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2018年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ
2017年08月31日

総務局


  1. マイナンバー(社会保障共通番号)制度は、国民一人ひとりに背番号をつけ、各自の納税、保険料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化し国が一元管理するもので、社会保障の給付抑制、税・保険料の徴収強化に利用し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことを、最大のねらいとしている。
    加えて、マイナンバー制度は、既存の「住基ネット」などとは比較にならない大量の個人情報を蓄積し、税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償などあらゆる分野で活用される。市役所はもちろん、病院、介護サービスなど、公務・民間にかかわらず、多様な主体がアクセスでき、プライバシーを侵害される危険性が高まる。
    マイナンバー制度は、実施直後から通知カードが多数の世帯に届かない、システムの不調など、様々な問題が起こっている。西宮市では、マイナンバーの独自利用を増やしており、さらに情報漏えいなどプライバシー侵害の危険性が高まる事態となっている。
    市民のプライバシー権をまもるためにも、市独自業務でのマイナンバーの利用はやめること。また、国に対し、マイナンバー制度は直ちに、中止・撤回をもとめること。

  2. 相次ぐ税制改悪で、収入は減っているのに税負担は増え、市民生活は圧迫されている。税制度が複雑であることから、現行の税の軽減、減免制度についても十分知られていない。税の仕組みを一層周知徹底し広報に努めること。また、税の滞納対策が進められているが、ゆきすぎた措置によって市民の生活が脅かされることのないよう配慮すること。そのためには、文書による通知だけでなく、滞納世帯を早めに訪問し実情をつかむようにすること。

  3. 固定資産税についても支払いが困難な市民が増えている。自己使用の住宅について、他自治体では就学援助金を扶助とみなし固定資産税を減免している事例がある。他自治体の状況を研究し、市でも減免制度を創設すること。
    また、都市計画税については都市整備基盤が確立していることから廃止すること。

  4. 2017年度から国は事業主に送付する特別徴収税額決定通知書にマイナンバーを記載することを求めたが、普通郵便での送付では情報漏えいの危険性が高いことから、西宮市はマイナンバーを記載しない措置をとった。他自治体では誤送付などの問題も生じている。
    今後も、通知書にはマイナンバーを記載しないこと。

  5. 公共工事や業務委託、指定管理者による施設の維持・管理などの公共事業において、質の向上とともに、従事労働者の適正賃金など処遇の改善、「ワーキングプア」の解消が日本社会において大きな課題となって久しい。これに対応するため、公契約条例の制定が求められている。関東で始まった公契約条例は、兵庫県下では三木市が2014年7月から施行、加西市、加東市等が続いている。西宮市でも改めて公契約条例制定を喫緊の課題とすること。その際、労政課ではなく、契約という立場から契約課が所管すること。

  6. 市発注の公共工事は、市民生活の向上とともに地元中小零細企業の育成という観点から取り組まれるべきである。不況の下で、特にその期待は高まっている。引き続き、市内の中小業者に優先して発注できるよう努めること。

  7. 市発注の一定金額以下の修繕工事等に、市の競争入札参加資格のない市内業者に直接発注する「小規模修繕契約希望者登録制度」は2006年7月導入以来、一定の件数、金額を確保してきたが、近年は頭打ちとなっている。さらに、制度の活用を広く庁内に徹底し、総額、件数を抜本的に増やすこと。
    また、発注金額については、消費税増税や労務単価の引き上げ、物価高騰を考慮すれば、50万円未満に据え置くべきではない。直ちに引き上げること。今後は150万円まで引き上げ、発注工事を抜本的に増やすこと。

  8. 障がい者就労支援事業所の指定を受けた市内のNPO法人のいわゆる脱税事件の報道がされ、西宮市の随意契約である「西宮市障碍者支援施設からの物品等の調達に関する取扱い方針」に大きな問題点があることが明らかとなった。
    障がい者の雇用は非常に重要であり、随意契約による市の発注はやむを得ない措置だが、発注額の上限引き上げや条件緩和など、他自治体と比べても異常な事態となっており、一部の事業者に発注が集中したかことから、今回の事件を生じた。
    市として、直ちに見直し、適正な契約を確立すること。

