと。

    5. 現在、児童生徒数550人以上の学校に1名の栄養教諭が配置されているが、食育の観点からも栄養教諭を全校に配置するよう県に求めること。

    6. 夏場の調理室では40度を超えることもあると聞いている。調理員の健康面でも食材等の管理の面でも、空調の整備を急ぐこと。

    7. 給食費の無料化について、検討すること。

  16. “西宮市人権・同和教育協議会”は、あらゆる人権問題の早期解決をめざすとしているが、同和教育に大きく偏っている。廃止すること。

  17. 児童、生徒が急増し、教室等学校施設が不足する恐れのある地区の住宅開発を一定期間抑制するために「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」があるが、「教育環境保全」の効果は十分とはいえない。仮設教室での対応が可能であれば規制の対象外としていること、児童数推計の甘さなどに、その原因がある。推計については一部、上限推計を設定することとしたが、規制強化の方向で内容を抜本的に見直し、条例化すること。

  18. 瓦木中学校では、教室不足への対応が現在の学校敷地内では困難となり、校区変更が行われ、地域住民や関係者に混乱と不安を与えている。「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」の不備に起因するが、二度とこのような事態を招かないようにすること。また、当校の校区変更にあたって十分に関係者の意見要望に配慮すること。

  19. 学校園施設等の整備、改修について

    1. 老朽化や、教室運動場の不足等への対策が、優先的に必要な学校として8校(春風小、香櫨園小、安井小、瓦木中、西宮養護、大社小、瓦林小、深津小)が明らかにされ、2015年度は香櫨園小、西宮養護学校、16年度には春風小、安井小、深津小と、順次計画がすすめられている。具体化にあたっては関係者や地域住民、周辺住民の意見要望をよく聞き、進めること。

    2. 南甲子園小改築に際して、旧校舎のアスベスト含有が発覚し、工期工法が変更されることになった。今後の校舎新増改築に際しても当然アスベスト含有が予測されるため、万全な対策をとること。

    3. 学校から出ている雨漏りや床板のはがれ等の修繕要望には直ちにこたえること。

    4. 小中学校普通教室へのエアコン設置が完了した。残されている幼稚園にエアコンを早急に設置すること。

    5. 道路や鉄道、航空機などの騒音対策で設置された空調の老朽化が進んでいる。早期に計画を立て、エアコンを整備すること。

    6. 災害時の避難所となる体育館へのエアコン整備も検討をすすめること。

    7. 学校のトイレを生活様式に見合った洋式トイレに改修することの必要性が認められ、早急に50%をめざすとしているが、テンポは遅々としている。予算を思い切って増額し、一気に進めること。

    8. 委託業者によるトイレ清掃は効果も大きいことから、全体として回数を増やすこと。危険を伴うガラス清掃についても、少なくとも各校年1回は実施すること。

  20. 子どもの貧困対策について

    1. 「子どもの貧困対策法」にもとづき、本市でも2016年度に実態調査と支援体制整備計画が策定される。こども支援局が中心になるが教育委員会も連携して取り組むこと。

    2. 義務教育は無償の原則にも関わらず、その対象は授業料や教科書などに限られている。給食費の無料化を開始した自治体もあり、制服代、ドリル代、修学旅行積み立て、クラブ活動経費など保護者負担の解消を国に求めること。

    3. 不況が深刻化しているにもかかわらず、生活保護基準の切り下げが強行されている。就学奨励金については連動して対象者を狭めないこと。少なくとも生活保護基準の1.5倍となるよう対象を増やし、支給額も引き上げて、利用しやすくすること。申請手続きについては保護者が希望する場合、直接教育委員会でも行なえるようにすること。

    4. 就学奨励金の小・中学生の入学準備金について、これまでの8月支給から入学に間に合うよう3月支給に変更すること。

    5. 国は2014年度から高校授業料無償制に所得制限を導入し、就学支援金制度とした。教育予算増による「高校授業料無償化」を復活するよう強く国に求めること。

    6. 奨学金制度については給付制奨学金の創設を、国や県に早期実現を要求するとともに、市独自の制度についても創設、拡充すること。

    7. 世界一高い大学、専門学校などの学費についても、負担軽減を国に求めること。

  21. 幼稚園教育について市は公・私立の共存共栄といいながら、市民の要望の強い公立幼稚園の「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を実施せずに定員割れを誘導し、休園させている。幼稚園教育において公立の果たしている役割は大きいものがある。公立幼稚園は減らさず存続させること。また、保育所待機児童対策として、「3年保育、延長保育」を緊急に公立幼稚園で実施すること。

  22. 県教委は、高校学区を2015年度入学者から5学区に統合・拡大し、これにより西宮市は阪神・丹波学区に統合された。学区の広域化によって中学における進路指導の困難や、遠距離通学による経済的、身体的負担の増大など、諸問題があると聞いている。市教育委員会として、課題等を議会に報告すること。

  23. 18歳選挙権が2016年の参議院選挙から開始された。学校現場での政治教育や生徒の政治活動を規制するような動きがあるが、規制するのではなく、主権者としての権利を保障するよう、適切な教育を行うこと。

  24. 図書館について、以下のことに取り組むこと。

    1. 正規司書職員を増員することで、開館日の増や時間延長等を実施すること。

    2. 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間の延長についても、2015年度より一定の改善が図られたが、いっそう努力すること。特に北口図書館は勤労者が利用できるよう午後9時までとし、必要な人員を確保すること。

    3. 引き続き地域図書館の整備を進めること。要望のある津門・今津地域には、教育会館等も視野に入れ検討し、甲陽園地域にも地域図書館を設置すること。

    4. 分室については、市民に最も身近な図書館であることから民間委託から直営に戻すこと。

    5. 人気の図書はなかなか手元に届かないとの市民の苦情がある。特別の人気図書については別扱いとし取扱いについて工夫すること。貸し出し期間が大幅に超過した場合はきびしく対処すること。

    6. マイナンバーカードで図書館利用を可能としているが、頻繁に携帯するため紛失の可能性が高い。この際、マイナンバーカードでの図書館利用は中止すること。

  25. 公民館には、社会教育施設としての重要な役割がある。2015年度に公共施設適正配置審議会より公民館と、市民館、共同利用施設のありかたや配置について答申があったが、西宮市の公民館の歴史的役割、経過も踏まえ、安易な統廃合は行わないこと。

  26. 各公民館の視聴覚設備については最新のメディアに対応できるものを配備すること。

  27. 市内各公民館活動の登録グループが日ごろの活動を発表する市民文化祭は、現在、文化振興財団への委託事業となっているが、公民館(社会教育部)が直接行うべきである。検討すること。