HOMEへ
野口あけみの反対討論
2017年03月29日

2017年度一般会計予算案等に対する討論


 ただいま上程中の諸議案のうち、
議案第247号 2017年度西宮市一般会計予算、議案第249号 2017年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第254号 2017年度西宮市介護保険特別会計、議案第255号 2017年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、および議案第262号 2017年度西宮市病院事業会計予算について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。
 以下、理由と意見、要望等を申し上げます。

 本日3月23日は、本議会でも議長の辞職がこのあと予定されるという想定外の展開となりましたが、国民の注目は森友学園問題での籠池学園長の衆参両院での証人喚問に集まっています。国民の財産である国有地が格安価格で売却されたこと、大阪府が森友学園からの要請で私立学校の設置認可基準を緩和し、府私学審議会が「認可適当」としたことなど、数々の前例のない異例の取引に国民は「なぜ」と疑問を抱いています。当議会でも私が所属する教育こども常任委員会や予算分科会では、森友学園問題から派生して、高木北小学校の土地に関する瑕疵担保責任での和解議案や、保育所認可、私立学校園への指導監督などが議論の的となりました。
 問題の背後に、政治家の圧力、関与があるのではないかと疑われており、安倍首相夫妻や稲田防衛大臣は関与をむきになって否定しているわけですが、同学園との関係、その道義的責任は改めて問われます。
 毎日新聞の論説副委員長が21日付同紙に、教育勅語の暗唱を幼稚園児にさせるような戦前回帰といえる学園の教育方針に共感する社会の空気が、官僚や行政機関への見えない圧力になったのでは、という論評を掲載しています。また、これも同じく21日付夕刊にはテレビでもおなじみの評論家、青木理氏の、次のようなコラムが掲載されていました。心服していたのに切り捨てられそうなトカゲのしっぽ=学園理事長が、切り捨てようとしているトカゲの本体=首相や防衛相に、爆弾証言を浴びせて食いついている、という構図のなかで、トカゲの本体としっぽを結び付けてきたものの正体が見えてきた。それは、戦前復古的な日本会議という危ういトカゲだ、というものです。この問題への政治家の関与、圧力が一般的に考えられる「金」が動機ではなく、教育への共感がその動機になっていることも十分考えられます。闇の深いこの問題は、本日の証人喚問を契機に、真相の徹底究明が求められます。
 闇の徹底究明が求められているのは、この問題だけではありません。南スーダンPKOからの撤退が決定された自衛隊派兵をめぐっての「日報」隠ぺい問題、豊洲市場移転問題なども挙げられます。また、日本を監視社会にし、闇に覆ってしまう「共謀罪」法案も国会に提出されました。
 まずは、主権者である国民の前に真実が明かされ闇を晴らし、責任を負うべき立場の者がその責任をとることを国民は望んでいると、申し上げたいと思います。
 
 さて、まず、議案第247号 2017年度西宮市一般会計予算についてです。
 新年度予算案は、震災直後を除いて最大規模となりました。4年連続最大規模の更新です。代表質問でも指摘したように、こうした規模の予算が組めるのは、根幹となる市税収入が中核市45市のなかでも6位と上位の位置にあり、市税のうちでも安定的な税収である個人市民税や固定資産税の割合が高いなど、財政基盤が強いことが背景にあります。
 今後、多大な公共施設の更新や老朽化対策が待ち構えているとはいえ、ことさらそれを振りかざすことなく、その時々に行政需要を見極めながら必要な施策に取り組み、市民サービスの向上に取り組むべきです。
 日本社会ではますます貧困と格差が広がっています。これは決して自然現象ではなく、強きを助け弱きをくじく国の政治によってもたらされているものです。その中で、これを是正し、解決していく方向にこそ行政は向かうべきです。特に今、高齢者が社会保障削減のターゲットとなっており、市の高齢者施策で補うに余りあるため、国に対して高齢者いじめはやめよ、社会保障の充実をと求めるべきでは、と、市長にその認識を問いましたが相変わらずノーコメントでした。「国政レベルにおいて判断されるべき税制や社会保障制度等については、国の法律や方針に従って、その範囲内で最大の住民福祉を図るべきもの」という市長の政治姿勢では、「住民の福祉の増進」が本物にならないと考えます。代表質問で政策以前に、資質に問題ありと指摘しましたが、困っている人に心を寄せるという姿勢や態度がおよそ見られないという点でも問題あり、と申し上げます。
 
