まつお正秀の反対討論/* --項目挿入-- */?>
2016年12月19日
議案第186号 西宮市附属機関条例の一部を改正する条例制定の件、議案第187号 西宮市農業委員会委員定数条例制定の件についてただいま上程中の諸議案のうち、議案第186号西宮市附属機関条例の一部を改正する条例制定の件、議案第187号西宮市農業委員会委員定数条例制定の件について、日本共産党西宮市会議員団は反対致します。以下理由を述べます。 今回の二つの議案は、昨年の通常国会で成立し、この4月1日から施行されている農業協同組合法等の一部改定案の一環として、従来の農業委員会法の変更に伴って提出されたものです。市が提案している議案は、内容的には従来の農業委員の定数は同じで、農業委員公選制が市長の任命制に変わるものの、選定委員会を設置してそこで候補者の選定をするという点では、市長の恣意的な人事になる歯止めもかけられています。 しかし、この法改訂がどのような背景で行われたのかを見ていけば、将来において、今回の議案による具体化が禍根を残しかねないということがわかってきます。 これまでの農業委員会法と大きく変わる点は、一つ目には、法の第一条の目的から、「農民の地位の向上」の文言を削除し、「農地利用の最適化推進」を掲げていることです。二つ目に、農業委員を公選制から市長の任命制に変えるというもの、そして三つ目には、農業委員の業務から「意見の公表、建議」を削除するなど、これまでの行政委員会という組織形態は変わりませんが、中身は「農業者の民主的機関」という性格を骨抜きにするものになっています。耕作放棄地対策の強化も盛り込まれていますが、今でさえ後継者不足で耕作放棄地が増えているのに、農地利用の最適化をうたい文句に小規模農家を切り捨て、拡大する耕作放棄地に企業が参入しやすい仕組みに変えていく恐れがあります。 昨年、この法案が審議された参議院農林水産委員会が開いた地方公聴会では、不信感、疑問、不安ばかりが出され、賛同する意見は全く出なかったそうです。 このことが、農業関係組織からの要望ではなく、財界やアメリカの要望から出てきていることを物語っています。 第二次安倍内閣は、「企業が世界で一番活躍しやすい国づくり」を公言し、その障害となる制度を「岩盤」に見立て、「ドリルで穴をあける」と宣言してきました。そして、医療などとともに農業も成長分野として位置づけ、規制緩和を進めるためのターゲットにしてきたのが、今回の法改定で取り上げられている農地、農業協同組合、農業委員会です。また、財界も同じような主張を繰り返してきました 現に2014年5月、政府の規制改革会議・農業ワーキンググループが発表した「農業改革に関する意見」では、農業委員の公選制の廃止などが打ち出されています。また、安倍首相が主張する戦後レジームからの脱却という考え方で、戦後農政の中心に位置づけられてきた家族農業の切り捨てという方向も、この法改定に反映されています。 今、政府が進める経済政策で、自由化の名のもとに自動車産業などの輸出をさらに進めやすくする一方で、農産物などの関税をなくして国民の命にもつながる食料のさらなる輸入だけでなく、医療や労働の分野などの規制緩和を進めるTPPの強行は、先程指摘した農業切り捨てと一体のものです。TPPはアメリカが加入しなければ成立しない仕組みになっています。トランプ次期アメリカ大統領が就任日にTPPから脱退すると言っているのに、あくまでTPPにしがみつく日本政府の姿勢は笑止千万と言わざるを得ません。トランプ氏は二国間交渉でアメリカの利益を獲得するといっていることからも、TPPの合意を日本が批准すれば、その合意を前提にアメリカからさらなる市場開放が求められる事になります。 こうしたアメリカや財界の意向に沿って、日本の農業を潰していく事につながる農業協同組合法等の改訂の具体化となる今回の2議案に、日本共産党西宮市会議員団は反対することを表明し、討論といたします。 |