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上田さち子の反対討論
2017年10月04日

2016年度・平成28年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について


 ただいま上程中の決算認定のうち、認定第15号 2016年度・平成28年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件につきまして、日本共産党西宮市会議員団は反対をします。以下、討論を行います。

 今回上程されております2016年度決算は一般会計・特別会計あわせて、歳入2603億3500万円、歳出2562億8300万円で36億9500万円の黒字。一般会計のみでは、歳入1696億7300万円、歳出1668億5200万円、翌年度へ繰り越すべき財源3億5600万円を差し引きし、実質収支額は24億6400万円の黒字となりました。市税収入が858億9300万円で、昨年度に比し15億6600万円の増となっています。その影響から地方交付税が11億1500万円減、臨時財政対策債の発行可能額は13億7000万円の減、あわせて24億8500万円の減となっています。予定されていた財政基金の取り崩しは、2015年度に続き行われませんでした。
 先日の私の決算質疑でも明らかになりましたが、2016年度決算の特徴として、西宮市の財政状況が過去最高の状況になっていることがあげられます。市税収入は先ほど述べた通り858億9300万円ですが、これは、平成4年の867億円に次ぐ額であること。また財政基金と減債基金の残高は235億円となりましたが、この額も平成2年度末の236億円、これは公共施設整備基金や土地開発基金の現金部分をプラスしたものでしたから、2016年度末で結局過去最高の基金残高を記録したことになっています。さらに、決算剰余24億6400万円の二分の一を積み立てますので、2基金合計の残高は、2017年度末には247億3000万円になる見込みです。ちなみに、2017年度の財政収支見通しについては、歳入も歳出もおおむね順調に推移していることから、69億円を取り崩すことにしていた基金も、取り崩す必要はないということも、先日の質疑で明らかになりました。この他に、公共施設保全基金21億円やアサヒ用地購入費用として土地開発公社に貸し付けた55億円などもあり、まさに西宮市は、潤沢な財政力を持つ自治体として、国の悪政の防波堤となって、最大の仕事である地域住民の福祉の増進をしっかり図る体力をもつ自治体である、このことを強調しておきたいと思います。
 2016年度は、日本共産党西宮市会議員団が要望していた婚姻歴のないひとり親家庭の寡婦(夫)控除の見直し、学童保育の通年での4年生受け入れ、児童生徒の急増と小学校の老朽化に伴う校舎の新増築、防犯灯の直営化、JR福知山線廃線敷きの整備などが進められました。しかし一方で、UR借り上げ住宅入居者の「住み続けたい」との願いを退けて、被告席に立たせるという冷酷な追い出し行政を進めるなど、市民が主人公という観点からは程遠い行政姿勢もありました。

 次に、反対箇所について述べます。
 一つ目は、UR借り上げ市営住宅についてです。
 2015年9月末にシティハイツ西宮北口の市とURとの借り上げ契約20年の期限を迎え、全戸返還、全世帯転居という方針により、継続入居を求める7世帯を市は提訴しました。現在裁判が続いていますが、裁判長から「入居を継続することが可能となる方法はないのかなどについて和解協議を」と提案され、協議が続けられています。一方市は、残る団地が次々と20年の期限を迎えることから、住み替え斡旋の方法を定期斡旋から随時斡旋に変更し、入居者の方々が希望する市営団地の「空き家」が出るまでは、20年経過後も引き続き、UR借り上げ住宅に住み続けられることにしました。
 このような市の方針の変更は、裁判で被告席に立たされた7世帯の方々に対しても、何らかの形で住み続けられる条件づくりを、和解協議の中で市に促すことを求めています。いずれの方々も高齢で健康状態も懸念される方ばかりです。早急な市の英断を求めておきます。

