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野口あけみの反対討論
2016年12月19日

議案第212号 指定管理者指定の件(西宮市立安井留守家庭児童育成センターほか4施設)に対する反対討論


 ただいま上程中の諸議案のうち議案第212号 指定管理者指定の件(西宮市立安井留守家庭児童育成センターほか4施設)について、日本共産党西宮市会議員団は反対をします。以下、理由を述べます。
 本議案は、平成18年度から指定管理者制度を導入している留守家庭児童育成センターについて平成19年度より公募制を採用しているところ、全施設を一斉に公募制に切り替えることは運営・管理に影響があるためとして、毎年5施設ずつ公募しているもので、来年度より安井育成センターなど5施設の指定管理者として「公募」にて、社会福祉法人 西宮市社会福祉協議会を指定するものであります。
 まず申し上げておきますが、私たちは指定候補者となった西宮市社会福祉協議会が不適当であるとして反対するものではありません。選定委員会の評価では、当該事業の豊富な実績から、安心かつ安定した運営が継続できる。また、それぞれの評価項目について、一定水準以上のレベルであり、育成センターの管理運営の経験も豊かである、などとされており、西宮市社会福祉協議会が適当であるとした選定委員会の答申に基づいての選定には同意をするものです。
 問題にしたいのは「指定管理者制度」であり、「公募制」です。
 指定管理者制度は一般に、民間の手法を用いて弾力性や柔軟性のある施設の運営を行うことが可能となり、また管理運営経費の削減による、地方自治体の負担軽減がメリットとされています。しかし、一方で、条例・規則等があるために「弾力性や柔軟性のある施設運営」というのは建前に終わり、民間の実力が十分に発揮できないとの指摘や、指定管理期間が限定されることによって人材育成や運営の長期的計画が難しいという指摘もあります。
 育成センター事業の管理運営経費はそのほとんどが人件費ですが、指定管理者によっての差はあまりなく、指定管理者制度による経費削減のメリットは期待できません。運営内容でも市内41施設に大きな差異があっては困ります。かつ、それぞれのセンターにおいて安心かつ安定した運営の継続が必要となります。市の公募制が指定期間をまず4年間とし、問題がなければあと6年間再指定することにしているのも継続性を重視してのことです。指定管理者制度自体が、そもそも放課後児童健全育成事業になじまないと考えます。
 また、育成センターで過ごしている子どもたちや、育成センターに子どもを預けることによって安心して働き子育てしている父母の立場で考えてみてください。「公募」によって運営方針や保育内容が変わってしまうかもしれない、何より、今見てくれている指導員さんが全員入れ替わるかもしれないのです。「何の不満もないのになぜ替える必要があるのか」「替わってしまって大丈夫なのか」と不安を抱くのは当然です。現に、「公募」となる育成センターでの説明会では同様の意見が毎年出されています。
 教育こども常任委員会で、公募することの意義、メリットについて質問したところ、市当局は、「公募によって運営事業者の競争意識が高まり、社会福祉協議会の保育の質が向上した。各事業者もそれぞれの特色を生かして、高い質のサービスを目指している。保護者アンケートでも総合的に高い評価結果が出ている」と答弁されました。
 保育の質を高める方法は指定管理者の公募によらずともほかにあります。子どもたちや父母の皆さんに不安にいだかせるデメリットを上回るメリットだとはとても思えません。
 繰り返しますが、公募によって指定管理者を選定することは、指導員が総変わりしてしまう可能性があり、父母や子どもたちに大きな不安を与えるものであり、ひいては育成センターの安心かつ安定した運営の継続を阻害することにもなりかねないものです。よって、議案第212号については反対いたします。