HOMEへ
2019年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書
2018年09月03日

政策局


  1. 市民の命と暮らしを守ることは市長と自治体の最大の使命であるが、それを脅かしているのが安倍自公政権である。2020年施行をねらう憲法9条への自衛隊の明記、安保法制をはじめとする憲法違反の法制定、沖縄辺野古への米軍新基地建設の強行、アベノミクスによる貧困と格差の拡大と深刻な経済不況、相次ぐ社会保障の改悪と庶民増税、過労死を促進する「働き方改革一括法」、刑法で禁じた賭博を認めるカジノ法、原発の推進、加えて森友加計疑惑に見られる国政の私物化、公文書の隠ぺい・改ざん・ねつ造、虚偽答弁など、あらゆる分野で国民生活を犠牲にしてきた。
    国政の動向は49万市民に多大な影響を及ぼすにもかかわらず、石井市長は所信表明後の代表質問で、憲法や国政について明確な答弁を避けた。これはきっぱりと国にも発言する近隣自治体の首長と比べて、見劣りする。
    今後、国政上の重要な問題について以下の態度で望むこと。
    1. 住民の命とくらしを脅かすことに対してはきっぱりと反対し、地方自治の本旨を貫く立場での行政運営を行うこと。
    2. 憲法については、第9条などの「改正」ではなく、憲法に基づく政治の実施を国に求めること。
    3. 実質賃金の連続減少、消費と家計の落ち込み、円安と物価上昇による中小企業の倒産など、「アベノミクス」不況は明瞭となっている。社会保障による負担増を加えれば、国民のくらしは、耐えられないところまで来ている。それにもかかわらず、安倍自・公政権は、消費税10%の2019年10月実施を狙っているが、再延期したこと自体が増税路線の破たんを示している。市民生活を守る立場から、国に対し消費税増税実施反対の意思を示すこと。

  2. 西宮市のまちづくりの基本となる第5次西宮市総合計画(2019年度〜2028年度)が策定中である。今回、議会の一部からの圧力によって基本計画が項目のみとなり、議決対象として不十分なものとなっており、審議会からも同趣旨の指摘がある。今後、議会や市民の意見を汲み尽くすとともに、当局として総合計画にふさわしいものを提案すること。

  3. 前市長による「偏向報道への今後の対応」は、@偏向報道(後日「重大な誤解を与える報道」と改めた)の基準を市が決め抗議する。Aテレビ撮影の際、市の広報課が立ち会い、ビデオ撮影する。B改めなければ取材拒否する(取材拒否は後日撤回)などというもので、表現の自由や報道の自由を委縮させ、市民の知る権利を奪いかねない。市長が代わったあとも方針変更が示されていない。直ちにこのような方針は撤回すること。

  4. 西宮市の財政は、市債の水準がほぼ阪神淡路大震災前にもどり、景気悪化など市税収入の見通しは不透明な状況はあるが、安定していると言える。2017年度決算認定案の基金残高は、財政基金213億円、減債基金35億円、公共施設保全積立基金27億円にものぼる。アサヒビール跡地購入のため土地開発公社に55億円を貸付けており、これらをあわせた事実上の資金余裕は330億円以上である。「200億円程度の基金保有が妥当」との議会答弁があったが、標準財政規模の10%、100億円程度でも十分であり、西宮市の財政状況は、ムダ遣いさえしなければ、市民の多様な要望に応えるだけのものがある。
    自治体の大きな役割はいうまでもなく「住民の福祉の増進」であり、今後、第5次西宮市総合計画も策定されるが、大型公共事業にため込んだ財源を注ぎ込むべきではない。高すぎる保育料の引き下げや国保料の引き下げ、こども医療費無料化の所得制限撤廃、学校配分予算の増額等、住民サービス向上のため、財政の有効な活用を思い切って図る予算配分を行うこと。

  5. 市長は所信表明で、「民でできることは民に委ねる」と、前市長と同趣旨の発言をしているが、「公共として果たすべき役割が何なのか、公の責任をしっかり認識しながら、そこは見極める必要がある」との見解も示している。これまで市が直営で事業を実施する中で、市民との強い信頼関係が築かれ、西宮として誇る成果や実績を収めてきていることを直視すべきである。以下について行うこと。
    1. これ以上の民営化、民間委託等を進めず、住民の福祉の増進という市の責任を果たすこと。
    2. 民間委託、指定管理者制度等は、選定過程において、委託料の低さが競われることから、選定事業者は利益を上げるためにさらに経費や人件費削減が行われ、質の低下が懸念される。労働条件の改善とともに、良質な公共サービスが提供されるよう、しっかり管理監督義務を果たすこと。
    3. 市民の暮らしと景気の回復のためには、賃金の引き上げは欠かすことはできない。しかし、年収200万円以下の「ワーキングプア」は1000万人を超える。これは西宮市の事業に携わる労働者にもある。兵庫県下では三木市についで加西市、加東市等でも制定されている公契約条例を制定し「官製ワーキングプア」を生まない仕組みを確立すること。
    4. 公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は今後とも導入しないこと。

  6. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざすとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものであり、当初のPFI手法は事実上破たんしている。
    西宮市では今後、大型プロジェクトが目白押しとなっていることから、PFI事業の対象が増える可能性がある。PFI導入可能性調査等で市職員の膨大な時間と事務量が費やされるなど問題も多く、地元事業者の仕事につながりにくい。
    この際、PFI手法はやめること。

  7. 公共施設マネジメントは西宮市にとって大きな課題となっている。具体的には施設面積を、2032年までに10%、2062年までに20%削減する計画である。ねらいは市営住宅の削減など市民サービスの切り捨てにほかならない。
    公共施設マネジメントは、「施設の削減ありき」ではなく、長寿命化を基本に、安易に施設を廃止し市民サービスを低下させることのないよう、さらに市民の意見をよく聞き、必要な公共施設の増設も含め、検討すること。

  8. 第2庁舎整備に続き、長期的には市役所本庁舎、市民会館の建て替えなど、本庁周辺整備が大きな課題となる。これは、時間も費用も多大にかかる巨大プロジェクトである。さらに、病院統合による県立西宮病院の跡地も検討課題となる。市民の要望、議会、職員の意見を参考に、経費の面でも過大とならないよう、時間をかけてしっかりと検討すること。

  9. 東日本大震災の発生や最近頻発する集中豪雨による土砂災害等で被災者が大幅に増加している。さらに、南海トラフ巨大地震に備えるためにも被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。大阪府北部地震では一部損壊への助成や民間ブロック塀の改修助成などが取り組まれるなど、自治体による支援策の強化が見られる。これらの実情を踏まえて以下の項目を国に要望すること。
    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。国会では野党が一致して拡充を求める法案を提案した。少なくとも500万円以上への引き上げ、半壊も対象に拡大することを早急に実施すること。
    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小企業の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。