HOMEへ
野口あけみの反対討論
2018年04月23日

議案第418号 西宮市援護資金設置条例及び西宮市援護資金条例を廃止する条例制定の件


 次に、議案第418号 西宮市援護資金設置条例及び西宮市援護資金条例を廃止する条例制定の件についてです。       

 議案第418号は、傷病、失業等により生計の維持が困難になり、自立更生に必要な融資を他から受けることができず、かつ、措置期間内に自立更生が見込まれる人に一時的に資金を貸す「援護資金」制度を廃止するものです。
 市当局は、廃止する理由として3点、
1、H26年度以降において、相談者は慢性的な生活困窮者であり、また多重債務者、連帯保証人もいない者がほとんどであり、貸付要件を満たさない。よって、貸し付け実績がない。
2、可能な限り生活保護の適用について柔軟に対応している。
3、兵庫県社会福祉協議会に類似した貸付制度があり、代替できる。     を挙げています。

 しかし日本共産党市会議員団は、それらの理由から援護資金の存在意義がなくなったとは到底思えません。廃止の前に、まだやるべきことがあると考えます。

 多くの相談者、ほとんどの相談者が慢性的困窮、多重債務といいますが、実態はどうでしょうか。年収200万円以下のいわゆる「ワーキングプア」層は確実に増えており、全国で1000万人を超えています。病気やけがなど様々な事情で一時的に生計費に困るという例は容易に想像がつきます。実際にそのような相談を受けたこともありますが、この援護資金制度は周知も不十分、かつ、連帯保証人が必要で、本人、連帯保証人とも印鑑登録証明書、住民票の写し、収入がわかる諸書類などなどを求められるなど手続きも大変煩雑です。これらの人たちが、援護資金制度の利用や利用検討の前に、おそらくもっと手軽に借りることができるカードローンに行き着いています。
 貸し付け実績がないといいますが、このようにハードルを上げてなかなか貸さないようにしてきたというのが実際ではないでしょうか。

 生活保護の適用について、柔軟に対応しているともいいますが、2016年度の23件の相談のうち、保護申請は5件にとどまっています。
 そもそも、生活保護の利用率=捕捉率は2割程度であり、必要な人が利用できていないという実態が広く存在しています。生活保護は恥だという意識、生活保護に対するバッシングの影響や、制度の周知不足、相談に行った役所で間違った説明で追い返される、いわゆる水際作戦などが利用率が低い理由だととの、専門家の指摘もあります。
 日本共産党は、その名称を「生活保障法」に変更することを含めた、生活保護制度改善への緊急提案を国会で提案しているところです。ましてや、政府は今年10月から生活扶助費を削減するとしていますが、断じて許せません。憲法25条の規定によって国民の権利とされる生活保護が、セーフティネットの役割をしっかり果たせるよう改善されることを期待するものです。
 そして、市の援護資金制度もそれを補完するセーフティネットのひとつとして機能するよう、制度廃止ではなく、制度改善をこそ求めるものです。