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2018年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ
2017年08月31日

政策局


  1. 安倍自・公政権は、秘密保護法、戦争法、共謀罪と相次いで国民の多数が反対する悪法を強行し、国民から厳しい批判が巻き起こっている。その他、消費税大増税、原発再稼働、沖縄・米軍新基地建設、TPP、医療・年金・介護・保育などの社会保障制度の大改悪など、どの分野でも国民の利益を踏みつけにする独裁政治を強行している。加えて、森友学園、加計学園、自衛隊の日報隠蔽問題と、国政を私物化する姿勢に対して、東京都議会議員選挙では自民党の歴史的な大敗となった。それにもかかわらず、安倍首相は5月3日の憲法記念日に2020年に施行をめざす憲法9条に自衛隊を明記することを表明し、いよいよ時期まで示して、戦争する国づくりの策動を進めようとしている。このような政治は絶対に許すわけにはいかない。
    地方自治体である西宮市は、戦争や原発、くらしの破壊などから市民をまもるべき防波堤の役割を果たさなければならない。
    戦争法をめぐり、芦屋、尼崎、宝塚の各市長が相次いで批判の声をあげていることがメディアや議会を通じて伝えられている。ところが、今村市長は、戦争法案や原発再稼働問題等については、「国政に関することについてはコメントしない」旨の議会答弁を繰り返してきた。その姿勢は改まっていない。国政の動向により49万市民に多大な影響を及ぼすことから、市のリーダーとしての責任回避と言わなければならない。
    今後は、住民の命とくらしを脅かすことに対してはきっぱりと反対し、地方自治の本旨を貫く立場での行政運営を行うこと。

  2. 西宮市は、市税収入の増額などから景気回復との認識を示しているが、消費税の8%への増税後、実質賃金の連続減少、消費と家計の落ち込み、「アベノミクス」による円安と物価上昇で、中小企業の倒産など、「アベノミクス」不況は明瞭となっている。社会保障による負担増を加えれば、国民のくらしは、耐えられないところまで来ている。それにもかかわらず、安倍自・公政権は、消費税10%の2019年10月実施を狙っているが、再延期したこと自体が増税路線の破たんを示している。市民生活を守る立場から、国に対し消費税増税実施反対の意思を示すこと。

  3. 西宮市のまちづくりの基本となる第5次西宮市総合計画の策定が検討されている。2019年度を初年度とし、計画期間を10年間とし、審議会の構成案や策定スケジュールについても示されてきている。第4次総合計画の総括、今後の財政収支見込、人口の動向などが重要であり、より正確な掌握につとめること。特に、議会や市民の意見をどう汲み尽くすのか、さらに検討すること。

  4. 2015年1月23日に市長が記者会見の中で示した「偏向報道への今後の対応」は、偏向報道(後日、重大な誤解を与える報道と改めた)の基準を市が決め、抗議する、テレビ撮影の際、市の広報課が立ち会い、ビデオ撮影する、改めなければ取材拒否する(取材拒否は後日撤回)など、というもので、表現の自由、報道の自由を委縮させ、市民の知る権利を奪いかねない。また、市政ニュースについても、偏った情報が掲載されている。
    これらに関連して、市議会が2015年3月議会に2つの決議をあげ、住民監査請求でも監査委員が異例の批判をしている。ところがいまだ市長はなんの反省もない。
    「偏向報道への今後の対応」は直ちに撤回すること。
    市政ニュースについても、参議院選挙から実施された18歳選挙権に関連して「政治家は国民の代表ではないではない」などという誤った記事を掲載した。市民に必要な情報を正確に提供すること。

  5. 阪神淡路大震災で厳しい状況に陥った財政は、市債の水準がほぼ震災前にもどり、一定、安定したと言える。アサヒビール跡地購入のための土地開発公社に55億円貸付けており、2016年度決算認定案の基金残高は、財政基金200億円、減債基金35億円、公共施設保全積立基金21億円にものぼる。これらをあわせた事実上の資金余裕は310億円以上である。「200億円程度の基金保有が妥当」との議会答弁があったが、標準財政規模の10%、100億円程度でも十分であり、西宮市の財政状況は、ムダ遣いさえしなければ、市民の多様な要望に応えるだけのものがある。
    自治体の大きな役割はいうまでもなく「住民の福祉の増進」であり、過大に基金をため込むことではない。高すぎる保育料の引き下げや国保料の引き下げ、こども医療費無料化の所得制限撤廃、学校配分予算の増額等、住民サービス向上のため、財政の有効な活用を思い切って図る予算配分を行うこと。

