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野口あけみの一般質問
2017年09月07日

「保育の質」確保について


クリックで大きな写真を表示 2015年8月、9月にかけて発覚した、本部が芦屋市にある社会福祉法人「夢工房」の老人施設や保育園を舞台にした経営者一族による1億8000万円にも及ぶ私的流用、不正支出事件は、経営者一族の理事会からの追放、役員の一新などで一定の決着を見たところです。本市にも「夢工房」の保育所が分園を含め5園あることから、市の法人指導課による監査が事件発覚後、改めて行われました。その結果、同法人本部から各保育園会計に、私的流用されるなどした使途不明支出金額の回復等の行政指導が行われました。
 不適切な保育所運営では、今年3月、姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」の実態に多くの国民が衝撃を受けました。定員を超える園児の受け入れ、園児の人数分を下回る量の給食しか発注せず、ほんの少量の給食しか与えない、余った分は保存し後日園児に与える、保育士への懲罰などなど、本当にひどいものでした。
 わんずまざー保育園は、もともと認可外だった保育園を兵庫県の独自の条例で「特定認可外保育施設型・認定こども園」として認定した、地方裁量型認定こども園です。国や県が、待機児童対策として、とにかく数を確保し、質の確保をせず間に合わせの受け皿づくりを急いだことが今回の問題の大きな原因だといわねばなりません。
 しかも、姫路市は、「原則年1回以上」と国が通知している施設監査を、2年間怠っていたことも明らかになりました。新聞報道によると、姫路市は、「同園が認可外保育所から認定こども園になった2015年度に監査をしたかったが、他の福祉施設の監査もあり、人の余裕がなかった」と釈明しているとのことです。さらに、2016年1月、不正を指摘する情報が市に寄せられた際には、園長を呼び出し事情を聴いたが、園長が否定したため、抜き打ちの特別監査などには踏み込まなかった、とのことでした。監査のあり方も厳しく問われねばなりません。
 認可、認可外問わず、多くの保育所は真面目に保育に取り組んでおられます。まさかこんなにひどい保育所は、西宮にはないだろう、と信じたいのですが、根拠のない性善説では、不幸な事件事故を防ぐことはできません。とりわけ、不適切な処遇に対してみずから声を上げることができない乳幼児の、命と健全な育成に責任を負っている保育施設に対する指導監査は重要です。

そこで質問です。
 1点目、保育施設の指導監査のうち、民間保育所35か所と幼保連携型認定こども園4か所は法人指導課が主導し保育幼稚園事業課とともに、小規模保育施設など家庭的保育事業56か所は保育幼稚園事業課のみが、認可外保育施設57か所は保育幼稚園事業課が主導し法人指導課とともに、指導監査を実施しています。それぞれについて具体的にどんな監査を行っているか、おこたえください。
 2点目、保育の質の確保という観点から、この間、具体的にどんな問題点をつかみ改善させてきたか、お聞きします。あわせて指導監査とは別に、小規模保育施設に対する巡回指導を行っていますが、その内容についてもお聞きします。
 3点目、保育事業の場合は、特に子どもたちの処遇がどうなっているかが重要であり、市の保育部門の課が関わり、保育士や栄養士など専門的な観点から指導監査するのは当然のことです。現在市では、家庭的保育事業以外は法人指導課とともに監査をしているわけですが、大きな1点目の質問でも指摘したとおり、法人指導課は手に余る対象事業所数を抱えています。
 たとえば横浜市では、児童福祉に係る事業を行う社会福祉法人と児童施設にかかわる指導監査を、老人福祉・介護保険関係、障がい福祉関係と切りわけて、こども青少年局監査課というところが行っています。より厳格な指導監査を行うための一つの方法だと考えますが、いかがでしょうか。本市でもそのような方法を導入する考えはないか、お聞きします。

 以上で壇上からの質問は終わり、答弁ののちに対面席にて再質問、意見、要望を述べます。ご清聴ありがとうございました。