 UR借り上げ市営住宅問題では、シティハイツ西宮北口の住民7名を被告席に立たせる裁判関係経費が予算案には計上されており、これに反対するものです。
 今議会では、建設常任委員会の所管事務調査として、「UR借り上げ市営住宅の現状と今後のスケジュールについて」の報告がありました。内容は、@現時点での入居戸数は86戸であること A2018年3月19日をもって借り上げた5団地すべてで、西宮市とURとの借り上げ期間が終了する B住み替えを承諾している入居者への、借り上げ住宅からの住み替えを円滑に行うという基本方針だが、2011年度以降に建設された住宅に応募が集中しており、住み替えに協力する入居者が複数回落選していることから、年3回の定期斡旋から毎月の「随時斡旋」へ、今年10月から切り替えるというものです。
 スケジュールとしては、この4月から「随時斡旋」について入居者のみなさんに説明し、5月から8月下旬にかけて市が案内する春風団地などの市営住宅の中から2カ所以上登録してもらい、10月中旬にあっせん順序を決める抽選を行い、11月より空きが出た登録住宅に、順序により斡旋を受け入居していただくとしています。
 その際、登録住宅に空き家が出ない場合、借り上げ期限後最大5年間を猶予として、UR借り上げ市営住宅に入居継続を認め、5年経過後も空き家が出ない場合は1年ごとに入居更新し、最長は20年ということです。
 今回の市の方針は、これまで要介護3以上などの要配慮者のみに限定していた「事前予約制度と5年間の猶予」を、健常者も含めすべての入居者に適用することになり、大変大きな変更となっています。この背景には、URとの20年の契約期限までに、住み替え希望の入居者も含め、全員が希望する市営住宅に転居できる可能性がなくなったことから、何らかの「待機条件」をつくる必要性があったためであり、20年で何が何でも全員を退去させるとした「基本方針」のゆきづまりがあったことは明らかです。
 常任委員会や予算分科会での質疑では、現在市が住宅明け渡しを求めて裁判となっている、シティハイツ西宮北口の7世帯のみなさんには、今回の方針、つまり健常者であっても希望する住宅の事前登録をすれば、5年間UR借り上げ住宅の入居継続を認めるということは提示しておらず、そのことは公平性がまったく保たれていないことになる、また、今回の方針変更の検討が、まさに訴え提起を行う以前の、昨年3月にははじまっていたことも明らかになりました。
 青山都市局長は、今回の変更内容は弁護士を通じて、シティハイツ西宮北口の7世帯のみなさんに伝えるとし、その結果、協議が行われれば裁判の和解もあり得ると答弁しました。この問題については、市としての積極的な努力を強く求めておきたいと思います。

 次に、マイナンバー制度関連予算に反対です。日本に住民票を持つ全員に12ケタの番号を割り振るマイナンバー制度は、徴税強化と社会保障費抑制の手段にしたい国と財界の都合で導入されたものであり、国民にとって何らメリットはなく弊害ばかりです。詳細は、のちの日程で討論させていただきますが、廃止へ向けて見直すことが必要です。
 現時点では予算に反映されていませんが、新年中に自動車運転手、学校用務員、給食調理員などについて、すでに民間委託の方向性の整理作業を終えており、職員団体との交渉時期に合わせて表明するとしています。安ければよいとの発想に立つ民間委託は安易に導入すべきではありません。
 入居要件を満たす入居希望者の多くが、申し込んでも申し込んでも落選し続けているもとで、市営住宅を削減することに反対です。

