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2018年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ
2017年08月31日

都市局


  1. 「文教住宅都市」宣言をしている都市として、西宮市は市内外からの注目度がアップし、民間調査の「住みたい街」ランキングで関西のトップに選ばれるなどしている。しかし、無秩序なマンション・住宅開発が、教育施設、福祉施設の不足を生じさせ、教育環境や住環境、自然環境を悪化させている。このことに対する必要な対策が求められている。とくに、開発により学校の教室不足、保育所不足等は一刻も放置できない深刻な問題である。以下のことに取り組むこと。

    1. 文教住宅都市にふさわしいまちづくりをすすめるために、市長が公約した「無秩序なマンション開発などから西宮の住環境をまもるためのまちづくり基本条例」の制定についての調査研究が行われているが、スピード感を持って効果ある開発規制を確立すること。

    2. 無秩序なマンション・住宅開発は、学校の深刻な教室不足を生じさせている。この間、西宮市は児童、生徒の急増対策として「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で対応しているが、後手に回る結果となり、事態は悪化している。要綱の条例化を党市議団は繰り返し求めてきたが、市は「財産権の侵害につながる恐れがある」として拒否してきた。要綱での限界を払しょくするには、規制効果のある条例化は不可欠である。都市局・教育委員会・子ども支援局とも調整し、要綱を早急に条例化すること。それまでの間は、市全域を「準受け入れ困難地区」以上にして規制を強化すること。

  2. 高塚町の4haにも及ぶ広大な土地の住宅開発がすすめられようとしている。市は、この開発行為についてわずか300uの事業者による緑地確保をもって「やむなし」との態度に終始している。この土地は、全体が緑に覆われた自然豊かな小山であり、今回の開発により4haにも及ぶ緑がいっきょに失われる開発だけに、芦屋の住民を含め高塚山周辺の住民のみなさんの不安や懸念は計り知れないものがある。この開発についての影響を総合的に精査し、開発ありきではなく住民の立場にたって、環境保全への対応を行うこと。

  3. 開発指導について、以下のことに取り組むこと。

    1. 現行の「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」では、近隣住民との協議が義務づけられているが、住民の意見が反映されないまま開発が進んでいく実態が多い。また、高塚町での開発のように、開発が行われることが住民に知らされる段階では、開発そのものが事実上後戻りできない仕組みとなっている。現在市では、周辺の住環境に与える影響が大きい大規模開発事業においては、土地売買の段階など、早い段階から地域住民と事業主との情報共有の仕組みの調査や検討が行われているが、環境を守りたいと願う住民の意思が反映する仕組みを早急につくること。

    2. 開発区域への進入路が6m未満の場合の開発については、戸数制限を導入しているが、不十分である。さらに規制を強化すること。

    3. 500u未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらすなど、結果的に500u以上の開発を行うなどの「開発のがれ」事例がまだ多くある。全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど、対応策を早急にたてること。

    4. この間、『大規模開発に伴う協力要請に関する指針』を改訂し、対象範囲として5ha以上を2haに、300戸以上を200戸以上にするなど、一定の規制強化をした。一定規模以上の開発については、他市で実施しているように、開発によって市に整備が求められる教育施設など、公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。

  4. 全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が急がれる。2016年度からあらたに「防災ベッド等設置助成」など、建物の部分的な耐震化工事費補助制度がはじまったが、利用者がほとんどないとのことである。基本的には個人住宅耐震化補助制度の拡充が求められていることから、国の補助金を増額し、建物そのものの耐震化を促進するべきである。市独自の取り組みを強化とともに、国へも要望を行うこと。

  5. 鉄道駅のホームからの転落による死亡事故が相次いでいる。このようなことから、東京都内の地下鉄やJR等では、ホームドアやホームの柵設置による転落防止の取り組みが始まってきた。誰もが命の危険にさらされることなく安心して利用できる公共交通機関の整備を進めなければならない。特に利用客の多い駅などを中心に、国や鉄道事業者等との連携で、設置を市としても求めること。

