2019年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書/* --項目挿入-- */?>
2018年09月03日
こども支援局
- 「子ども条例」を制定し、子どもを権利の主体として位置づけ、子どもを大切にする理念を市全体のものにすること。
- 全国各地で保育所待機児童解消は社会問題となっているが、2018年4月1日現在の潜在待機児童数が、828人にものぼり、一向に改善されていない。本市でも、引き続き重大な課題である。
市は、緊急的に2016年度から3年間で1500人の定員枠を増やすことを公表し、対策を進めてきたが、実際には、待機児童解消の見通しが立たなくなっている。待機児童対策の基本は、認可保育所の大幅増設とすべきである。以下のことについて要望する。- 3年間で1500人定員増という目標の実現に最後まで全力を尽くすとともに、今後の計画を明確にし、待機児童解消の課題を緊急に解決すること。
- 民間まかせにせず、公立保育所や分園も増設し、定員を増やすこと。
- 「送迎保育ステーション」は、2019年4月から開所されることとなっているが、ステーションで送迎バスを待つなど、子どもに大きな負担がかかることや、子どもの発熱、ケガなどで保護者のお迎え予定時間前にお迎えが必要となったときにはどうするのか、という問題など、この方式には問題点が多い。認可保育所を増設することにより、「送迎保育ステーション」方式を中止すること。
- 保育所に申し込みをしたが入所できなかった子どもたちがどのような実情にあるのかを調査し、適切な対策をとること。
- 認可保育所を希望しても入所することができず、やむなくベビーホテルなど、認可外保育施設を利用せざるを得ない子どもがまだ多数残されている。認可外保育施設の利用にかかわって派生する問題を解決するために、少なくとも次のことを実施すること。
- 保育施設を指導監督する部署が新設された。適切な指導監督を強化し、保育施設のずさんな運営を一掃し、子どもたちの犠牲を出さないこと。
- 認可外保育施設が認可保育所へ移行できるよう、施設整備の負担軽減や保育士確保、保育士資格取得などを支援し、認可を進めること。
- 認可保育所等の入所が保留となったため、認可外保育施設に移った子どもには、一定額を補助する制度がある。この補助制度を、認可外保育所に入所するすべての子どもに対象を広げること。
- 子ども・子育て支援新制度(以下、新制度)は、保育の質の低下、3歳の壁問題など多くの矛盾と問題を生じさせている。「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童の心身ともに健やかに育成する責任を負う」という児童福祉法の理念に照らして必要な以下の対策を講じること。
- 認可保育所において、運用で実施されている1、2歳児への保育士配置基準(国基準6:1を上回り5:1)を条例化し、認定こども園も同様に、条例を改正すること。
- 保育ルーム、小規模保育所などでは、保育士資格を必須としていないが、一方で「すべて保育士資格取得者とするよう努めていく」と事業計画に明記されている。これを条例上も必須とすること。
- 新制度では保育の利用に先立って、保育の必要性と、保育が必要な子どもについては保育短時間、保育標準時間の区分認定が行われる。特に必要量の認定については個々の条件を十分配慮して適切に行うこと。
- 公立、民間保育所以外は保護者と施設との直接契約となるが、それに先行して市は、保育利用申し込みを受け調整・あっせん・要請などを行うこととなる。ひきつづき、利用者の要望などを正しく受けとめ、施設についての情報も細かく提供して親身に相談にのり、適切な調整・あっせんを行うこと。
- 2歳までが対象の小規模保育、並びに保育ルームに入所した子どもがひきつづき保育を必要とする場合、認可保育所に入所できる保証がなく、実際に入所できない、いわゆる「3歳の壁」が問題になっている。継続して保育が受けられるよう、連携施設の整備等の対策をとること。
- そもそも保育に営利はなじまない。西宮市では株式会社の参入は認めないこと。
- 保育料について一定の所得者層を中心に引き下げられたが、まだ高い水準にある。さらなる引き下げを進めること。また、減免制度を拡充すること。
- 保育士不足が各地で深刻になっている。解決のためには全職種の平均を月10万円余り下回っているなどの低待遇の改善が不可欠である。西宮市がいま実施している内容は、国がやっていることを導入しているにすぎず、保育士不足を改善するという目的に照らして全く不充分である。市独自で給与の上乗せや家賃補助、通勤手当の支給など、抜本的な処遇改善策を進めること。
- 市立保育所、保育事業について、以下のことを要望する。
- 芦原むつみ保育所は定員150人でまず開所された。しかし、保育所の大規模化への懸念を顧みない定員増の方針はそのままとなっている。保護者や保育士の意見を十分汲み取り、一方的で安易な増員はしないこと。
- 待機児童がなくなり、定員の弾力化が解消されれば公立保育所3か所を民間移管する計画になっているが、保育における公的責任を考え、公立保育所民営化はきっぱりと撤回すること。新たな保育所民営化は行わないこと。
