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上田さち子の一般質問
2017年03月01日

子育て支援の拡充について


2、子育て支援の拡充について

 2017年度当初予算案のポイントの第1に「子どもが育つのによいまち」「子育て世帯に選ばれるまち」というコンセプトを重視した事業に重点配分したとされ、内容は、深刻な保育所待機児童解消に向けた施設整備や、子ども急増と老朽化に対応するため、香櫨園小学校をはじめ学校施設の新増築が進められることになりました。
 しかし、喫緊の課題であるハード整備を進めるだけで、はたして「子育て世代に選ばれるまち」になるのか疑問です。西宮市でも格差の広がりが進み、子どもの貧困問題は一層深刻さを増しているといえます。制度としての子育て支援拡充も待ったなしで進めなければなりません。
 子育て支援の施策を考えるとき、基本的には西宮に住むすべての子どもを対象にすることは当然です。その上で特に支援の必要な子どもには特段の対策を講じるべきと考えます。そのことを大前提として、今回は二つの制度拡充について質問します。
 一つは、今村市長が選挙公約に掲げていた「乳幼児等医療費助成の所得制限撤廃」という点です。西宮市の「乳幼児等・子ども医療費助成制度」は、0歳から小学3年生までを「乳幼児等医療」とし、小学4年生から中学3年生までを「こども医療」としています。このなかで0歳児のみが所得制限も一部負担金もなく、完全無料化となっています。2年前の2015年・平成27年7月より、1歳児から5歳児まで、いわゆる未就学児については所得制限をなくしましたが、父母等扶養義務者全員の市民税所得割税額合計が、23万5000円以上の世帯では、外来で1回800円などの一部負担金は残されたままとなっています。さらに、この所得制限があるために、小学1年生から中学3年生の児童生徒は、病気になって医者に行くたびに医療費が3割負担となって、重くのしかかっているのが現状です。
 所得制限によって、せっかくの子ども医療費無料制度が受けられない子どもの数は16756人、西宮の子ども全体の22%となっています。この世帯は当然ながら、所得に応じて所得税や県市民税の負担、保育所に通わせておれば高い保育料の負担もしています。そこへ、子どもが病気になった時には3割負担となり、市の制度の恩恵に浴することができません。2015年6月議会でわが党の庄本けんじ議員が、子ども医療費助成制度の所得制限を撤廃し、すべての子どもを対象にすべきと質問しました。これに今村市長は、「子育て世帯に対する支援施策の一つとして、拡充に努めてまいるつもりでございます」と答弁されました。
 2015年4月1日現在ですが、子ども医療費無料制度で所得制限がないのは47都道府県のうち17府県、また1741市区町村のうち1402自治体・80.5%となり、すべての子どもを対象にした事業へと広がり続けています。
 そしてこの度神戸市は、2017年度・新年度予算で、7月から所得制限撤廃の対象年齢を現在の未就学児までから中学3年生までに拡充、すべての子どもを医療費助成の対象とすると発表しました。
 西宮に住む子どもであれば、所得のたかにかかわらず、どの子も等しく安心して医療が無料で受けられるようになってこそ、市長の施政方針で強調された、子育て世帯に支持される西宮になるのではないでしょうか。

(質問)
 2015年6月議会で今村市長は子ども医療費助成制度の所得制限をなくすよう求めた庄本議員の質問に「子育て世帯に対する支援施策の一つとして、拡充に努めていく」と答弁されましたが、現時点では何ら制度の拡充は進んでいると思われません。あらためて、中学卒業まで、西宮市の子どもはすべて医療費無料制度が受けられるよう、市長のマニフェスト通り所得制限を撤廃し、あわせて一部負担金もなくすべきです。答弁を求めます。

 子育て支援拡充の二つ目は、就学援助金の入学準備金についてです。
 2017年度政府予算案で「要保護世帯」つまり生活保護世帯と同程度に困窮している世帯に対する就学援助のうち、新入学の児童・生徒に対する入学準備費用の国の補助単価が、小学校で20470円から40600円に、中学校で23550円から47400円にと、約2倍に引き上げられました。これは日本共産党田村智子参院議員が昨年5月24日の参院文教科学委員会で、新入生のほぼ全員が購入するランドセルや制服などの費用と、就学援助金が大きくかい離していると指摘し、抜本的に引き上げるよう要求。これに当時の馳文部科学大臣は、かい離を認め調査と対応を約束していたものです。ちなみに生活保護の世帯には、教育扶助としての入学準備金の単価はすでに2014年より、今回引き上げられた単価が適用され、支給のタイミングも10年以上も前の2004年から、入学前の3月の保護費に上乗せされて給付されているのが現状です。厚生課の担当の方にお聞きすると「新入学のための準備金なんだから、入学前に渡すのが当然でしょう」と明快でした。ところが就学援助制度の入学準備金単価は低く、その支給も入学後の7月となったままです。
 入学準備金の支給時期を早めることにつきましては、昨年3月議会でわが党野口あけみ議員が取り上げましたが、今回は、要保護世帯への入学準備金の単価引き上げを準要保護世帯にも適用することも合わせて求めたいと思います。
 いうまでもなくこの就学援助制度は、深刻な子どもの貧困対策の重要な施策です。
 例えば中学1年生に入学する生徒は、制服代・体操服・カバン等々で入学前に10万円近くかかるところもあるということです。このお金がないために、制服が用意できず入学式を欠席するなど、その後のいじめにもつながりかねない事態も懸念されているところです。栃木県宇都宮市ではこの春に新入学する対象児童・生徒がいる準要保護世帯に、入学前の3月に入学準備金を支給することを決め、さらに単価引き上げについても、新年度の早い時期に補正予算を組んで差額を支給するとしています。2015年から3月支給を開始している福岡市の担当者は「子どもの貧困が全国的な問題になる中、市民サービス向上につながると考える」と述べています。

(質問)
 準要保護世帯への入学準備金の単価を、新年度より補正予算対応で要保護世帯と同額に引き上げるべきと思いますがいかがでしょうか。また、その所要額もお聞きします。さらに、入学準備金の支給時期を、実際の入学に間に合うように前倒しすべきです。答弁を求めます。