  6. 市内には消防など緊急車両の通行に支障がある4m未満の狭あい道路が多数残っており、拡幅整備が急がれる。住宅建築の際に市との協議を条例で義務付ける、市の助成制度を拡充(私道への助成)するなど、狭あい道路の解消を積極的にすすめること。

  7. 生産緑地制度は都市環境を守る上で重要な役割を果たしている。しかし、農地所有者の高齢化などによって、生産緑地の指定解除が続いている。この制度では農地所有者が死亡、あるいは農業に従事できなくなった場合は自治体に買い取りを申し出することができ、自治体は「特別な事情がない限り時価で買い取らなければいけない」という規定があるものの、西宮市ではこれまで買い取りをした事例がない。買い取り申し出があれば、不足している公園整備や公共施設の整備等に積極的に活用する方向で検討すること。
    また、生産緑地指定後30年間で指定解除ができることになっていることから、最初の指定から30年となる2022年には大幅な生産緑地の解除が行われる懸念がある。国に対して、この制度の存続を求めるとともに、農地の保全に向けた有効な対策を求めること。特に、指定要件が従来の500uから300uに緩和されたことを受け、市として条例制定を直ちに行うこと。

  8. 池田町の卸売市場については、西宮市卸売市場再生研究会やまちづくり協議会において今後のあり方の検討が進められている。関係権利者の高齢化など課題もあるが、駅前に立地していることから、地域商業の活性化につなげるとともに、まちづくりという点からも、市が財政的支援を含め積極的役割をはたし、卸売市場整備を進めていくこと。

  9. 第4次総合計画(中間改訂)において、「名神湾岸連絡線の計画の具体化などを国に要請する」と明記しており、連絡線のルート案のうち、高架案が採用されようとしている。いうまでもなく名神湾岸連絡線は、周辺地域の環境悪化につながる不要不急の公共事業である。影響を直接受けるルート直近の住民の意見が尊重されずに、計画を進めようとしている名神湾岸連絡線の整備計画に反対すること。

  10. 第4次総合計画(中間改訂)で、「阪神西宮駅について民間主導の駅前整備に向けた検討を行う」としているが、メインの公共施設整備の対象となる市道西262号線の拡幅は、事実上不可能である。このような事業について計画を撤回すること。

  11. 阪急神戸線武庫川部の新駅については、尼崎市側の論議もほとんど進められていない。さらに「経済効果」についての市の調査でも、都合の良い数字の羅列となっている。いわゆる「請願駅」となり、多大な市の負担が生じることが予測されることから、慎重に検討すること。

  12. JR甲子園口駅北側は、歩行者や自転車、バスなどが交錯し、「市内でも有数の危険な地区」と、市も認識している。用地の取得を含め、駅前広場の整備に早期に取り組むこと。また、駅南側の駅前広場は一定整備され、現在バス停留所の整備も計画されている。さらに西宮市道瓦35号線のすずらん通り商店街と甲子園口駅前商店街とのあいだが大変混雑していて危険であるので対策を講じること。

  13. JR西宮名塩駅外エレベーターが整備されたが、下りエスカレーターが設置されていない。引き続き関係機関にはたらきかけ整備すること。

  14. 市民生活を支援するための公共交通の充実を図ることが求められている。とくに、地域交通の柱となるバス交通については、高齢化社会の進展に伴う社会参加促進とともに、通学区がますます拡大する高校生の通学保障の面からも、拡充が急がれる。以下の項目に取り組むこと。