- 保育所の耐震化は73.91%となっているが、100%達成を目指すべき、猶予できない課題である。全保育所の耐震化目標時期を前倒し実施すること。
- 虐待や貧困などの影響を受けている子どもや、親自身が特別の支援を必要とするケースが増えている。市保育所事業課の保健師や保育士等が、市要保護児童対策協議会と連携して対応しているとのことだが、ひきつづきとりくみを強めること。また、虐待など問題をキャッチできるのは現場の保育士である。研修を強め適切に対応できるようにすること。
- 自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で、給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるために調理員の増員をはかること。
- 誰もが利用できる一時預かり(一時保育)を公立保育所でも実施すること。対象を限定して実施されている現行の「スマイル保育(一時保育)」事業を他の保育所にも拡大すること。
- 浜甲子園保育所については、引き続き公立保育所として整備すること。
- 母子支援施設の移転に伴って、また耐震化対策の必要から、津門保育所と児童館の改築が課題となっている。早急に計画を示すこと。
- 民間保育所や保育ルーム等に対し、保健指導等のための巡回指導など、保育の質を高めるための支援策を実施されているが、いっそう強化すること。
- 子育て広場の設置目標を小学校区に1か所へと拡充すること。
- 学童保育(留守家庭児童育成センター)は、保護者が昼間家庭にいない子どもに、授業終了後および学校休業日に、専用施設を利用して、適切な遊びと、生活の場を与え、その健全な育成を図る事業である。また、指導員には子どもの安全を守り、適切な指導で発達を保障する専門職としての重要な役割がある。市として次のことに取り組むこと。
- 市は、「留守家庭児童育成センターにおける施設整備のあり方について」という方針を定めた。確実な方針の実施、推進とともに、計画の前倒し実施を検討すること。また、国や県の学童保育に関する予算の大幅な増額を要求すること。
- 学童保育の継続性からも数年ごとに運営事業者が変わる指定管理者制度の導入には問題が多い。市でもそのことを認識し、4年間の指定期間終了後の再指定においては審査基準に合致すれば同一の指定管理者を引き続き6年間指定できることに変更した。学童保育の運営は、単なる施設管理の運営ではない。学童保育所に指定管理者制度、とりわけ公募はなじまない。
2020年度には、最初に公募した育成センターが10年経過する。少なくとも非公募とするなど、あり方を検討すること。 - 2016年度には、保護者の要望に応えて、長期休み時の開所時間を8時開所に変更するモデル事業が実施された。2018年度は28か所の施設へと拡大された。
しかし、時間繰り上げ実施に伴う人員の確保をせず、シフト勤務とすることで対応しているため、十分な打合せが出来ないなど、運営に支障が出ているようである。市として実態を把握し、人員体制を拡充するなど、改善を図ること。 - 延長料金は通常の利用料と比較して高い。保育料と同様に所得に応じた減免措置を講じること。
- 雨の日は育成センター利用の子どもたちに遊ぶ場所がない。学校と協議して体郁館を使用できるようにすること。
- 子育て総合センターは、各地域で行われている子育てに関する各種取組への支援や、子育て支援施設間や関係機関との連携・協力を促進するなどの役割が求められている。また、乳幼児教育・保育等の調査・研究においても役割を期待されている。センターで展開されている個別の子育て支援事業にとどまらず、文字通り、子育て支援の総合センター的役割が果たせるよう、運営について整理・検討すること。
- 児童虐待や育児放棄などは、年々増加の一途である。市では子供家庭支援課を虐待問題等の窓口として対応しており、一定の増員もはかられているが、さらに増員し体制を充実させること。また、学校、保育所、幼稚園などの子どもが通う施設や、県立こども家庭センター(児童相談所)などとで要保護児童対策地域協議会を設置し、連携を図っているが、虐待等の早期発見、対策のいっそうの強化に努めること。
- 中核市である明石市が、2019年4月の開設予定で児童相談所を設置する。中核市である西宮市も、児童相談所の設置へむけて動き出すこと。
- 「子育て支援の拠点」として児童館、児童センターを位置づけるのなら当然直営を守るべきである。あわせて、休日の開館や、地域偏在の解消、増館についても検討すること。
- 子どもの貧困について、厚生労働省が実施した国民生活基礎調査によると、2015年の子どもの貧困率は13・9%で、前回調査(12年)より2.4ポイント低下したものの、子どもの7人に1人がまだ貧困状態にあり、ひきつづいて深刻な状態にある。市では「西宮市子ども・子育て支援プラン」が策定され「子どもの貧困対策計画」が盛り込まれたが、その計画を実効性あるものにするとともに、さらに拡充を図ること。
- 市内の3か所ですでに運営されている「子ども食堂」が、子どもとともに、親や地域の人たちの居場所づくりとしても期待され、発展している。運営している民間各団体の自主性を尊重しつつ、関係者の意見も聞いて必要な支援を行うこと。また、市は、「子ども食堂」について、市内に広げるとの見解を示した。至急、方針を明確にし、早期に実施すること。