 続けて、意見、要望を申し上げます。
 1点目は、就学奨励金の入学準備金の入学前支給についてです。この問題は、日本共産党西宮市会議員団として昨年の3月議会に続いて今議会一般質問で、上田議員がとりあげました。
 入学までに準備しなければならない学用品費の一部に充てる新入学用品費が7月支給ではだめでしょう、せめて3月支給にと、全国の自治体が動き出しています。子育て支援の充実を言う西宮でこそ、と求めているわけですが、教育委員会の本会議答弁は、「他市町村と支給年度が異なることから支給対象者の調整や事務負担などが課題であり、前倒しの支給は困難」というものでした。
 事務負担がいかほどのものか、問われた教育委員会は、例えば中学入学者の受給対象者約700人のうち、転出入者は20人程度と答弁しました。わずか20人に対する事務負担が課題とする教育委員会に、驚き、あきれたのは私だけではないと思います。
 そののち、新日本婦人の会西宮支部より提出された「就学奨励金の新入学用品費を入学前に支給することを求める請願」が審査された教育こども常任委員会で、教育委員会から「本会議で指摘があり、前向きに議論した結果、手法などを具体的に検討し早期に実施していきたい」「実施のめどは来春、補正予算の提案も視野に入れる」との意見表明、答弁がありました。事態が大きく動いたのです。予算分科会では、来春は中学生のみを対象にすると答弁されましたが、まだ時間的には十分間に合いますから、小学生への前倒し実施と支給額の増額を合わせて検討するよう求めます。
 2点目は、保育所待機児童対策です。昨年の「保育所落ちた。日本死ね」のブログへの反響から、保育所待機児童問題が一気に社会問題となり、国でも対策を打たざるを得なくなりましたが、遅々として進んでいないというのが実態です。本市でも、今年4月の保育所受け入れ人数は、昨年より147人増えて7287人となっていますが、保育の必要性の認定を受けたうえで、保育所を申し込んだ子どもは昨年より292人多い2841人となっています。結果、3月8日時点で、保育所に落ちた子ども=利用保留者は833人にのぼります。辞退者が出たとしても昨年の636人より上回ることは確実です。
 市では今年を含め3年間で約1500人の受け入れ枠拡大を目標に、市有地や公園などを活用した民間認可園の誘致で、現時点で900人分の確保にめどがついているとのことです。残り600人分の確保のために、@時限的に新たな認可保育所等の整備のために賃貸された土地・建物にかかる固定資産税等の課税免除、保育所等運営事業者に対する土地賃借料の補助制度 A保育士確保の支援に、国制度にのっとって保育所運営法人が新規採用した常勤保育士のために確保した宿舎の賃借料を補助する制度 B原則2歳までを対象とする小規模保育施設の卒園後、認可保育所に入所できずに認可外保育所を利用する方に利用料を補助する制度が新設されました。
 待機児童対策の取り組みは、一定の評価をするものですが、以下5点の意見指摘をします。
  1. 保育士確保のための処遇改善では、国の制度の域を脱することなく不十分だといわなければなりません。給与改善への独自策を思い切って強めるべきです。
  2. 新設された認可外保育所保育料の補助については、認可保育所の整備がまず先決ではあるものの、次善の策として実施されるべきものです。しかし、小規模保育施設卒園児に限るのでなく、保育の必要性を認められた子どもで、やむなく認可外保育所に入所している子どもはすべて対象にすべきです。
  3. 審査の中で、市が認可外保育所に入所している子どもの人数さえ把握していないことが明らかとなりました。保育所に落ちた子どもたちやご家庭がその後どんな思いでいるのか、どう対処したのかを市はしっかりと把握すべきです。そうしてこそ、血の通った対策施策ができるのではないでしょうか。
  4. 認可外保育所に対する指導監督と、もちろん、認可保育所に対する指導監督も市の事務です。適切な保育が提供されるようしっかりと指導監督してください。先日来、姫路市の私立認定こども園の不適切な保育実態が県と姫路市の特別監査で判明しました。次々と報道されている内容は本当にひどいものです。昨年1月に、本来市を通すべき園児の受け入れを直接契約で受け入れているという情報提供があったにもかかわらず、今年2月の抜き打ちの特別監査で初めて、不適切な保育を把握したとのことでした。少なくとも1年間、こうした事態が放置されていたのです。姫路市は、「不適切な運営をどう見抜くか研究したい」とコメントしているようですが、本市もここから教訓を学び、生かしていただきたいと思います。
  5. 保育需要は、まだまだ伸びると予測される中、いかに認可保育所を整備するか、が今後も当分の間、大きな課題であり続けます。党議員団は、民間任せにせず、公立保育所やその分園整備をこれまでも提案してきました。そのことも改めて求めておきます。そのさなかに市は、保育所等の早急な整備を進める一方で、保育所等の適正配置計画の策定にかかると施政方針のなかで言及されました。「適正配置」とは、行政用語で「減らす」ことです。一方で増やすといいながら、一方で減らすことを考えるのでは、本気の取り組みになりません。待機児童が解消され、少なくとも定員の弾力運用を解除できるところまで保育所整備をすすめるべきです。指摘しておきます。