  6. この間の市長の施政方針では、民間活力の積極的導入については、「民間でできることは民間に委ねる」として、ごみ収集・学校給食・保育所や幼稚園等と事業名を挙げ、「市直営の方が安全」「直営の方が信頼できる」というような根拠が明確でない理屈は成り立たないと、一層の民営化や民間委託を強行する考え方を示した。この考え方の前提には、民間労働者の賃金をはじめとした労働条件の低さを肯定する立場がある。市が直営で事業を実施する中で、市民との強い信頼関係が築かれ、西宮として誇る成果や実績を収めてきていることを直視すべきである。

    1. これ以上の民営化、民間委託等を進めず、住民の福祉の増進という市の責任を果たすこと。

    2. 指定管理者制度の導入以降、重大事故や市民サービスが後景に追いやられる事例が後を絶たない。この背景には、指定管理者選定過程において、指定管理料の低さが競われることから、選定事業者は利益を上げるためにさらに経費や人件費削減が行われる実態が指摘されている。
      市が選定した指定管理者については、その業務についてチェック機能を高めるとしたモニタリングを2014年度から実施しているが、効果は見えない。民間委託も含め、労働条件の改善とともに、良質な公共サービスが提供されるよう、しっかり管理監督義務を果たすこと。

    3. 市民の暮らしと景気の回復のためには、賃金の引き上げは欠かすことはできない。しかし、年収200万円以下の「ワーキングプア」は1000万人を超える。これは西宮市の事業に携わる労働者にもある。兵庫県下では三木市についで加西市、加東市等でも制定されている公契約条例を制定し「官製ワーキングプア」を生まない仕組みを確立すること。

    4. 公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は今後とも導入しないこと。

  7. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざすとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものであり、当初のPFI手法は事実上破たんしている。
    PFI事業は、西宮市では、大型プロジェクトが目白押しとなっていることから、対象が増える可能性がある。
    PFI導入可能性調査等で市職員の膨大な時間と事務量が費やされるなど問題も多い。地元事業者の仕事につながりにくい。この際、PFI手法はやめること。

  8. 公共施設マネジメントは西宮市にとって大きな課題となっている。
    問題は、「公共施設削減ありき」となっていることである。西宮市は公共施設の面積を、2032年までに10%、2062年までに20%削減する計画である。ねらいは市営住宅の削減など市民サービスの切り捨てにほかならない。
    2015年、公共施設適正配置審議会が示した公民館や市民館、共同利用施設の3施設のあり方や配置についての答申は、小学校区を単位に、施設の利用状況や広さなどから、不要な施設を示すなど、単純化して再編を求めるものとなっているが、「安易な統廃合はするべきではない」とする議会からの意見もあり、この間、香櫨園小学校地区では、住民要望に基づいて、集会施設が増設される具体的な事例も生まれている。
    公共施設マネジメントは、耐震化や長寿命化を基本に、安易に施設を廃止し市民サービスを低下させることのないよう、さらに市民の意見をよく聞き、必要な公共施設の増設も含め、検討すること。

  9. 第2庁舎の整備が取り組まれているが、長期的には市役所本庁舎、市民会館の建て替えなど、本庁周辺整備が大きな課題となる。これは、時間も費用も多大にかかる巨大プロジェクトである。市民の要望、議会、職員の意見を参考に、経費の面でも過大とならないよう、時間をかけてしっかりと検討すること。

  10. 県立西宮病院と市立中央病院を統合する際の、600床規模の新病院建設用地の候補地の一つとしアーク不動産(株)より、アサヒビール西宮工場跡地のうち2.6haを西宮市土地開発公社が取得し、5年間でその用に供さなければアーク不動産(株)に売却するとしている。
    現在、統合に向けた協議が県と市で行われているが、仮に同用地での新病院建設がなかった場合でも、10年先を見通したとき、西宮市では老朽化した公共施設は多数あり、市の行政課題解決のためにも軽々に「売却」すべきではなく、必要な公共施設整備など有効に活用を図るべきである。
    当然、活用方法が決定されるまでの間は、暫定として市民が憩える公園等に活用すること。

  11. 東日本大震災の発生や最近頻発する集中豪雨による土砂災害等で被災者が大幅に増加している。さらに、南海トラフ巨大地震に備えるためにも被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。以下の項目を国に要望すること。

    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。国会では野党が一致して拡充を求める法案を提案した。少なくとも500万円以上への引き上げ、半壊も対象に拡大することを早急に実施すること。

    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小企業の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。