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佐藤みち子の反対討論
2018年04月23日

2018年度予算反対討論


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第428号2018年度(H30年度)西宮市一般会計予算、議案第429号2018年度西宮市国民健康保険特別会計予算、議案第430号2018年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第435号2018年度西宮市介護保険特別会計予算及び議案第436号2018年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。
 以下、理由を述べます。
 
 2月19日、今村前市長から「一身上の理由により2月20日をもって市長を退任したい」旨の「退任願」を議長が受理し、2月20日、全会一致で退職に同意しました。振り返ってみれば今村前市長は任期4年間、不適切な言動を繰り返しました。しかし、憲法や原発等の問題については国に言うべき言葉はなく、社会保障の削減等については国の法律や方針に従って対応すべきものであると述べ、およそ、貧困と格差が広がり暮らしが大変な市民を、市長としてどう守っていくのかという姿勢が全くありませんでした。最後の暴言で、市内外から市役所には批判の声が多数寄せられ、その結果、今村前市長は市民や職員に見送られることもなく、逃げるように市役所を去り、3月議会は市長の施政方針、議会の代表質問もないという異例の中で開催されました。

 安倍政権のもとで、政治不信が広がっています。安倍内閣が国会に提出した「森友」関係の公文書が約300か所も削除・改ざんされていたことが明らかとなりました。公文書は「国民の知的共有財産」であり、その改ざんは「主権者である国民を欺くものだ」と言わなければなりません。いったい誰が改ざんを指示したのか、その経緯と真相究明を主権者である私たち国民は求めています。
 さらに、最近問題になっているのが、名古屋市立の中学校で前川喜平前文部科学省事務次官が行った授業に関して、文科省が同市教育委員会に、執拗に質問メールを送り付けた問題です。林文科相は、自民党の議員が複数回調査を求めていたことや質問メールの表現について「全体的に圧力を与えかねない」と認めました。教育が「不当な支配」に服さないとする戦後教育の根本原理を踏みにじる行為であり、絶対に見過ごすわけにはいきません。西宮市政においても、対岸の火事とせず、自らを厳しく律するべきときです。

 さて、議案第428号2018年度西宮市一般会計予算についてです。
 一般・特別・企業会計の総額は3,125億1,348万9千円となり、前年度から約56億円(1・7%)減となりました。一般会計は投資的経費の増大により増えましたが、国民健康保険特別会計が財政運営の主体が、都道府県に移行することにより大幅な減となりました。なお、市長選挙が実施されることから「政策的な判断が必要となる新規事業等については、原則として計上を控えた予算案」であると市は説明しています。
 市税が給与所得の増や一部企業の業績が好調なこと、固定資産税の増などによって前年度比0・7%増、5億7,726万円の増額で862億円となりました。この市税は当初予算としては過去最高の額になっています。根幹となる市税収入が歳入全体の半分を占めていることは財政基盤が他市と比べて強いこと、さらに市税の内でも比較的安定的な税収である個人市民税や固定資産税の割合が高く、安定的な財政運営を行う基盤となっているのが西宮市の特徴だと言えます。
 基金については、取り崩しを30億円から60億円、毎年予算計上するものの、決算を打てば、アサヒビール跡地を55億円で購入した2014年度に、18億円取り崩したのみで2009年度以降、事実上、財政基金の取り崩しは行っていない状況です。約10年間溜め込んできたと言えます。
 2018年度の施政方針を考える上で、市民の暮らし、経済的にはどうか、このことを抜きには検討できません。政策局では「生活保護受給者は増えている」との認識を示し、総務局は「税収増から景気好調との認識だ」と述べています。しかし、安倍政権の社会保障の破壊により、最低生活費が引き下げられ、これまで対象だった世帯が受けられなくなるなど、実際には生活保護受給者や就学奨励金認定者は減少傾向にあり、市では格差の拡大が広がっています。このことは決して個人の責任ではありません。国の政治のあり方によってもたらされたものであります。

 特に、2018年度は、介護保険制度では7期計画がはじまり、後期高齢者医療制度では保険料の見直し年度になります。さらに国民健康保険制度は責任主体が都道府県に移行し保険料が上昇します。これらは社会保障制度で、対象者は高齢者が多数を占めます。本来なら高齢者の生活を支えるこれらの制度が、年金制度が不十分なため逆に生活を圧迫することになっています。
 憲法25条は「すべて国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する」と謳っています。様々な社会保障制度は、この25条を実現するための手段であります。しかし、現実はそうなっていません。高すぎる国民健康保険料を引き下げるため、一般会計からの繰り入れを実施したように、市として市民の暮らしを守っていくためには、何ができるのかを考えて頂きたいと思います。地方自治体の本旨は「住民の福祉の増進」であります。行政はこの立場であらゆる努力をして、住民の暮らしを守っていくよう求めます。