 二つ目は、マイナンバー制度についてです。
 2016年度は、3ヵ年のシステム整備の3年目にあたり、他市との連携の運用テストなどを行うとともに、マイナンバーカードの交付が開始された年です。
 マイナンバーを通じ、個人情報を自治体や国の機関との間でやりとりできる「情報提供ネットワークシステム」の本格的な運用が3ヶ月遅れで始まろうとしていますが、会計検査院から同システムの不備が指摘されるなど矛盾が浮き彫りになっています。
 47都道府県、約1700市区町村、日本年金機構、税務署、医療保険者など5000を超す公的機関をつなぐ巨大情報連携システムの構築をめざすものですが、2015年に日本年金機構が125万件の個人情報を流出する大問題が起こり、「情報提供ネットワークシステム」の試運転実施が延期されるなど、情報漏れ対策が万膳なのか、不安はぬぐえません。
 そもそも、マイナンバー、社会保障・税番号制度は、税や社会保障などの個人情報を、12桁の番号を使って簡単に名寄せ、参照できるようにし、行政がそれらの個人情報を活用しようとする制度で、社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大の狙いです。
 国民にはなんらメリットはなく、大量の個人情報が蓄積されるため、プライバシーの侵害、犯罪に利用されるなどの危険性が非常に高くなります。マイナンバー制度は直ちに中止すべきです。
 なお、西宮市は2017年度の特別徴収税額通知書には、マイナンバーを記載しない措置をとっており、継続を求めるものです。

 三つ目は、食肉センター特別会計です。
 食肉センターについては一般会計から1億4,267万円繰り入れていますが、市民への寄与が全くありません。今後も施設の老朽化に伴い税投入が増えることになります。提言では県への移管、民営化、廃止の3つが示されていますが、店晒しにされています。
 現在の指定管理者が2018年度で終了しますが、市は引き続き指定管理者でとの考えです。日本共産党市会議員団は、その際には民営化など、先の提言に沿った対応をするよう強く求めます。

 以上が反対箇所です。


 次に指摘や要望、意見を述べたいと思います。

 まず、介護保険についてです。
 2000年に「介護の社会化」を旗印に始まった介護保険制度は、幾たびの法改正が繰り返されていますが、2014年6月には医療・介護総合確保法という介護保険法の制度開始以来の大幅な改定がおこなわれました。
 この法改定により、これまで一律1割負担だった介護サービス利用の自己負担が、一定所得以上の高齢者は、2割負担になり、また、介護保険施設に入所する際の居住費・食費の負担を軽減する補足給付は大幅に縮小され、さらに、特別養護老人ホームの入所資格は要介護3以上に限定されました。
 そして、要支援1,2の方に対する保険サービスのうち、訪問介護と通所介護が保険給付から外され、2017年4月から1年かけて、「介護予防・日常生活支援総合事業」、新総合事業に移行することとなりました。これは、生活支援と介護予防については必ずしも介護の専門職によって提供される必要がないとして、住民主体等の多様な新たな担い手にシフトし、保険給付を減らそうとするものです。 
 本市では、通所介護については事業所による現行相当サービスのみが提供されますが、訪問介護については、現行相当のホームヘルパーによる予防専門型訪問サービスに加え、研修を受けた支援員による「家事援助限定型訪問サービス」が始まっています。同サービスの介護報酬が、現行サービスの8割程度と低いことの影響が、ヘルパーの待遇や事業所の存続にどのように表れるかが懸念されます。また、何より家事に限定するサービスが、高齢者の生活支援や介護予防、ひいては自立支援に役立つのかも疑問に思うところです。今後の展開をしっかり見極めたいと考えます。
 さらに今年、利用料の3割負担導入と、自立支援や重度化防止をすすめた自治体には財政優遇のインセンティブを与えるなどの介護保険法改定が行われました。
 インセンティブ付与の詳細はまだ不明とのことでしたが、厚労省の資料には、認定率が下がった和光市や大分県が先進例として紹介されています。自治体が恣意的に認定率を下げ、保険給付を減らすことは可能ですが、そんなことが絶対にあってはなりません。分科会のなかで当局は、「自立支援や重度化防止は、個別のケアプランの分析を中心に行う。インセンティブ獲得のために、認定率の低下などの具体的目標を掲げて取り組むことはしない」と明言されました。この立場を貫いていただきたいと思います。
 この3年間のすさまじい負担増と給付減に加え、さらなる給付削減の仕掛けがつくられようとしている介護保険制度は、国家的詐欺とまで言われるようなありさまです。新年度は3年ごとの介護保険事業計画見直し時期であり、保険料の見直しも行われますが、これ以上の制度改悪は許さず、少しでも改善が進むよう、私たちも取り組んでまいりたいと思います。

