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まつお正秀の賛成討論
2018年07月09日

核兵器禁止条約の日本政府の署名を求める意見書採択についての請願について


 只今上程中の請願第17号、核兵器禁止条約の日本政府の署名を求める意見書採択についての請願について、日本共産党西宮市会議員団は賛成いたします。
 以下理由を述べます。
 この請願は、新日本婦人の会西宮支部から提出されたもので、昨年国連において可決・成立した核兵器禁止条約に日本政府が反対の立場から条約に署名していないことから、西宮市議会としてすみやかに政府がこの条約に署名するよう意見書を提出することを求めるものであります。
 皆さんもご承知のように、昨年の7月7日、人類史上初めて核兵器を違法とする核兵器禁止条約が賛成多数によって国連で採択されました。この条約は核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用に加え、使用の威嚇も禁止し、核兵器にかかわるあらゆる活動を禁止する抜け道のないものとなっています。
 核兵器が再び使用されるならば、広島・長崎における被害のように、大量の死傷者を生み出すだけでなく、放射線なども含めた後遺症による幾世代にも及ぶ苦しみの連鎖が続いていくことになります。
 この請願の審査が行われた総務常任委員会では、ほとんどの委員から核兵器はなくすべきという意見が出されながらも、請願には反対、あるいは退場という意見表明をした委員から、核兵器保有国がこの条約に参加してないことによるその実効性に対する疑問、また、この条約によって核保有国と非核保有国との分断が深まるという考え、さらには国の安全保障の問題に地方議会が意見を述べることはふさわしくないなどの賛否態度の理由が述べられました。しかし、こうした考えは結局、核兵器によって平和が維持されるという「核抑止力論を前提、あるいは肯定した立場」であり、核兵器禁止条約で禁止事項として盛り込まれている「核兵器使用の威嚇」を容認するものでもあります。かりに核抑止力論が有効だと仮定しても、自爆を当然とするテロリストが核兵器を開発・所有しての攻撃、あるいはテロリストが核保有国から核兵器を奪って攻撃をしてきた場合には役に立ちません。また、戦争が勃発したとした場合、敗戦あるいは敗北が必至となった国が、いわゆるやけっぱちで核兵器を発射するような場合にも効果がありません。同時に核を保有するという事は、偶発的な爆発による保有国側も核被害の危険に常にさらされるという問題もあります。現に1959年、当時は日本に施政権がありませんでしたが、沖縄の那覇にあった米軍基地からナイキという核弾頭を搭載したミサイルが誤って発射されました。たまたま海に着弾して爆発しなかったので後日米軍が海底から回収しましたが、爆発していれば大惨事になっていたといわれており、このことは昨年9月のNHKスペシャルでも放映されました。
 さらに核兵器は戦争・紛争の当事国の周辺の国にも多大な被害や悪影響を与え、その可能性のある国も常に核の脅威や不安にさらされるという点からも、核兵器を世界中からなくす具体的な努力こそが今求められているのです。だからこそ、この4月に行なわれた朝鮮半島における南北首脳会談、歴史上初めてとなった6月の米朝首脳会談など、包括的な話し合いによる非核化などの問題解決が急速にいま模索され進展しているではないでしょうか。そしてその方向こそが、ヒバクシャの「自分たちの生きている間に核兵器をなくしてほしい」という願いに唯一応える道だと考えます。そうした意味からも、核兵器禁止条約に盛り込まれた禁止条項を締約国に守らせ、核保有国をその枠組みに組み入れていく努力こそが、唯一の戦争被爆国である日本政府の責任であり、日本国民の使命でもあると思います。そして、政府がその立場に立たないのであれば、地方自治体や地方議会からその立場に立つように声を上げてゆかねばならないと考えます。
 この7月7日で核兵器禁止条約採択から丸一年を迎えましたが、核保有のアメリカでこの6月、全米で1400都市の市長が参加する全米市長会議が、トランプ政権に対して、核兵器禁止条約に対する態度を改め、同条約を支持するよう求める決議を全会一致で採択したことは注目すべきことです。アメリカは一昨年、この条約に国連で反対するように同盟国に圧力をかける文書を送りつけました。日本政府はそれまで、核保有国と非核保有国との橋渡し役をするとの理由からこの条約の採択に棄権という態度をとり続けていましたが、一昨年のアメリカのこの圧力に屈する形で明確に反対という態度を初めてとったのです。この圧力をかけたアメリカでも全米市長会議決議に見られるように、政権の態度を変えようとする取り組みが広がっているのです。請願の意見表明者から、こうした意見書はすでに日本国内でも239議会で可決されていることが紹介されましたが、核兵器廃絶を求めるこのような動きの積み重ねによって、核兵器をなくすことが出来るという事を確信するものです。したがってその一端を担う事ができる今回の意見書に対して賛同いただくことを併せて求め、請願第17号に対する賛成討論と致します。