    1. この間、新規を含め路線の拡充が一定図られているが、引き続き住民要望に基づく路線開拓に努めること。

      1. 臨港線経由の西宮浜と阪神甲子園駅を結ぶ路線の平日運行の実施を行うこと。

      2. 西宮市立中央病院を経由し、阪急西宮北口駅までの段上地域における路線の新規・増便をはかること。

      3. ニテコ池周辺からJR西宮駅へ乗り換えなしで行ける路線も新たに設けること。

      4. 北夙川地域から阪急夙川駅、阪神西宮駅経由JR西宮駅への新規バス路線の整備を進めること。

      5. 苦楽園地域から阪急夙川駅への路線を整備すること。

      6. 南北バス(さくらやまなみバス)については、今後も、効率的な経営につとめ、市が責任をもって運行を継続させること。

    2. 市が明らかにしている「交通不便地域」について、それぞれの地域でのニーズや課題を整理し対策を立てる必要がある。交通不便地域対策の予算を増額して公共交通政策に生かすこと。

    3. 生瀬地区を巡るコミュニティ交通「ぐるっと生瀬」が本格運行されているが、この取り組みの教訓を生かしつつ、やはり、コミュニティバス運行は地域住民まかせではなく市が主体性をもって進めること。とくに、名塩地域と名塩駅、山口地域と名塩駅を結ぶコミュニティバスの運行が実現するよう、市が努力をすること。

    4. 西宮市内では、バスを乗り継がなければ目的地に到達できない場合の「乗り継ぎ」割引制度がないため、市民や高校生の負担が大きくなっている。ハニカ定期券が発行されており割引制度が一定拡充されたが、普通乗車券も同様に、同一バス会社の乗り継ぎとともに、阪神と阪急を相互に乗り継ぐ場合も運賃が割引となるよう、市は関係者と協議を行うこと。

    5. 阪神バスでは、高齢者が運転免許証を返納した場合、バス運賃が半額となるが、阪急バスはまだ実施されていない。阪急でも早急に実施するよう求めること。

    6. 芦屋市や尼崎市など多くの自治体が実施している70歳以上のバス運賃半額助成制度(敬老パス)の創設を、高齢者の社会参加や福祉的観点から早急に実施に向け検討すること。

  15. 西宮北有料道路(盤滝トンネル)の無料開放時期が、住民からの強い要望や議会の取り組みを経て3年間前倒ししいよいよ2017年度末となった。予定通り無料化を実施し、県公社への貸付金を収受すること。

  16. 北部山口地域の渋滞は、地域住民の生活に影響を及ぼしている。北有料道路の無料化の実施も考慮し、国道176号線の整備を含め、早急に渋滞解消のための対策を講じること。

  17. UR(都市再生機構)による浜甲子園団地の建て替え事業は、長期にわたる事業であり、まちづくりに対する市の主体性が求められる。以下の点に取り組むこと。

    1. センター地区の開発については、保育所・幼稚園・集会施設などの公共施設を残すよう、URと協議をすること。

    2. 戻り入居者は高齢者が多く、一定の配慮はされているものの、高くなった家賃負担は深刻である。家賃の引き下げをURに求めること。

    3. 建て替え前の団地街は、道路・通路なども老朽化が進んでいる。この間、一定の道路補修が行われたが、大きな段差などは生活に支障がでないようURと協議の上、全体計画工事前であっても早めに補修などに取り組むこと。

  18. 市営住宅について

    1. 市は、2012年に策定した「西宮市営住宅整備・管理計画」をさらに見直し、市営住宅のストック数を、当初の約9,600戸を2021年(H33)までの10年間で9,000戸にし、その後さらに第2次建替え計画完了時の2030年(H42)には600戸削減し、ストックを全体として8,300戸とするとしています。これは、貧困と格差が広がり、また、高齢化が進むなかで、人気の高いところでは応募倍率が50倍、100倍を超えるところがあるように、市営住宅への入居を切望する市民の実情と大きくかけ離れている。福祉的観点からも市営住宅削減計画は撤回し、市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。