  9. 国や県からの事務移譲増等により、部署によっては業務量と比して職員が不足していて休暇も取れない現状が続いている。2017年3月議会で市長事務部局の職員定数を89人増員したが、なお不足している。引き続き、慢性的な超過勤務の分析も行い、必要な部署には臨時や嘱託などの非正規での対応でなく、正規職員による適切な人員配置を行うこと。また、国家公務員給与は人勧では若干の引上げがあるものの総合的見直しによる削減で全体としては下がっており、それと連動した地方公務員の賃金引き下げの圧力が強められている。こうした国からの地方自治体への攻撃は、きっぱりとはね返すこと。

  10. 職員人事について

    1. 職員の昇任・配置については、能力や指導力に応じて適材・適所、公平・公正に行なうこと。管理職の若年化が進んでおり、計画的な人材育成に取り組むこと。

    2. 女性の管理職登用率は男女共同参画プランの目標値2017年度20%、「次世代育成支援・女性活躍推進プラン」では2020年度課長級以上15%を目標としているが、2017年度事務職では課長級以上13.3%、係長級以上17.4%となっている。しかし、そもそも目標値が低い。働きやすい勤務環境をつくり、女性管理職登用率を大幅に引き上げること。

    3. 障害のある人の雇用についても引き続き積極的に取り組むこと。

    4. 技術職などの人材育成を進め、市民サービスに影響が出ないようにすること。

    5. 健康を害して長期休業に入る職員が増加傾向にあり、健康管理やメンタルヘルスについては引き続き重要課題である。ストレスチェック、職場環境の点検や人的配置、人事管理を適正に行ない、カウンセリングも有効に活用すること。また、休職者の復帰支援も十分に行うこと。

    6. 育児休業については、取得しやすい職場環境が求められる。特に、男性の取得は、2014年度1名、2015年度6人、2016年度7人と少ないと思われる。制度の周知とともに、職員を増員する等、男性も女性も育児休業のとりやすい職場環境を確立すること。

  11. いま、市の業務につく職員のうち、約3割が非正規労働者となっている。しかし、嘱託調理員、嘱託介助員、嘱託看護師、老人ホーム嘱託職員、嘱託司書などの非常勤特別職の方は、労働時間数に違いがあるだけで労務内容は正規職員と変わりがない。この間、勤務条件の見直しも徐々に行われているが、身分はそのままとしても、同一労働・同一賃金の原則を取り入れること。
    また、臨時職員等についても、さらに労働条件を引き上げること。

  12. 市施設の改善は、それぞれの施設ごとの対応となるが、基本的には市の全施設において共通の水準に引き上げ改善すべきである。以下のことに取り組むこと。

    1. エレベーターの設置をはじめ、スロープや手すりの設置など、遅れている施設が残されている。全ての施設のバリアフリー化を早急に取り組むこと。

    2. 市施設のトイレは、洋式化が大きく遅れている。この間、本庁舎や学校等で一定の前進が見られるが、まだまだである。引き続き、目標を明確にして、計画的に取り組むこと。その際、温水洗浄便座を設置すること。また、市施設にはLGBT・性的マイノリティなど多様な市民が利用することから、いわゆる「みんなのトイレ」を検討すること。本庁については、早期に設置すること。

    3. 市役所前公共駐車場の駐車料金は市役所執務時間内30分のみ無料となっているが市役所利用者には短すぎる。来庁者の利便性こそ最優先すべきである。少なくとも1時間は無料とすること。各支所等の駐車場でも同様の措置を講じること。
      なお、最近、野球観戦等で市役所前公共駐車場が混み、来庁者に不便をきたすことが増えており、早急に対策をとること。

    4. 子ども連れで市役所に来る人のために、保育士を配置した「キッズルーム」が庁舎内に設置される自治体が増えている。市でも保育所の入所申し込みなど、子連れの来庁者が増えていることから、庁舎内に「保育施設」を設置すること。

    5. 集会施設機能のある市施設については、モニターやプロジェクターをはじめとした機器の整備、WI-FIのサービスなど、最新のメディアに対応した施設整備をすすめること。