 具体的な反対箇所について述べます。
 1点目、UR借り上げ市営住宅問題では、シティハイツ西宮北口の7世帯を被告席に立たせる裁判関係費用が、予算案に含まれておりこれについては反対します。
 また、和解について、裁判所からは、西宮市に対して継続して入居させられる方策を考え、入居者には、住宅に住み続けなければならない理由を示すよう提案があり、7月から3回の協議を行ってきましたが、市側が方策を示さず和解ができていません。裁判は3月17日で12回目となりました。高齢者のみなさんをいつまで被告席に立たせるつもりなのでしょうか。この問題については、入居者の思いをよく聞いて市として話し合いで早期に解決するよう、取り組むことを強く求めておきたいと思います
 
 2点目は、マイナンバー制度です。2018年度は、マイナンバーカードに旧姓併記にかかる予算案が計上されています。以前から指摘をしているようにマイナンバーカードについては、個人情報が流出してもそれを防ぐ手立ては何もありません。この制度はやめるべきです。

 3点目は、市立中央体育館についてです。
 市は老朽化した体育館を建て替え、市民の誰もが快適で安全にスポーツに親しめる環境を整備し、競技力の向上の推進や生涯スポーツの振興を図るとともに、トップスポーツゲームを観戦でき、スポーツを通じた豊かなまちづくりを目指すと、この事業を位置付けています。
 老朽化した体育館を立て直すことには反対しませんが、その規模について、適正化どうかが問題です。基本計画では、建築面積約8,000u、延床面積15,000u、収容人数が約5,000人、バスケットボールが公式3面、サブアリーナにもバスケットボール公式1面ですが、市民が通常使用するのに、これほど大きな体育館が必要なのでしょうか。
 市内にあるプロバスケットチームは、Bリーグ1部に属しており、年間30試合のうち8割がホームゲームと決められていて、24試合が行われます。Bリーグ1部に所属するための要件として、観客の収容人数が5,000人規模と定められ、市の計画はこれに沿ったものです。さらに、市は、バスケットの試合外にも講演会やコンサート等にも体育館を利用することを考えていますが、その参加人数については、5,000人規模までは想定していません。まさに、プロバスケットありきの計画になっています。市民から、温水プールを作ってほしいという要望がありながら、市は採算が取れないと、全く作る気がありません。民生分科会で、「誰のための体育館か競技場か」と言う意見もありました。市が建設する体育館であり、当然主体は市民でなければなりません。バスケットの年間24日の試合のために、このような大きな体育館を作る必要があるのでしょうか。この計画については反対です。再検討すべきです。

 4点目は、第2庁舎等、大林組関連についてです。
 第2庁舎整備で、仮契約をしている大林組は、12月議会でもアミティホール、なるお文化ホール、勤労会館ホール等、天井耐震化工事等の工事事業者で落札されましたが、リニア談合をめぐって問題となっている業者です。リアニア談合では、談合の事実を認めているとの報道がされており、逮捕者が出ていない、指名停止になっていないということで、市が契約していいのでしょうか。大林組関連の契約については反対します。
 また、第2庁舎整備については議案第484号でくわしく述べます。

 続いて意見、要望を申し上げます。
 1点目は、市職員の超過勤務についてです。
 我が党議員団の一般質問でも明らかとなりましたが、2016年度では、超過勤務が過労死ライン、月100時間超で51人、月80時間超が2ヶ月以上で75人、という事態が今なお残されています。総務分科会では、昨年総選挙で選挙管理委員会の職員全員が10月の超過勤務が過労死ラインの100時間を超え、そのうち170時間を超える職人が2名いることが示され、毎日の超過勤務と休日出勤という異常な勤務実態が示され、改善を求める意見が相次ぎました。しかしこのような過労死ラインの長時間労働が起こる大本には、市当局の目標が月平均60時間、年間720時間超の超過勤務をなくすというもので、年間に720時間を超えなければ、ひと月だけならば何時間でも良いということになり、事実上、過労死ラインを容認するものとなっていることにあります。
 総務分科会では、月の上限を定めた目標について検討するとの答弁がありました。本来は、大臣告示の月45時間年間360時間を目標にすべきですが、職員の命と健康を守る立場から、早急に、月の上限を定めた新たな目標を決めるとともに、そのための手立てを検討していただきたいと思います。

 2点目は子どもの医療費助成についてです。
 0歳児は所得制限無しで完全無料化ですが、1歳児から就学前まで所得の高い世帯は、外来窓口で、800円を2回負担する一部負担金制度があり、完全無料ではありません。1年生から中学3年生までは、所得制限があり17,000人余りの子どもたちが、対象外となっています。医療費が無料ではない世帯からは、給料日前に子どもが熱を出すと病院に行くのをためらうとの声が上がっています。市はこの制度について、子育て支援と位置付けていますが、そうであるなら所得制限を撤廃し、どの子も医療費無料を実施するよう強く要望します。

