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佐藤みち子の反対討論
2016年09月16日

介護保険・総合事業への移行関連条例に対する反対討論


 ただいま上程中の議案第162号西宮市手数条例の一部を改正する条例制定の件、議案第163号西宮市特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例制定の件、議案第164号西宮市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例制定の件、議案第165号西宮市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例制定の件、議案第166号西宮市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例制定の件、議案第167号西宮市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例制定の件、以上6件につきまして日本共産党西宮市会議員団は反対します。
 以下、理由を述べます。

 これらの条例は、2015年4月改定介護保険制度により介護予防訪問介護と介護予防通所介護について、サービスの種類や内容、人員基準・運営基準、介護報酬などが全国一律となっている予防給付から、市町村が地域の実情に応じ、多様な主体による市が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という)に2017年4月から移行するため関係条例について国基準省令に合わせるために改正するものです。

 そもそも介護保険制度では、高齢者が要介護、要支援認定を受ければ「保険給付」を受けるという権利を得ます。市町村は、保険給付を提供する義務を負い保険給付の対象となるサービスは法令により基準が決められ介護の「質」が担保されます。

 国が示す総合事業のガイドラインでは家事援助については、ホームヘルパーなど有資格者による既存のサービスに加え、NPOや民間事業者による掃除・洗濯の生活支援サービスや住民ボランティア等によるゴミ出し等の生活支援サービスも可能としていますが、市としてはわが党野口議員の一般質問に対し、「一定の「質」の担保が必要との考えから総合事業の訪問型サービスについてはボランティア等による訪問型サービスは実施しない」また、通所介護については「利用者の安全面確保の面から緩和した基準による通所型サービスを実施する予定はない」と本会議で答弁しました。

 市は総合事業における訪問型サービスでは、ヘルパー資格を有する者以外に所定の研修修了者により提供される訪問型サービスを実施するとし、県がつくる統一カリキュラムを受講してもらい120人程度のサポーターを養成するとしています。そのサポーターについてはボランティアではなく労働者だと位置づけ初年度は社会福祉法人のみの雇用となり、次年度から民間事業所に拡大していくとの考えです。
 しかし、介護の現場では低賃金と重労働等で人手が不足していることが全国や市でも問題になっています。サポーターは労働者と言えその賃金はホームヘルパーよりさらに低いことになりますが、果たして120人もの担い手が確保できるのでしょうか。
 
 さらに国は要介護2以下の軽度者の福祉用具貸与や住宅改修の全額自己負担や、要介護1・2の介護も保険給付からはずすと言い出していますがこんな改悪は絶対に許せません。
 このような状況に厚生労働省で介護保険の設計を担当した職員も「団塊の世代にとって介護保険は国家的な詐欺となりつつあるよう思えてならない」と発言しています。

 2000年に始まった介護保険制度は、それまでは家族介護に依存してきた日本の介護が大きく転換され、「介護の社会化」が達成されるとしてきました。しかし、3年ごとに保険料の引き上げ、2014年6月には一定の所得のある人は利用料の2割負担、特別養護老人ホームの入所を要介護3以上等、制度開始以来の大幅な改悪が行われました。
 
 介護が商品化され特に低所得の高齢者は十分な介護を受けられない実態があります。保険料を取りながら介護を受けることができない。まさに国家的詐欺と言わざるをえません。
 
 日本共産党は今後も介護保険の改悪を許さず高齢者が安心して老後を過ごせる社会をつくるために頑張る決意を申し上げ日本共産党西宮市会議員団の反対討論とします。