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まつお正秀の討論
2017年03月29日

国民健康保険条例の一部改正する条例制定の件、医療費助成条例の一部改正する条例制定の件、について


 ただいま上程中の二つの議案に対し、日本共産党西宮市会議員団は議案第290号西宮市医療費助成条例の一部を改正する条例制定の件には反対し、議案第289号西宮市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定の件について、意見を述べて賛成いたします。
 まず、議案第290号西宮市医療費助成条例の一部を改正する条例についての反対理由です。今回の条例改正は、兵庫県が最終二カ年行革プランにおいて、現在、県と市町との共同で行っている老人医療費助成事業を一旦廃止し、高齢期移行助成事業に名称を変えたうえで、これまでの低所得U、今回の案では区分Uとされていますが、この層に要介護2以上という条件を付けて対象者を大幅に減らすことによるものです。市はそれに連動して、所得制限を緩和して市民税非課税世帯まで対象を拡大した助成をこれまで行っていますが、このたびその階層にも県と同様の要介護2以上という制限を設けることを盛り込んでいます。現在、国の医療制度においては、65歳から70歳になるまでの高齢者に対する医療機関での窓口負担は本則3割ですが、低所得者の負担が大きいことから、今の制度は昭和46年度より老人医療助成事業が行われてきたもので、今回経過措置があるものの、経過措置が無くなれば現時点での試算ではありますが、市の単独事業では877人からわずか9人しか対象にならず、今回区分Uとされる層でも277人からわずか5人となって、これまでと比べて1000人以上が対象外となってしまいます。
 すでに新聞などで報道されたように、兵庫県議会の行財政構造改革調査特別委員会は、現行制度の対象者に経過措置を設けた県案、すでに昨日その行革案が議決されたそうではありますが、これに対し、経過措置終了後も負担軽減を図るとともに、健康増進対策を実施するなど、負担増にならないような環境整備を求める報告書を知事に提出していることは、低所得高齢者への医療費負担が重くのしかかっていることを踏まえたものと思われます。
 国は後期高齢者医療制度において当初から行ってきた特例軽減の廃止を決めましたが、こうして次々と高齢者に襲いかかる保険料や医療費負担の増大の一環ともなる、今回の条例改正は認めることはできません。

 続いて、議案289号西宮市国民健康保険条例の一部を改正する条例について、意見を申し上げます。
 今回の条例改正は国の国民健康保険法施行令の改正に伴い、保険料における限度額について、基礎賦課分で2万円、後期高齢者支援金分で2万円、計4万円を引き上げ、介護保険分と合わせて85万円から89万円にするとともに、国民健康保険料の低所得者にかかる軽減措置の判定所得基準額をわずかではありますが引き上げること、などに合わせたものです。
 今回の賦課限度額の引き上げは、今年度すでに4万円が引き上げられ、新年度も4万円の引き上げとなれば2年連続となります。今回の改正によって現段階の試算では、加入者の約67%が1円から9560円の間で保険料は下がりますが、加入者の約3%で1円から4万円引き上がることになるとのことです。日本共産党議員団は67%の世帯で引き下がることから今回の条例改正に反対をするものではありませんが、所得に占める国民健康保険料割合が1割を超える場合があるなど保険料のあり方は異常と言っても過言ではないと思います。国民皆保険制度の名の下で創設された国民健康保険制度は、自営業者や農業従事者で圧倒的に構成されたものが、今では無職の人たちが半数近くを占めるという構造的な問題に加え、国保の総収入に対する国庫支出金の割合が30年前には50%近くあったものが、今では25%近くと約半分にまで削減されていることが保険料の高騰につながっています。国は今後、賦課限度額を超える世帯について全体の構成比を1.5%にまで引き下げることを目標としていますが、今回の引き上げ後でも基礎賦課分と後期高齢者支援金分を合わせた医療分での割合は2.57%ですから、1.5%を追求するということになれば、今後も延々と限度額引き上げが行われることになります。国は社会保険方式を採用する医療保険制度では、保険料負担は負担能力に応じた公平なものである必要があるということを認めています。一方で、受益との関連において、被保険者の納付意欲に与える影響や、制度及び事業の円滑な運営を確保する観点から限度額の設定が必要としていますが、本来もっと負担できる層に負担を求めるのが筋であり、限度額の中で加入者の負担割合だけを変えるだけに近い今の仕組みには問題があります。
 昨年パナマ文書としてほんの一部が明らかになったタックスヘイブンなどによる税逃れや、特に一億円の所得を超えたとたんに所得税の税率負担が低くなる日本の今の税の仕組み、さらに大企業などが莫大な利益を上げながら法人税をまともに納めなくてもいい仕組みなどを改めて税収を増やし、国保への国の補助を増やすなど、低所得者や医療に関する国民の負担軽減策を国に求めるよう要望し、議案第289号には賛成し、二つの議案への討論とします。