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野口あけみの一般質問
2017年09月07日

社会福祉法人・社会福祉施設等指導監査のあり方について


クリックで大きな写真を表示 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して私、野口あけみが一般質問を行います。
傍聴にお越しの皆さん、ありがとうございます。

1、社会福祉法人・社会福祉施設等指導監査のあり方について
 2008年4月1日、本市は中核市に移行しました。それに伴い、兵庫県から主に福祉部門の権限を委譲され、なかでも重要なもののひとつが、社会福祉法人や社会福祉施設等に対する指導監査(以下、略して指導監査という)です。
 タブレットおよびお手元の資料にある通り、本市では、2017年3月31日現在、社会福祉法人では35法人、保育所を中心に児童福祉関係で153施設、老人福祉・介護保険関係が729施設、障害福祉関係536施設、その他救護施設1施設を含め、総数1454か所もの法人、施設を対象に、それぞれの根拠法に基づいて、1年に1回、2年に1回、または概ね6年に1回という頻度で指導監査を行っています。  
 指導監査の目的は、西宮市社会福祉法人指導監査事務要綱および福祉施設等指導監査事務要綱などで次のように定められています。法人においては、「法人の自主性及び自律性を尊重し、法令または通知等に定められた法人として遵守すべき事項について運営実態の確認を行うことによって、適正な法人運営と社会福祉事業の健全な経営の確保を図ることを目的として実施する」。福祉施設については、「適正な運営の確保及び社会福祉施設等によって提供される福祉サービスの質の向上を目的として実施する」というものです。
 いつのころからでしょうか。保育も介護も障がい福祉の分野でも、福祉サービスの圧倒的な部分は、公ではなく、民間事業者の手に委ねることとなってしまいました。「官から民へ」「民間でできることは民間へ」との掛け声で民営化や民間委託は増え続け、特に介護保険制度は介護サービスの市場化を目的に導入されたといっても言い過ぎではありません。今や介護サービスや障がいサービスは、ほとんどすべてが民間事業者によってサービスが提供されています。
 いつのころから、と先ほどは申し上げましたが、実はこの流れは介護保険制度が施行された2000年(平成12年)の社会福祉構造改革から始まっています。社会福祉構造改革は、社会福祉制度を措置制度から契約制度に、応能負担から応益負担に転換し、民間企業を含む多様なサービス提供主体の参入を推進してきました。
 しかし、いかに福祉サービス提供が民間事業者にゆだねられても、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という憲法第25条の規定から、国や地方自治体の福祉向上増進の責任は免れません。
 だからこそ、行政による民間福祉サービスに対するチェック機能、すなわち指導監査は必須であり、重要です。
 民間事業者の多くはまじめに福祉事業に携わっておられるともちろん思うのですが、大手の営利法人や多種多様な法人・事業者の参入などによって、一部には問題を起こす事業者も生まれています。厳格な指導監査が求められるところです。

そこで質問です。
 1点目、法人指導課が、本市の社会福祉法人、社会福祉施設等に対する指導監査を担っています。市の指導監査について、監査対象数、実施頻度、根拠法は資料のとおりですが、具体的な実施内容、実施体制など、全体像をお聞かせください。
 2点目、監査対象の総数は2017年3月31日現在、1454か所。たいへんな数です。適正、健全な社会福祉事業の運営の確保、提供される福祉サービスの質の向上を目的に指導監査を行うわけですが、これだけたくさんの事業所を相手にその目的を達するのは並大抵ではありません。指導監査を行うにあたっての問題点、課題を、どうとらえていますか。
 3点目は2017年3月末に発覚した、市内障がい者就労支援事業所であるNPO法人 西宮障害者雇用支援センター協会 アドバンスの、いわゆる脱税事件に関わる問題です。
 この事件は、現職市会議員らの「たかり」があったとの法人側の発表もあり、本市議会としても見過ごすことのできない大問題となりました。6月市議会では複数の議員がこの問題について一般質問し、当局は、この法人との随意契約の根拠となっている「西宮市障害者支援施設等からの物品等の調達に関する取扱方針」等について、抜本的に見直すことを表明しました。
 しかし、そもそものNPO法人の脱税事件や現職市会議員等の関与問題は、依然、全容と真相ははっきりしておりません。議員らの「たかり」が仮に事実であれば、市民の税金が還流したことになり重大問題です。また、少なくともこのNPO法人が自ら明らかにした政党パーティー券等の購入はNPO法に抵触する、違法だと指摘されており、このような大問題を起こしたNPO法人の責任も問われるべきだと考えます。多額の随意契約を行っている本市はもちろん、国税当局や検察、NPO法人に対する指導監査権限のある兵庫県など、関係機関の全容解明と市民に対する公表を、改めて求めたいと思います。
 さて、NPO法人による過去6年間に約5億円にのぼる使途不明金問題は、大阪国税局西宮税務署による税務調査で発覚しました。内閣府が公表しているH27年度当該法人の事業報告書の収支計算書では、6619万5千円にのぼる金額が、経常費用、人件費のうちの「雑給」として計上され、それは障害者に支払われていたものではなく、理事長の父親に渡っており、そのことが源泉所得税の徴収漏れと指摘されたのです。
その後、NPO法人の監査権限者である兵庫県と、NPO法人が運営する障がい者就労支援事業所の監査権限者である西宮市が合同で、法人の業務や財務状況、障害福祉サービス事業における人員、運営、報酬等について監査をしています。
 そこで3点目の質問です。
 先ほども申しあげたとおり、障害者福祉サービスの事業所について指導監査をおこなうのは中核市である市であり、法人指導課が実施しています。障害者福祉サービスおよび介護サービスの各事業所については、6年間の指定更新期間内に1回、実地指導に入ることを目標にしていると聞いていますが、当該NPO法人が運営している障がい者就労継続支援(A型)、同(B型)事業所については、いつ、どんな監査を行ったのか。このたび税務調査によって発覚した不明朗会計、使途不明金は市の監査では発見することができなかったわけですが、その原因は何であると考えていますか。