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まつお正秀の一般質問
2016年12月08日

UR借り上げ市営住宅問題について


 ただいまから、日本共産党西宮市会議員団を代表して私、まつお正秀が三つのテーマで一般質問を行います。傍聴の皆さんありがとうございます。一つ目のテーマはUR借り上げ市営住宅問題です。21年前の阪神・淡路大震災で多くの人が住む家を失い、体育館などでの避難所生活、そして仮設住宅での生活を余儀なくされました。被災者のための公営住宅の建設が間に合わず、国は公営住宅法を改正し、新たに民間から自治体が借り上げて公営住宅にできる制度をつくりました。兵庫県、神戸市、西宮市、尼崎市、宝塚市、伊丹市などがこの制度を使って被災者に提供し、西宮市はUR都市機構、(以下URとします)から5棟447戸を市営住宅として借り上げました。自治体とURとの借り上げ期限は20年の契約になっていますが、多くの入居者にそのことが通知されておらず、今から約4年前になって何の対策も取らなかった反省もしないまま、突然20年の期限が来たから別の市営住宅へ転居を求めているのです。5つの住宅のうちですでに期限が来た青木町のシティハイツ西宮北口では、期限後も入居されている7世帯を市が裁判で追い出そうとしています。資料の表にありますように、今紹介した自治体の中でも、宝塚市や伊丹市においては全員継続入居を認め、尼崎市では期限ギリギリまで住んでもらった上で対応を考える、としており、今挙げた三つの自治体では住民の立場に立った対応がされています。一方で兵庫県、神戸市は一定の条件に該当する人はだけを継続入居とし、それ以外の人には移転を求めていますが、さらに西宮市では、一部の重度障がいや重度要介護者世帯のみ要配慮世帯とし、転居希望先を予約させた上で5年間の猶予は認めるものの、期限までに全員転居を求める最も冷たい方針をとっています。
 資料の裏面をご覧いただきたいと思いますが、
 この件でわが党議員団は、震災後に改正された公営住宅法では入居が決まった人たちに対して、期限がある住宅であること、期限日までに明け渡す事の二つを書いた文書で通知しなければいけない、となっているにも関わらず、市はそれを怠っていたことを指摘してきました。市はその代わりに住宅募集のパンフレットに転居の可能性があることを書いていた、あるいは入居者の説明会で期限があることを説明したと裁判で主張していますが、説明会でそのことを説明したであろうとする文書はあるものの、どの会場でどの職員がどんな内容で説明したかは明らかにされていません。いずれにしても、募集パンフレットや口頭の説明だけではダメだということです。
 また、阪神・淡路大震災を契機に、避難所から仮設住宅、そこから市営住宅などの新たな住まいに変わることによってコミュニティ破壊を引き起こし、多くの孤独死を引き起こしたことが震災での教訓とされました。西宮市がいまやっていることは、借り上げ住宅で長年培ってきたコミュニティを壊すことであり、さらに当時から20年近い年を重ねて高齢になった人たちを無理やり転居させるという、人道性の問題も問われているのです。
 私はこの6月議会において、市とURとの借り上げ期限が来年度に迫る四つの住宅にお住まいの方たちを訪問する中で「こんな人たちにも転居を求めるのか」という事例を紹介し、西宮市の際立つ冷たさを告発しました。さらにその後の訪問を重ねる中で、全員転居の方針が誤っていることを改めて痛感しています。
 少しその具体例を紹介します。これまで何回か訪問して会えなかった81歳の一人暮らしの男性に初めてお会いできました。立ち上がるのも大変で玄関に出てくるまでにも時間がかかります。玄関でお話をするのもしゃがんだまま、話もとぎれとぎれという状態。甲状腺の病気があって唾液が出ないので歯が全くないのに、いつもガムを噛んでいなければいけない。夏にはこの住宅から100mもない近くのコンビニに買い物に行って歩けなくなり、タクシーを呼んで住宅の人の助けを借りて家に帰られたというお話を聞きました。この方は5年間の転居猶予のある要配慮世帯ではないので、再来年の3月には転居を求められます。また、93歳の一人暮らしの女性にも初めてお会い出来ました。この方は緑内障で片目はほぼ失明、もう片方も中心がかすかに見えるだけで、転倒することが怖いので家の中では手押し車につかまって移動されています。今は家の中の配置が頭に入っているけど、新しいところに移ると部屋の構造から荷物の配置まで新たに覚えなおすことはできないから、転居はしたくないといわれました。こうした人たちはまだまだ他にもおられました。

 具体的な質問ですが
 一点目、兵庫県や神戸市は移転困難者がいるという認識ですが、私が6月議会で紹介した高齢者や先程紹介した高齢者は移転困難者だと思います。市はあくまでそうではないという認識か伺います
 二点目、市は先ほど紹介したような移転困難者が現実におられるという認識に立って、全員転居の方針を見直す考えはないか伺います。
 三点目、お手元の資料、各自治体対応一覧表の但し書きにあるアドバイザー会議の概要と開催状況を伺います。
 四点目、借り上げ住宅入居者について、市は転居を斡旋する住宅に新築の市営住宅は対象外としてきました。しかし新築の住宅でも市営住宅の建て替えなどによる入居者を募集しても入居がなく、多くが空き室の状況があります。借り上げ住宅住民の希望も聞いたうえで、借り上げ入居者の住み替え斡旋先に加える考えはないか。