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2018年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ
2017年08月31日

市民局


  1. マイナンバー制度は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のために導入したとされているが、世界的にも導入した国で様々な問題が起こり、イギリスではすでに廃止をしている。もともと日本でこの制度を求めてきたのは財界であり、社会保障の給付削減が狙いである。また、日本弁護士連合会も個人のプライバシー権の侵害になることを指摘している。市として、次のことに取り組むこと。

    1. この制度によって、国が国民を管理することになってしまう。
      また、ランニングコストも含めて地方自治体の大きな負担が続いていくこととなる。マイナンバー制度は廃止するよう、国に求めること。

    2. 今後のマイナンバーの利用については、国で様々な用途が提案されているが個人情報流出と共に、犯罪の被害につながることが懸念されている。他の用途と一体化すれば日常的に持ち歩くことになり紛失の危険も増大する。利用範囲の拡大は行わないこと。

    3. 市民が各種申請においてマイナンバーの記入が求められるが、マイナンバーの記入は強制ではないことを周知すること。

    4. マイナンバーカードの作成については任意であることを徹底し、カードの作成が義務であるような誘導をしないこと。

  2. 地域の集会施設について
    「西宮市公共施設適正配置審議会」からの答申では、主に全体最適の視点から公民館、市民館及び共同利用施設の地域間のバランスを中心に検討され、施設の適正配置に関する見解が示された。この答申を受けて、市としての方針をまとめるため、市民局、政策局、産業文化局及び教育委員会の関係部署により構成された「地域における施設の総合的有効活用方針策定会議」で検討を進め、@地域力を高めるために必要な活動拠点を確保するA市民館等の施設を地域課題解決のために活用するB地域資源である施設の規模及び維持管理の最適化を図るという3項目を市の方針として取りまとめた。以下のことに取り組み市民サービスを向上させること。

    1. 上記3施設については、それぞれの施設の歴史的経過も踏まえ、機械的な施設の切り捨てはしないこと。

    2. 共同利用施設は、公共用飛行場周辺における航空機騒音対策で設置された施設で利用料が無料である。安易に有料化をしないこと。

    3. 甲陽園市民館が市住跡地に建替えされることになったが、上ヶ原や甲陽園地域は起伏も激しく地域も広い、さらに市民集会施設を増設すること。また、広田小学校区の国道171号線以北については、公共施設適正配置審議会からも集会施設がないという指摘がなされている。整備の方向は示されているが早期に実現すること。

    4. 地区市民館や共同利用施設は、身体障がい者トイレの設置や男女共同トイレの分別とともに、洋式化(温水洗浄便座)等、使いやすい施設に改善を進めること。また、老朽化による大規模改修や建て替えも含め、全施設の改善計画を策定しているが早期にすすめること。瓦林公園センター等、老朽化した空調設備については改善すること。

    5. 地域集会所の設置要望は強いが、工事費の3分の1を自己資金として確保しなければならず、新設や改修が進みにくい。市の補助金の上限額を見直したがさらに増額すること。

    6. 市民館、共同利用施設の視聴覚設備については、最新のメディアに対応できるものを配備すること。

  3. 国民健康保険制度について
    国において「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、2018年度から国保の都道府県単位化が実施される。このことにより、保険料が上がることが予想されている。都道府県単位化の狙いは自治体独自の減免や、保険料抑制のための一般会計からの繰り入れをやめさせることであり、公的責任をさらに縮小しようとすることにある。誰もが安心して医療にかかれる国民健康保険制度をめざし、市として以下のことに取り組むこと。

    1. この間、減らされている国民健康保険会計への国庫負担率を元に戻すよう国に強く働きかけるとともに、県にも独自助成を増額するよう求めること。

    2. 市は、2017年3月議会で保険料抑制に基金を活用できるよう条例改正を行った。一般会計からの繰り入れを増額するとともに、基金の活用も行い、1世帯あたり約1万円の引き下げを実現すること。

    3. 現在の保険料賦課計算では、滞納見込み分をあらかじめ納付見込み分に上乗せするため、保険料が割高になるしくみとなっている。滞納分は納付者の責任ではない。その分は一般会計からの繰り入れで補てんすること。

