2 西宮市役所における「働き方」について
現在通常国会が行われていますが、倍首相はこの国会を「働き方改革国会」と位置づけ、「誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へ抜本的に改革する。」「労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革」だと述べています。さらに、「同一労働同一賃金」「非正規という言葉を一掃する」「罰則付きの時間外労働の限度を設ける」「専門性の高い仕事では、時間によらず成果で評価する」などが述べられています
しかし、「働き方改革」の具体的な中身はどうかでしょうか。
「高度プロフェッショナル制度」では、一定の年収の労働者は、どんなに働いても残業代はゼロとなり、労働時間規制もなくなります。まさに、「定額働かせ放題」です。残業時間の上限規制についても月45時間は原則にすぎず、繁忙期には月80時間、100時間という過労死水準の残業が容認されます。財界の立場に立った「働かせ方大改悪」と言わなければなりません。
特に、裁量労働制の営業への拡大については、「一般の労働者よりも企画業務型裁量労働制の労働者の方が労働時間が短い」という首相の主張は、その根拠となるデータが捏造されたものであることが明らかになり、「働き方改革」一括法案の前提がいよいよ成り立たなくなっています。
法案の提出は大幅に遅れるとも言われていますが、断念するとともに、残業は、大臣告示の年間360時間以内、一ヶ月45時間以内を法制化するべきです。
さて、西宮市役所における職員の働き方についてはどうでしょうか。超過勤務の実態についてです。
神戸新聞が2015、2016年度の県内自治体の残業時間についてアンケートを行い、その結果が昨年12月に公表しています。県内自治体のうち、18自治体で年間残業時間が720時間(月平均60時間)を超えた職員がおり、うち県や神戸市など7自治体で年960時間(過労死ラインとされる月平均80時間)を超える職員もいた、と報じています。西宮市は、2015年、16年とも年間720時間以上が一人ずつとなっています。
その他、選挙管理委員会の職員や教員の長時間労働も大きな問題となっています。
昨年、3月議会で、私は職員定数条例の改正についての討論で、年間超過勤務時間が1000時間を超える職員が2013年度で8人、2014年度7人。月60時間年間720時間では2013年度39人、2014年度では23人。過労死ラインといわれる月80時間を1年続ければ960時間ですから、これを超えるような実態、あるいは月によっては過労死ラインに超えるような実態がありました。
資料1の、2014年度から16年度の超過勤務実績をご覧いただければと思いますが。
西宮市では、2014年度から超過勤務の縮減、年次休暇の取得促進の取り組みをすすめており、この間、一定の改善がされてきた結果が神戸新聞での数字でしたが、まだまだ過労死を生じさせるような状況が残されています。
質問
- 年間の超過勤務時間については、西宮市役所の状況は明らかとなっていますが、過労死ラインは、ひと月でも100時間、80時間以上なら2月から6か月続いた場合ということが言われており、月間の超過勤務時間についても問われます。西宮市役所における超過勤務、長時間労働の実態についておききします。
- 2014年度から超過勤務の縮減を進めるなどの取り組みを行っていますが、超過勤務に対する市の考え方を改めてきいておきます。
- 年間360時間以内、一ヶ月45時間以内という時間外労働の上限を定めた大臣告示(1998年に出した労働省告示第154号)について、西宮市の認識をうかがいます。
大臣告示の年間360時間以内、一ヶ月45時間以内を市の目標とすべきではないか。
- 西宮市役所では正規職員が減り、非正規職員への置き換えがすすんできています。現在では職員の約3割が嘱託、臨時などの非正規職員となっています。長時間労働の要因の一つになっているのではないかと思われます。
昨年5月の地方公務員法の改正により、臨時的任用、特別職非常勤の任用を厳格化するとして、2020年度より嘱託職員や臨時職員など非正規雇用の職員については「会計年度任用職員制度」に移行することとなります。
会計年度任用職員では、フルタイムとパートタイムでの格差が温存されることや、処遇や労働条件が引き下げられるなどの問題点も指摘されており、これらは、市民サービスの低下にもつながりかねません。
この会計年度任用職員制度について、非正規職員の処遇の維持、改善や市民サービスの低下をまねかないとの観点からの研究、検討が必要と考えますが、現時点での市の考え方を聞きます。