 3点目は、保育所待機児童対策についてです。
 市は、2017年度から2019年度までの3年間で、児童受け入れ枠を1500人拡大することによって、待機児童を解消するとしています。その計画の最終年となる2019年度には、定員枠拡大を755人見込み、その計画が達成できれば、3年間で1500人定員枠拡大という、市の目標が達成できると、いうものです。重大なことは、たとえ目標が達成されたとしても、待機児童解消のめどが、全く立たないということです。本気で、待機児童の解消をめざすのなら、民間任せの保育所整備ではなく、公立保育所の整備を進めるべきです。

 4点目は、就学奨励金についてです。
 就学奨励金の入学準備金は、この春から、新小学一年生、新中学一年生に、入学前に支給されることになりました。しかし、準要保護世帯への支給額を増額してほしい、という強い願いには、応えられていません。増額を強く要望します。
 また、生活保護費の基準が下げられるたびに、就学奨励金の支給対象が削られてきました。10月には生活保護基準が、さらに引き下げられ、新たに就学奨励金の支給対象から外される子どもたちが出てきます。こうした事態を避ける方策を、市としても検討することを要望します。

 5点目は、障害者雇用の問題です。
 市の発注する清掃等の事業を随意契約で請け負っていた、NPO法人西宮障害者雇用支援センター協会の使途不明金問題、この問題については、政治家にお金を渡していた等、未だ真実が解明されていません。西宮市障害者雇用については、今まで二つに分かれていた取扱方針を「西宮市多数障害者雇用企業及び障害者支援施設等への業務委託等に関する取扱い方針」へ一本化に見直しました。さらに、市はこのNPO法人を登録団体から外しましたが、このことによって、障がいのある人の仕事がなくなってしまうことはさけなければなりません。就労については、市として、当事者や保護者の意見をよく聞いて、不安のないようにすべきだと要望します。

 6点目は、まちづくり基本条例についてです。
 今村前市長のマニフェストでは、無秩序なマンション開発などから西宮の住環境を守るため、「まちづくり基本条例」の制定をすると書いていました。今議会の建設常任委員会で「西宮市まちづくり基本条例の制定に係るパブリックコメントの実施について」の所管事務報告が、行われましたが、当局からは「今村前市長がマニフェストで主張していたような開発を規制するものではない」という答弁がありました。学校の教室不足や多くの保育所待機児童が出ている要因は無秩序な開発であり、それを規制する条例と思わせながら、ほとんどその効果がない、条例を提案しようとしています。実効性のある条例制定を求めます。また、開発においては、住環境を守るために近隣住民をはじめ市民が、早くからかかわれるような仕組みを求めておきます。

 次に特別会計について順次討論をします。
 まず、議案第430号2018年度西宮市食肉センター特別会計予算についてです。
 新年度予算では大動物の処理頭数が、当初予算の比較で前年度より5,000頭も減少しますが、この理由は姫路市の食肉センターが、2017年4月に民営化され大動物の処理頭数が増えたことによるものです。このため使用料が大幅減になり、一般会計からの繰入れ金が1億9,700万円となり、前年度より1千400万円増えることになります。このような多額の繰入は、とうてい市民が納得できるものではありません。市は、繰り入れについては削減していくことが市の使命、また、未来永劫指定管理者で、とは思っていないと言いますが、今のところ全く改善策はありません。市は2004年に出された提言、県への移管、民営化について、すでにないものとしていますが、このことは問題ではないでしょうか。姫路市、豊田市でも民営化になっています。他市のやり方を研究する等、食肉センターは早期に民営化することを求めます。
 
 次に議案第436号2018年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算についてです。
 2018年度、2019年度の後期高齢者医療保険料が広域連合より示されました。所得割率は前年度と同額ですが、均等割りは48,855円となり558円上がります。さらに、このことにより一人当たりの保険料は年額80,085円となり106円上がります。2割・5割軽減については対象者が拡大されました。市は高齢者について、「昨今の社会経済状況により、保険料負担能力が低下している。75歳以上の高齢者が増えるとともに滞納者が増加している」と分析していますが、その対策が徴収強化と言うのは本末転倒です。保険料が上がり続けるこの制度に対して、市としてどのような方法で保険料引き下げが可能か、是非検討してくださることを要望します。
 
 議案第429号2018年度西宮市国民健康保険特別会計予算及び議案第435号2018年度西宮市介護保険特別会計予算については、先の日程で述べた理由で反対するものです。
 以上、日本共産党西宮市会議員団の5件の予算についての反対討論とします。