    4. 市独自の保険料の減免制度を以下のように拡充すること。

      1. 所得激減減免を前年所得金額の5割以下から7割以下とすること。

      2. 2008年度から低所得者の保険料について、所得の2割を超えた分の4分の1を減免することにしたが、所得の2割を超えた分については全額減免とすること。

      3. 家族の多い世帯の負担を減らすため、保険料の均等割の減免を行っている自治体もある。他市の事例も参考に本市でも実施すること。

    5. 保険料滞納者は人間ドックの受診費用に対する助成対象から排除されているが、分納誓約履行者については助成対象とすること。
      また、保険料滞納者や分納誓約者に対し,突然差し押さえの通知が送られるケースが増えている。年に一度は行なうとされている分納相談において、財産調査をすることもあることなど、ていねいな説明を行うこと。

    6. 人間ドッグの受診機関を増やすこと。

    7. 窓口一部負担金の減免制度の基準が厳しすぎる。利用しやすいよう条件を緩和し、医療機関を含めてさらに制度の周知徹底を図ること。

  4. 相次ぐ医療制度の改悪によって市民の負担限度を超え、病院へ行くことができず手遅れで命を落とす人が増えている。世界の主要な国では窓口負担が原則無料や少額の定額制となってきている。国の制度として、少なくとも75歳以上の高齢者と、中学校卒業までの子どもの医療費負担を無料化するよう強く求めること。また、県に対しても、同様のことを要求すること。

  5. 福祉医療費助成制度については、この間、県の「行革」により重度障害者・乳幼児等・こども医療助成制度が改悪されている。また、「所得合算」による制限強化により福祉医療費助成制度から外された市民が多数にのぼる。所得制限そのものをなくすよう県に強く求めること。

  6. 県が老人医療費助成制度を廃止し、高齢期移行医療費助成制度を創設したがその対象者は65歳以上で一定の所得以下を基本として、身体的理由等により日常生活に支障がある特別な配慮が必要な者としている。経過措置があるが多くの人が対象外になる。県に対して再構築するよう強く求めること。

  7. 市が独自で実施している中学3年生までの子ども(乳幼児等)医療費助成制度は、全国的にも当たり前となっている。しかし、市では所得制限があり約17,000人の子どもが対象外になっている。所得制限撤廃は市長の公約でもある。中学3年生までの所得制限をただちに撤廃するとともに、高校3年生まで無料制度を拡大すること。

  8. 後期高齢者医療制度について

    1. 後期高齢者医療制度は、2017年度から低所得者に対する特例軽減を段階的に廃止しようとしている。負担が増えることになれば保険料の滞納につながりかねない。全国後期高齢者医療連合協議会や兵庫県広域連合からも特例軽減の維持・継続の要望書が出され、西宮市議会も同様の意見書を可決している。特例軽減を復活するよう国に強く求めること。

    2. 現役並み所得者の窓口負担が3割になっている。国はそれ以外の窓口負担を1割から2割に増やす方向を示しているがとんでもないことである。国に中止するよう求めること。

  9. 「西宮市参画と協働の推進に関する条例」が制定されたが、実効ある制度とは言い難い。特に、意見提出手続き(パブリックコメント)に意見が少ない実態がある。
    市は、2017年度中にこれまでの条例評価委員会を通じた検証結果の総括を行い、他市の事例等も参考にしながら、参画と協働の制度全体の改善に向けた検討を行うことにしているが、条例の趣旨を広く市民に周知するとともに、さらによく研究し、条例見直しを行うことも含め、参画がより進むよう方法や対象などを検討すること。

  10. 平和の施策について
    安倍首相は、憲法9条に3項を設け、自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行目指すと表明した。戦力不保持を定めた憲法9条2項を残したとしても、3項という独立した項目で自衛隊の存在理由が書かれば、それが独り歩きすることになり、9条2項は死文化されることになる。また、2017年7月7日、国連で「核兵器禁止条約」が122か国の賛成で採択されたが、日本の国は唯一の戦争被爆国でありながら会議にも参加せず、署名もしないという態度をとりつづけており、被爆者や国民からも非難の声が出されている。戦争体験者が高齢になり、亡くなっていく人が多くなっている。戦争を知らない世代が国民の8割を超えた現在、戦争体験や被爆体験を語り継いでいくことも重要となっている。平和行政として次のことに取り組むこと。