    2. 引き続き、不足している障がい者、高齢者仕様のバリアフリー住宅を多数整備すること。

    3. 現在、市営住宅の管理について北部、中部、南部管理センターとして地域を分け、指定管理者を選定、募集業務は北部管理センターが行なっているが、この度、市内全域を統合し、1指定管理者を選定した上で管理業務・募集業務が進められようとしている。しかし、市営住宅は福祉的な対応が求められることから、指定管理者では、入居者の様々な要求や相談に、迅速かつ責任ある対応ができない。したがって、市営住宅の管理は市直営に戻すよう検討すること。

    4. 空き家募集の際、市は「わざと高倍率の物件に応募して落選回数を稼ぐ…」などと制度の悪用が横行したとの理由で、多回数落選者優先制度を退けている。市営住宅入居を希望する市民が、利便性が高く設備も充実している人気の高い団地を選択するのは当然である。多回数落選者優先制度を復活させること。また、県営住宅は毎月募集を行っているが、西宮市も毎月募集をおこなうこと。

    5. 階段型市営住宅へのエレベーター設置は、電気代等の共益費の新たな負担が生じることから、住民全員の合意を得ることが困難なため、すすんでいない。未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。

    6. 市営住宅の共用部分等の管理について、2015年9月議会において条例改正を行い、団地ごとに住民が希望すれば、市が共益費の徴収とその収支管理、共用部分等の管理をおこなうこととなったが、実施している団地は少ない。この背景には、指定管理者が行う共益費の試算が高すぎる事への不安がある。スムーズに管理が市へ移行していくように、条件の整備を緩和するなど、引き続き市が責任を持って対応すること。

    7. 6月議会で市営住宅条例の改正があり、改良住宅の空き家については、来年4月以降は一般市営住宅並み家賃で募集することとした。しかし共益費については徴収せず、逆差別ともいえる状況を温存している。さらに今後の改良住宅の建替えにあたっては、補償入居者と一般入居者を「区別」するという名のもとに差別を続けることも明らかになった。行政自ら差別を継続することは許されない。抜本的に改良住宅のあり方を整理すること。

    8. 家賃や共益費徴収については、福祉的な観点からも、公平性の観点からも、改良住宅と一般市営住宅で統一するよう検討すること。また、一般市営住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いも一部残されており、同一基準とすること。

    9. 名義の承継について、「配偶者に限るように」との国の通知(指針・ガイドラインして)があるが、これは低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き、市の従来方針で慎重かつ柔軟に対応すること。

    10. 名義人が入院中の場合、条例や規則、要綱等の根拠もなく同居申請を受け付けず拒否されたケースがあった。是正すること。

    11. 市営住宅の来客用駐車場がないため、訪問入浴サービスなどの福祉車両が駐車できず支障をきたしている。有料駐車場の整備を積極的に進めること。

  19. UR(都市再生機構)借り上げ市営住宅について、特に西宮市はURへの全住宅の返還、全員転居の方針に固執し、継続入居を希望しているシティハイツ西宮北口(青木町)入居者に裁判で大きな不安と負担を与えている。継続入居を希望する人たちは、そもそも転居困難者であり高齢化が進み、これまで築いてきたコミュニティに支えられて暮らしてきた入居者が、住み慣れた住宅を離れることは、命にかかわる問題となる。以下の点についてさらなる検討、実施を行うこと。

    1. 裁判で係争中のシティハイツ西宮北口(青木町)入居者に対し、市は入居者の意向に沿って早期解決をはかるため、全員が入居を続けられる条件を整える方向で和解協議を進めること。

    2. シティハイツ西宮北口以外の団地入居者に対し、「随時斡旋」で希望する住宅への住み替えを進めるとしている。この際、URとの契約である20年経過後も希望住宅への住み替えが進むまでは引き続きの入居を認めることになった。市は、この原則を順守し機械的な追い出しは一切行わないこと。間違っても入居者を裁判に追い込まないこと。

  20. 西宮市内は家賃が高く、青年や高齢者など低所得者に対して、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。