佐藤みちこの一般質問/* --項目挿入-- */?>
2017年06月28日
NPO法人「西宮障害者雇用支援センター協会」にかかる問題について2017年3月31日から4月1日にかけての新聞報道で障害者らの就労支援を行うNPO法人「西宮障害者雇用支援センター協会」(以下、NPO法人と言う)が大阪国税局の税務調査で源泉所得税の徴収漏れを指摘されました。記事によると、このNPO法人は約5億円を2016年までの6年間で障害者らの報酬として計上したが、その資金は理事長の父親に渡り私的流用されていたと、重加算税を含め約2億8千万円を追徴課税されたとのことです。 西宮市は「障害者の雇用を積極確保する」との国の方針を踏まえ、NPO法人系列3団体に対し、9年間に清掃や除草など総額26億円以上の業務を随意契約で発注してきました。 NPO法人の収入はこの公費が大半であり、新聞報道が事実ならば市の随意契約のあり方等についても厳しく問われることになります。 また、この問題について、兵庫県企画県民部県民生活局長より、NPO法人に対して「貴法人については、市民からその活動を懸念する情報が寄せられ、また、特定非営利活動促進に基づく報告及び検査の対象となり得る要件が認められた、兵庫県におけるNPO法の運用方針により、自主的に市民への説明を実施するとともに、説明内容を記載した書面を県まで送付すること」を求め、NPO法人は、2017年4月14日付けで説明文章を県に送付しています。この文章については県のホームページで掲載されていますが、その中身は、新聞記事およびテレビ等による報道内容については、全くの事実無根であり、西宮税務署に対して再調査請求をしているということ、また、資金提供の強要が長年にわたり、このような事態を黙秘せざるを得ない事実があった、この点についても西宮税務署に再調査を求めているとのことです。4月には県や市が監査を実施し障害者等には適切に給与が支払われていたと報告しています。 その後、4月20日発売の週刊新潮に、5億円の脱税「障害支援金」にたかった「政治家」という記事が掲載され、現職の西宮市議に5年間で約1億6千万円以上が渡っていたと生々しく報道されました。現職市議はこの週刊誌の記事については、「事実ではない」と真っ向から否定しています。 5月11日には、NPO法人がこの問題で記者会見を行いましたが、何ら真相は明らかになりませんでした。 さて、随意契約の問題です。 1991年度(H3年度)に本市の失業対策事業が廃止され、その後は、西宮高齢者事業団、中高年企業組合、正進清掃サービスセンター企業組合(アドバンスNPO法人の前身)の3団体が、失業対策事業の清掃等の仕事を受け継ぎましたが、2004年の地方自治法施行令の一部改正を受け、2008年度から3団体との随意契約を廃止し、競争入札に移行することになりました。しかし、高齢者の就労支援対策が市の施策として重要であること、3団体の高齢者雇用の確保に果たしてきた役割が十分評価できること等の理由で全面的に随意契約を廃止するのではなく、2008年度(H20年度)からは、2007年度(H19年度)の契約実績の20%相当額を激変緩和措置として随意契約を継続すると決め、現在に至っています。 一方、今回私が取り上げる障害者の雇用や就労支援については、2007年(H19年)9月に総務常任委員会の所管事務報告で総務局から報告されていますが、随意契約を廃止する3団体の中には多くの障害者を雇用している団体もあり、(これが正進清掃サービスのちにアドバンス企業組合、今のNPO法人のことです)また、国や県の動向も踏まえ、新たに市として、「西宮市障害者雇用促進企業及び障害者支援施設等からの物品等の調達に関する取扱い方針」(以下、取扱い方針という)を定めました。 この取扱い方針では、障害者の雇用に努める市内の企業及び障害者支援施設等の受注機会の拡大を促進し、障害者の雇用促進及び就労の安定を図ることを目的に、随意契約により業務の発注を行っています。金額は500万円以内です。 この取扱い方針では市長が特に認める場合は、500万円を超える金額であっても随意契約を行うことができると@主として障害者が直接従事することが見込まれる施設の清掃等の維持管理業務、Aその他、市長が特に必要と認める業務、としています。 しかし、さらに例外規定があり、特例で市長が認める場合は、別表で障害者数により上限額を定めています。2007年度、最初の取扱い方針では、市内在住障がい者の数が5人以上10人未満で上限額2,363万円から始まり4つの区分で、最大では、市内在住障がい者の数が30人以上で9450万円までの随意契約を認めています。この取扱い方針は、主に別表部分の改訂が5回繰り返されています。そして、現在の取扱い方針では障害者支援施設等については市内在住という要件が消えて、障害者の数が10人未満で3,077万円、5つの区分で、最大では40人以上で1億6,396万円という上限額までの随意契約を認めるまでになっています。 NPO法人は取扱い方針が創設された当初から今日まで、多数障害者雇用企業向けの取扱い方針と障害者支援施設等向けの取扱い方針の両方の適用で市と随意契約を結び、創設時には1億4,758万円、2016年度(H28年度)には2億8902万円にまでその契約額は膨らんでいます。さらにNPO法人は、2007(H19年)年11月には、アドバンス株式会社を設立、2008年(H20年)12月には一般社団法人障害者雇用支援センターを設立し、現在、同族者が代表者であるこの3団体がアドバンスグループを形成していますが、取扱い方針施行2年目の2009年度(H21年度)からはアドバンス株式会社もこの方針によって、4,672万円の随意契約を結んでいます。 結果、アドバンスの2団体は、市の取扱い方針による2008年度(H20年度)から2016年度(H28年度)の9年間、少額随意契約を除く随意契約の総額29億2,916万円のうち、実に74%にあたる21億7,550万円を独占しています。 日本共産党市議団は、高齢者や障害者の働く権利を保障することは福祉施策として重要だと考えるものであり、随意契約についても全面的に否定するものではありません。しかし、「随意契約で発注している業務委託については、高齢者や障害者の雇用と就業の機会を確保するための福祉施策」だという市の主張どおりとなっているのか、一部の団体が特に優遇されていないのかが、このたびの一連の出来事の中で問われているのではないでしょうか。 質問します。
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