    1. 憲法を遵守するのが公務員の役割・義務である。悲惨な先の大戦の反省のもとに作られた憲法を時の政権が勝手に解釈を変えることは許されることではない。集団的自衛権行使について、市長は国政において判断されるべき問題という立場であるが、反対の立場を表明している首長もいる。戦争につながることには国に反対の意思を表明すること。

    2. 西宮市は県下に先駆けて平和非核都市宣言をおこない、平和首長会議にも加盟して核兵器廃絶の取り組みを行っている。非核宣言をまだ行っていない兵庫県に対し非核宣言を行うよう求め、非核三原則の法制化を国に求めること。また、市として日本非核宣言自治体協議会に加入すること。

    3. 被爆者が初めて呼びかけた「核兵器禁止条約」の締結を求める国際署名は、核兵器廃絶のために実効性があるものである。「ヒバクシャ署名」に市あげて取り組むこと。様々な市のイベントなどで署名に取り組むこと。また、原水爆禁止西宮市協議会加入団体に対して、市としてともに取り組むように求め、集約についても市が責任を持って行うこと。

    4. 毎年開催されている市の原爆展は重要であるが、市民の来場が少ない場所での開催となっている。2018年はアクタ東館2階で開催することが決まっている。
      再来年からは市役所のロビーなど、市民が多く集まる会場を設定して開催すること。ミニ原爆展は貴重な取り組みである。被爆の実相を伝えるこうした取り組みも拡大・強化すること。

    5. 西宮市では1945年5月から8月6日までの間、米軍から計5回の空襲で全市の18.4%にわたって被害を受けた。戦争体験者がどんどん少なくなっていく中でも、浜脇地域では空襲を経験した人が「語り部」として体験を語っているが、全市域でできるようにさらなる人材発掘を行うこと。
      また、広島では被爆体験を語り継ぐ人を認定して育てている。西宮でも高齢化で被爆者がなくなる現状の中、戦争体験とともに被爆体験の語り部を育てるような取り組みを行なうとともに、悲惨な体験・実相などを映像や音声でも記録を残すこと。

    6. 平和資料館(川添町)は移転も含めて早期に拡張すること。展示内容については、戦争の悲惨な実相を後世に伝えるためにも映像等、視覚に訴えるものを市民や専門家の意見を聞き充実すること。また、戦争に至る経過、日本の加害の事実や戦時下での市民の不自由な暮らしなどが小・中学生にもわかるよう展示等を工夫すること。

    7. 市役所前六湛寺公園の名称あるいは愛称を、”平和公園”とすること。

  11. 防犯カメラについては2017年度から直営でも行うこととなり、地域住民への説明・設置個所の要望等を聞いている。その際、カメラが設置されていることをわかりやすく明示し、プライバシーの保護にも留意すること。

  12. 男女共同参画センター(ウェーブ)は男女共同参画社会の実現に向けての学習や交流の場として定着しつつある。その運営について次の点については改善すること。

    1. 男女共同参画社会実現のため、2011年度に「西宮市男女共同参画プラン(中間改定)」及び「西宮市DV対策基本計画」を策定している。プランを具体的に推進していくこと。

    2. 毎年取り組まれている「ウェーブいきいきフェスタ」は登録グループ等で構成する「いきいきフェスタ実行委員会」に委託実施されている。参加する講座や講演会も増え盛況を示している。予算は2011年度以降50万円で実施されているがあまりにも少ない。増額を行うこと。また、実行委員会の取り組みの主体性を損なわないこと。

    3. DVや児童虐待が増えており、相談内容も複雑多様化していることから市では相談員を増やしている。さらに体制を強化すること。


  13. LGBT・性的マイノリティーの人たちの差別解消や支援の推進等、一人一人の人格と個性が尊重される西宮市をつくること。以下の項目に取り組むこと。

    1. 公的書類の性別欄については、撤廃すること。

    2. 東京都渋谷区や宝塚市などで導入したような、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現すること。

    3. 市の公共施設には誰でも利用できるみんなのトイレを設置すること。