 その他、ここでは繰り返しませんが、各分科会において出された意見、要望、指摘については真摯に受け止めていただきたいと思います。

 次に、特別会計予算について順次、討論します。
 まず、議案第249号 2017年度西宮市食肉センター特別会計予算についてです。
 新年度には新たな機器の購入や施設の整備はありませんが、毎年1億8000万円も一般会計から繰り入れで運営をする状況は変わっていません。
 もともと食肉センターについては、食肉センター検討委員会から、県への移管、民営化、それができないのであれば廃止という提言が出されながら、2013年度から5年間の指定管理者による運営が行われています。現在の指定管理が終了するときには、再度たちかえって提言通りの対応をすることを求めておきます。

 次に、議案第254号 2017年度(平成29年度)西宮市介護保険特別会計です。
 2017年4月以降に要支援認定申請を行った者のうち、身体介護を必要としない人の掃除や買い物などの家事援助については介護予防・日常生活支援総合事業に移行します。その担い手は有資格者のヘルパーではなく、県の研修を受講した介護予防・生活支援員が担いますが、専門家の介護がなくなることなり問題が起きないかと危惧されるところです。
 また、利用者が同じ月内に受けた、居宅サービスまたは施設サービスの利用者負担の合計が、負担上限を超えた場合は申請により高額サービス費として支給されますが、2017年8月より単身世帯で383万円以上、2人世帯で520万円以上の収入があれば高額介護サービス費が月額37,200円から44,400円に引き上げられます。月額7,200円、年間86,400円も負担が増えることになり、認めることはできません。

 議案第255号 2017年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算に反対です。
 後期高齢者医療保険では、国が低所得者の負担軽減策として制度の当初から行ってきた、特例軽減を新年度から段階的に廃止することとしました。二年間で所得割の軽減を廃止し、被扶養者だった人の均等割も本則の5割に戻します。さらに次期消費税の増税の時に、国が低所得者への給付金支給や介護保険料の軽減策を行うことを口実として、均等割りで残っている特例軽減対象者についても廃止していく予定となっています。
 これらの特例軽減がすべて廃止されれば、西宮でも加入者の約半数の方が負担増になってしまいます。この負担増は新年度予算には盛り込まれておりませんが、補正予算で対応することになっています。
 もともとこの制度は「うば捨て山制度」という批判の中で、国は施行当日に長寿医療制度と呼ぶよう指示を出したものの、結局現行の名称となっています。当時、厚労省でこの制度を担当した官僚が石川県で講演し、「この制度は、医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくものだ」と言い放ちましたが、この言葉がこの制度の本質を示しています。高齢者に痛みを押し付ける後期高齢者医療制度の廃止を求めるものです。
 最後に、議案第262号 2017年度西宮市病院事業会計予算については先の日程で述べたとおりの理由で反対するものです。

 以上、日本共産党西宮市会議員団の2017年度一般会計予算はじめ5件の予算についての反対討論とします。