HOMEへ
杉山たかのりの動議提出と反対討論
2018年07月09日

議員提案の口利き防止条例について


動議の提出

 ただ今上程中の「議員提出議案第8号 西宮市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例制定の件」につきまして、総務常任委員会に再付託し、閉会中の継続審査とされるよう、動議を提出します。

(「賛成」2名以上)

 この議員提出議案は、職員の公平公正な職務の執行を確保するために、市民からの不当な要求に対応する職員を支える法的環境づくりが必要であり、これまでのあいまいな規定を明文化するというもので、記録の義務付け、録音の許可などが盛り込まれており、市職員、市民、事業者の理解が大事だとしています。

 総務常任員会で提出者が出席し質疑が行われましたが、例えば西宮市内部公益通報に関する要綱で職員等に規定されている指定管理者の職員は職員の対象になるのか、財産区の取り扱いはどうなるのか、条例によって生じる記録や録音データーの公文書としての取り扱いはどうなるのか、条例化に伴う録音機をはじめとした予算額と計上時期はどうなるのか、他の自治体は採用していない録音について要綱で定める答えることができませんでした。多くは市当局まかせであることがわかりました。

 特に、「記録することができる」というのは市民的にも問題があり、十分な検討が必要です。

 これまで提出者は、代表質問や一般質問でも取り上げておらず、今議会突然提案されたもので、時間もなく、私自身も十分、研究や検討することはできていません。

 提出者は1年ほど前から準備してきたと言われていましたが、総務常任委員会の審議を見れば、代表提出者が条例案について十分な研究や検討がされているとは思われませんし、他の27名の提出者が代表提出者以上の理解をしているとは思いにくいのです。

 条例案では採択されれば、提出者を含めた議員の本当の意味での理解、当局による規則、要綱など細部のつめ、審査会の人選、予算計上、市民に対して録音という抑止力を行使し、不当要求行為があったと認めるときは、捜査機関への告発をすることまで条例に盛り込まれており、当然、市民、事業者への周知と理解のための期間が必要となります。

 条例には施行日を平成30年10月1日と定めており、2ヶ月程度では、到底実施することはできません。

 同趣旨の条例が、多くの自治体で当局の提案によって制定されていることからも、条例制定に反対するものではありませんが、議員提出議案という形で制定するのであれば、議会内での議論検討、当局との協議、市民への周知・理解という手続きが必要であり、そのための時間が必要と考えます。
 以上の理由から、議員提出議案第8号 を総務常任委員会に再付託し、閉会中の継続審査とされるよう、動議を提出します。

(継続審査の動議が否決される)

反対討論

 ただ今上程されている「議員提出議案第8号 西宮市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例制定の件」について日本共産党西宮市会議員団は、反対をいたします。以下、理由を申し上げます。

 我が党議員団は、多くの自治体が条例化していることから条例化そのものの必要性は否定するものではありません。本来、当局によって十分に吟味されて、議会のチェック、パブリックコメントによる市民の意見を聞くなどの手続きを経て制定されるべきものであると考えます。「職員を守る」ということの裏には「不当要求をする市民」ということが前提になります。それは、「録音」というほかの自治体ではない行為を西宮市では可能とすることになることから、市民を信用しないことに繋がらざるを得ないのです。市民の要求が不当かどうかを判断しようと思えば、すべてを記録し判断してはじめて、不当かどうかの判断ができます。そうなれば、「録音できる」ということで初めから録音をすることになります。市民の許可を得ても、秘密録音でも、抑止力、つまり市民に対して威嚇をし、場合によっては捜査機関に告発までするのですから、条例の中身そのものに問題ありと言わざるを得ません。

 しかし、提出者に28名の議員が名を連ねている以上、この内容で成立する可能性は大きいことから、中身を精査するためには当然時間が必要であり、継続審査を主張したのです。

 総務常任委員会では、市民クラブ改革の中尾議員が詳細な質疑をされましたが、提出者は何一つまともに答えることができませんでした。1年ほど準備されたということですが、他自治体の条例を組み合わせた程度で、自ら研究・検討して条例案を練ったとは思えません。

 例えば、指定管理者の職員が職員に入っているのかという問題ですが、条例案の関連する現在の西宮市の要項の一つ、西宮市内部公益通報に関する要綱では指定管理者の職員も職員等に規定されています。つまり、西宮市の要綱は当然検討しているはずですから、指定管理者について聞かれれば、何らかの答弁があるはずですが、提出者は全く想定していませんでした。つまり、西宮市の要綱すら検討していなかったのでしょう。私も事前に指定管理者のことは指摘しており、審議のための準備もしていなっかたことになります。一事が万事ですから、中尾議員の質問に答えられないのは当然です。

 議案を提出した会派ぜんしんがこのレベルですから、名前を連ねた他の会派の22名の議員の理解は言うまでもありません。

 提出者は、必要な事項は条例制定を当局が定めるとのことですが、施行日が10月1日ですから2ヶ月ほどのあいだに、間に合うのでしょうか。

 中尾議員の指摘では、録音機材など予算が必要であり、審査会の委員の人選が必要です。

 必要事項を定めるとすれば、規則、要綱などを規定する必要があります。

 そもそも提出議員が条例の中身を理解できていないのですから、議会、市役所内にも周知が必要です。そして、この条例によるターゲットは市民ですから、市民にどう伝えるのでしょうか。どう考えても間に合いません。時間だけ間に合っても中身は伴いません。

 なぜこのように急ぐ必要があるのか。来年4月には市議会議員選挙がありますが、実績づくりだと言われても仕方がないのではないでしょうか。

 立法機関である議会が、市当局と市民に党利党略とも思える無責任な条例を押し付けるべきではないと思います。

 よって、日本共産党西宮市会議員団は、議員提出議案第8号について反対をいたします。