HOMEへ
庄本けんじの反対討論
2018年07月09日

2018年度一般会計補正予算について


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第500号平成30年度西宮市一般会計補正予算について、日本共産党西宮市会議員団は反対をいたします。以下、反対理由を述べます。
 こんどの補正予算案には、本来であれば、当初予算に組み込んでおくべき案件が、少なからず見受けられます。市当局の説明では、今年度の当初予算は、前市長の突然の辞任という前代未聞の事態を受け、新しい市長のもとでは市政運営の変更もありうることを考慮して、新規の事業などは後に回し、骨格のみの予算とした、とのことでした。そのため、今年度の6月補正予算案は、例年の6月補正よりも規模が大きく膨らむ異例の補正となっています。加えて指摘するならば、新市長が誕生したにもかかわらず、新市長の公約を実現しようとする姿勢がまったくみられない、ということです。
 市民が石井としろう市長に期待したのは、市長が選挙中に掲げた数々の公約の実現です。UR借り上げ公営住宅の問題では、市長は公約を踏みにじりました。また、市長が公約に掲げた、乳幼児等医療費助成制度の所得制限の見直し、子ども食堂を学校区ごとに設置する、保育所や育成センターの待機児童解消など、市民の願いを実現する意気込みも、道筋も示されていません。聞こえてくるのは、意味不明の「オープン西宮」だけです。
 したがって、今回の6月補正予算案は、全体として、期待外れの補正だと言わざるを得ません。
 しかしながら、私ども、日本共産党西宮市会議員団は、補正予算案のすべてに反対するものではありません。しかし、看過できない重大問題が含まれているので、原案に反対するものです。
 その案件は、教育こども常任委員会所管分のなかの「民間による放課後児童クラブ(学童保育)」事業です。
 この事業は、厚生労働省の規定によるものとされています。その規定によりますと、「児童福祉法第6条の3第 2項ならびに放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準にもとづき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室、児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、家庭、地域等との連携の下、発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等を図り、その健全な育成を図るものである」、とされています。
 西宮市では、その規定は、二つの条例で規定しています。その条例は、西宮市立留守家庭児童育成センター条例と、西宮市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例です。これらの条例にもとづいて設置されているのが、西宮市では、育成センターと称する学童保育施設です。
 近年、学童保育への利用要望が増加し、学童保育の待機児童問題を解決することが喫緊の課題になっています。市は、待機児童対策にいっしょうけんめい取り組んでいるところです。
 しかし、このたび、補正予算案に計上された民設民営による学童クラブ事業の新規事業は、待機児童対策を主目的に開始するとのことですが、民設民営による学童クラブの新設は、株式会社参入を可能とするものです。学童保育の事業は、民設民営はなじむものではありません。
 民設民営で、懸念されることをいくつかあげると、学校から離れた場所に設置されるため、物理的に小学校の校庭を遊び場として活用できなくなること、障害児や合理的援助を必要とする児童の受け入れが困難になるかもしれないという心配、条例にもとづくとはいえ指導監督の権限が認可保育所のようにはならないことへの不安、育成センターと民設民営の学童クラブとが併存し、学童保育の需要に変動がおこれば、その調整弁の役を育成センターが一手に引き受けることになる、あるいは、民設民営は利益が上がらなければいつでも撤退するということもありうること、さらに、民設民営は利益を優先せざるを得ず、英語指導や音楽指導などのオプションをエスカレートさせる可能性もあること、などなどです。
 学童保育の事業は、民設民営はなじみません。待機児童の解消は、やはり、育成センターの増設で対応すべきと考えます。よって、この部分に反対するものです。

 次に、修正案について、反対意見を述べます
 修正案は、2つ提出されています。一つは、西宮市一般会計補正予算案のうち、産業文化局所管分の酒蔵ツーリズム推進事業にかかる情報発信拠点の運営に関する経費598万円を削減する修正案。もう一つは、総務常任委員会所管分の外部人材の活用の新規事業にかかる事業のうちの政策推進全般に関する助言・支援に関する経費270万円を削減する修正案です。日本共産党西宮市会議員団は、いずれの修正案にも反対します。以下理由を述べます。

 まず、酒蔵ツーリズム推進事業の軽削減案についてです。民生常任委員会では、提案者の「会派ぜんしん」から、この事業については、公共として果たすべき事業ではなく、民にできることは民に委ねるべき事業として、本来、酒造業者が運営するのが妥当であり、観光案内所については、阪急西宮北口駅、阪神甲子園駅の観光案内所が閉鎖されたいきさつに鑑みれば、新たに観光案内所を開設することは、市民の理解と支持を得られない等の説明がありました。
 当局からは、阪神西宮駅に開設しようとする観光案内所については、酒蔵への誘導をはかることによって、日本酒文化の拠点を守り、地域活性化にもつなげていく事業である、との説明がありました。
 日本共産党西宮市会議員団は、地場産業を守り、地域の文化をまもること、また、地域の活性化をはかることは、行政が果たすべき重要な役割と考え、また、その役割を果たそうとする観光案内所の設置は、意義あるものと考え、修正の必要はないと判断し、修正案に反対します。

 次に、外部人材活用の新規事業にかかわる修正案についてです。
 この修正案は、当局提案の外部人材活用の事業は、二つの経費が計上されています。一つは、政策推進全般に関する助言・支援の経費90万円、もう一つが産業政策の推進に関する助言・支援の経費270万円です。修正案は、この二つの経費のうちの政策推進全般に関する助言・支援の経費270万円を減額しようとするものです。
 この問題では、専門家を招聘する仕方、また、招聘する専門家に問題があるかどうか、ということが、十分に検討されなければなりません。その内容は公開されるべきものです。
 総務常任委員会では、提案者の政新会からは、招聘する人物が、石井市長が市長選挙の際にマニフェスト作成に協力をしたコンサル企業の人物を選定する可能性があり、それは利益誘導に当たるとの指摘がありました。それに対して、当局は、高度な専門的知見を有するもので、地方公共団体における政策に関する企画立案等に従事した経験のあるものを選定するとし、招聘した専門家名および助言支援を受けた分野について、ホームページで公表することにしているとの説明をし、現時点では、招聘する専門家についてまだ選定していない、指摘された企業の者も選定する可能性があると、述べています。
 問題は、その企業の者を選定することに問題があるかどうかです。
 私どもが、提案者が指摘した企業について検索をして調べてみたところ、この企業は、国会議員や地方議員、自治体首長、政府閣僚などとも取引があるようです。なかには、安倍晋三氏、稲田朋美氏などの名前も見受けられます。それから、石井市長の夫人がこの企業の役員になっているという事実も確認することはできませんでした。したがって、日本共産党西宮市会議員団は、利益誘導に当たるものと断定する根拠はないと判断し、修正に反対します。
 以上、討論といたします。