 次に、送迎保育ステーションです。
 2019年度・平成31年4月より、送迎保育ステーション事業が供用開始されますが、阪神西宮駅前のステーションから高須東小学校跡に整備される保育所へ、送迎バスで子どもたちを移動させるしくみです。保育所の待機児童解消策とはいえ、毎日、家からステーションへ行き、そこでバス発車時刻まで待機、30分近くかけて高須の保育所まで移動することになります。子どもに大きな負担がかかり、また子どもの発熱、ケガなど緊急事態の時、お迎えの予定時刻前に保護者はどう対応するのかなど、この方式にはいくつもの懸念や心配があります。日本共産党は現時点で反対は致しませんが、注意深く推移を見守りたいと考えます。

 次に、国民健康保険です。
 国民健康保険は2018年度に都道府県化されることになり、納付金を県に納めることになります。納付金については県から2018年1月に示されることになっています。
 国保の都道府県化の国の狙いは、保険料抑制のための一般会計からの繰り入れや市独自減免をやめさせることですが、市では繰り入れや市独自の減免についてはこれまで通り実施する方向で考えているとの答弁がありました。2017年3月議会では保険料の抑制に基金を活用できるよう条例改正を行っています。新年度は25億円の基金や一般会計の繰り入れで保険料を引き下げることを強く求めます。

 最後に、卸売市場の再整備について申し上げます。
 本市の中心部にあり、JR西宮駅前に立地する現卸売市場は、老朽化が激しく、防災面でも大きな問題点をもっています。2013年・平成25年に示された「西宮市卸売市場整備基本方針」では、公設・民設の2市場を統合し、民設民営、現在地整備とすること。公設市場を廃止し、市は出資等は行わず、市場運営は民間に委ねるとの方針でした。しかし、これでは新市場整備のすべてが民間負担となり、その負担の大きさから合意できず事実上不可能となるということから、今回、市街地再開発事業の手法を用いて整備を図ろうという計画が、9月19日に明らかになりました。市の負担の最小化、将来追加支援をしない仕組みづくりと、駅前地区のまちづくりを一体化する案をまとめた報告でした。日本共産党西宮市会議員団は、これまで5回にわたる移転計画が、いずれも断念せざるを得なかった経緯から、今回は最後のチャンスであると考えます。現在市が開設者となっている公設市場の権利を、第一種市街地再開発事業に最大限生かして、市場事業者や関係権利者の方々の合意をほぼ取り付けていることからも支持できるものであると考えます。
 まだ、解決しなければならない課題も残されていますが、市民のみなさんに対して、卸売市場の再整備の意義を市としてきっちり打ち出し、市民が受け入れられる西宮市の中心部・駅前のにぎわいの創出を丁寧に進めていただきたいと思います。

 さて、この決算審査のさなかに、安倍首相は9月28日、臨時国会開会冒頭に解散しました。総選挙へと国政が大きく動いています。10月10日公示、10月22日投票という、前代未聞の超短期決戦の状況です。国民の8割もの方々が、税金を食い物にし、国政を私物化する森友や加計学園疑惑の解明を求めていても、それには蓋をしたままの解散に対して大きな怒りが広がるのは当然です。言論に基づく議会政治を否定し、立憲民主主義を破壊する暴挙そのものです。私も地方自治体の現場で議員として活動してまいりましたが、議員や市民の声に耳を貸さないリーダーは失格だと思います。
 今度の解散は「国難突破解散」だそうですが、いずれにしても安倍首相は北朝鮮の度重なる暴挙を口実に、危機感をあおり、憲法9条を改悪しようとしたり、2019年10月という2年先の消費税10%増税の使い道を、子どもたちの教育のためと言いだしはじめました。世界の大きな流れは北朝鮮問題については経済制裁を強化することとあわせて、対話・外交により解決を図ろうとしているときに、圧力一辺倒でいいのかが問われており、また、国民のだれもが望む子どもたちの教育の充実を人質にとりながら、消費税増税を強行することは許せないと思います。
 総選挙を目前に控えた中で、政党の離合集散が起こっています。これまで、どれだけの政党が突然現れては、いつの間にか消えてなくなっているということがあったでしょうか。こういう事態を見るにつけ、政党とは、政治家とはどうあるべきかが問われていると思えてなりません。私は反戦平和を貫いて95年の日本共産党の一員として47年、また、西宮市議会議員として30年間ぶれずに筋を通して活動できたことを誇りに思います。
 最後に私ごとではありますが、9月議会最終日の本日をもちまして、一身上の都合により議員を辞職することにいたしました。議場におられる理事者のみなさん、そして議員のみなさん、30年余にわたる私の市会議員としての活動に対しまして、大きなご支援とご鞭撻をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 以上で討論を終わります。