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「日本政府に核兵器禁止条約調印を求める意見書提出の件」に対する賛成討論
2017年09月20日

 ただいま上程中の意見書案第17号日本政府に核兵器禁止条約調印を求める意見書提出の件について、日本共産党西宮市会議員団の賛成討論を行ないます。
 この度の意見書案は、さる7月7日、国連において採択された核兵器禁止条約に日本政府が反対の立場をとっていることから、政府にこの条約への調印を求めるものです。
 皆さんもご承知だと思いますが、今回の条約交渉会議の開催は、昨年の国連総会における条約の交渉開始決議の採択を受けて開催されたもので、今年の3月を第一期、6月から7月にかけて第二期会期とした交渉会議のなかで出された結論が今回の条約採択です。この条約に核保有国や核の傘の下にある国は参加しませんでしたが、国連のこの交渉会議に出席した124カ国のうち,122カ国の賛成によって採択され、今後50カ国以上の批准から90日後に発効することになっています。
 残念ながら日本政府は、3月の第一期交渉会議の冒頭に参加したもののこの条約に反対の立場とともに、その後の交渉には参加しないことを表明して退席しました。日本政府はこれまで、国連や軍縮協議の場で「唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現の為に力を尽くす」と述べてきています。そして、その立場から核兵器国と非核兵器国とのあいだの橋渡し役をするという理由から、1昨年までの国連総会で核兵器の禁止条約を求める決議に対し、棄権という態度をとってきました。
 今回、日本政府が棄権から反対に回った背景にはアメリカの圧力がありました。昨年の国連総会では12月の本会議を前に委員会が開催されましたが、軍縮や安全保障問題を取り扱う第一委員会で今回の条約交渉が提案されて議論され、10月28日に委員会で採択されました。その委員会採決に先立って、アメリカがNATO加盟国や日本などの同盟国に対し、この条約交渉決議に反対し、会議にも参加しないよう求める文書を送っていたことが明らかになりました。このアメリカの要請に追随する形で日本政府は、これまでの棄権から、委員会採択、本会議採択ともに反対の態度をとったのです。
 政府が今回は明確に条約に反対の態度をとったことに、被爆者から怒りの声が広がり、長崎での平和記念式典後に、長崎の被爆者団体代表が安倍首相に要望書を渡すときに、団体の代表から、「ヒバクシャの願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。私たちをあなたは見捨てるのですか」、そして「あなたはどこの国の首相ですか」と問い詰められる場面がありました。被爆者は高齢化が進み、自分たちが生きている間に核兵器をなくしてほしいという願いを踏みにじったに日本政府への怒りが、今紹介した言葉に表れていると思います。今回、核抑止論の立場にとどまらず核兵器国側の立場に日本政府が立ったことは、核兵器国と非核兵器国との橋渡しをするという立場さえ投げ捨てることになりました。今回の交渉会議には初めて市民社会も参加するという形で行われましたが、イギリスのNGOが日本政府の机に置いたとされる「あなたがここにいてくれたら」と書かれた大きな折り鶴が話題になりました。このように被爆者や日本国民だけでなく、国際社会からも被爆国日本が参加しないことへ疑問が呈されたことは当然のことだと思います。
 日本政府は、これまでも1970年に発効した核兵器の不拡散に関する条約、以下NPTと呼びますが、このNPTの強化や核戦力の透明化なども主張してきています。先ほど公明党議員団から紹介のあった日本政府が国連に提案した決議でも同じような主張がされていますが、この50年近い間に核兵器は増え、核保有国も増えています。そこにはNPTが当初の核保有5カ国だけに核兵器を持つことを認め、それ以外の国は持ってはいけないとする不平等なものであることから、インドやパキスタンなどがNPTに加入せず、今では核兵器を持っているとされています。北朝鮮もNPTに加入していましたが、その不平等さなどを訴えNPTからの脱退を表明しています。国連のNPT再検討会議ではこの20年近く、核保有国は核兵器廃絶に向けた努力をするという合意をしながら、廃絶へとすすまない現状から、核兵器廃絶への枠組み、すなわち核兵器禁止条約を求める声が国連でも世界でも広がっていったのは当然のことと言えます。
 この度の条約では、今回条約に参加をしなかった核保有国に対しても、核兵器を廃棄した上で条約に参加する、あるいは条約に参加した上で核兵器廃絶の日程を明らかにするという道も開かれています。ですから、北朝鮮やインド、パキスタン、イスラエルなどによる核兵器の脅威をいうのであれば、国連に加盟しているその国々とともに廃絶に向けた日程を模索することもできます。現在、北朝鮮の核実験や核ミサイル発射の脅威が高まる中、すべての国が核兵器を持たない世界を目指すことを前提に、北朝鮮を始めNPTに加入していない国にも働きかけをすることこそが、今求められているのではないでしょうか。
 したがって日本政府は、国際的に違法化をされ「悪の烙印」が押された核兵器による核の傘に依存するのではなく、直ちに核兵器禁止条約に調印するべきであることから、この意見書案に賛成し討論とします。