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まつお正秀の一般質問
2018年09月07日

平和行政について


 ただいまより日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、まつお正秀が三つのテーマで一般質問を行います。傍聴の皆さんありがとうございます。

 まず一つ目のテーマは平和行政についてで、主に核兵器廃絶に対する取り組みについて取り上げさせていただきます。
 今年の8月15日、終戦から73年を迎えました。第二次世界大戦全体では約6000万人、ある統計では8500万人という数字もあるそうですが、そのうちアジア太平洋戦争で約2000万人、日本でも約310万人の命が亡くなったとされています。また、終戦間際には広島・長崎への原爆が投下されたことによってその年だけで約21万人が亡くなり、その後にも原爆が原因とされる死亡だけでなく、生存されている被爆者も今なお放射線による被害や不安にさいなまれながら生きておられます。
 あのような戦争を絶対に繰り返してはいけないと、日本国憲法第9条一項では国際的紛争の解決の手段としての戦争の放棄、9条二項では一項と同じ目的の為の陸海空の軍隊を持たないという事と交戦権の否定を世界に誓いました。しかし、安倍内閣による集団的自衛権の行使や自衛隊の海外での活動の任務拡大などを盛り込んだ安保法制の強行・具体化は、戦争に向けた準備の動きとして多くの人たちが危惧を抱いています。また、唯一の戦争被爆国でありながら、昨年国連で採択された核兵器禁止条約に唯一の戦争被爆国である日本政府が反対していることに、海外も含めて多くの人が疑問を持っているのではないでしょうか。
 特に、なぜ日本政府が国連で核保有国と非保有国との橋渡し役をするためと言いながら、3年前まではずっと核兵器禁止条約に棄権をしながら、いざ採択をされる段階になると反対という立場に態度を変えたのか。そこには日米安保条約によってアメリカに追随する日本政府の態度が根底にあります。そのことについてはまた別の機会で詳細に取り上げることにしたいと思いますが、今回はビキニの水爆実験を通じてそのことを紹介しておきます。
 1945年に人類初めての原爆被害となる広島・長崎へ原爆投下によって原爆の威力や恐ろしさが明らかになりました。しかしその後もアメリカと当時のソ連、それぞれの陣営による対立が続いていきますが、そうした中で核実験が続けられ、アメリカはビキニ環礁で67回の実験を行ないましたが、特に1954年3月1日に行われた広島型原爆の1000倍という水素爆弾実験は世界に衝撃を与えました。そして、当時その海域で操業していたマグロはえ縄漁船第五福竜丸が被災し、この事件によって日本は三回目の被爆をしたともいわれます。23人の乗組員の中で無線長だった久保山愛吉さんが日本に帰国後まもなく亡くなります。当時の乗組員だった人たちからは、魚の汚染の風評被害などを恐れた漁協の方針や、被爆による差別などを恐れたことから、本人たちからその被害や様子が語られることはほとんどありませんでした。当時その実態をつかんで対策をとらないといけない日本政府は、乗組員の健康状態や被害の実態などを調査しながら、アメリカ政府と一体となってひた隠しにしてきました。これはアメリカの公文書(アメリカでは秘密文書も30年経つと原則公開することになっています)を調査する中で、当時の厚生省が被災したと思われる人たちの健康調査をしながら明らかにせず、アメリカにはその資料を渡していたことも明らかになったのです。また、その後の民間人の調査によって当時操業していた外国船も含めた550隻、延べ1000隻近い船がこの実験によって被曝をしていたという事も明るみになっています。アメリカ政府はこの実験の批判と被害の実態を隠そうと法律上の義務が生じる賠償金でなく、アメリカの好意による見舞金という形で200万ドル、当時の日本円にすると7億2000万円で日本政府との決着を図りました。
 いずれにしても第五福竜丸の事件が契機となってその直後から、日本では杉並区の女性たちが始めた核兵器廃絶署名が瞬く間に全国に広がっていきました。
 そして実験の翌年に東京で開催された原水爆禁止世界大会で、一年余りの間で3200万筆を超える署名が集まったという事が報告されました。このことについては、2009年2月にNHKで放映された、その時歴史が動いた「3000万の署名大国を揺るがす」で詳しく報じられたところです。こうした運動の広がりの中で、1958年西宮でも市長が会長を務める原水爆禁止西宮市協議会が立ち上げられ、現在も原爆展や平和の集い、終戦記念にちなんだ平和啓発活動などが取り組まれているところです。ビキニ事件以降は全国に原水爆禁止西宮市協議会のような組織が立ち上げられていったという事も聞いておりますし、国も自治体も、ともに平和を守ることや核兵器の廃絶をするための運動をすることが求められていると思います。

 そこで質問です
 一点目、まず、私たちが平穏な暮らしをする上での前提となる平和を、常に追求するという点で市長の思いを伺います。また市長は、被爆者団体の要請で各国に核兵器禁止条約締結を求めるヒバクシャ署名をされ、県内で同じく署名された井戸知事をはじめ他の自治体の首長とポスターに写真も掲載されています。核兵器廃絶に向けた市長の決意も併せて伺います。
 二点目、現在日本は昨年国連で採択された核兵器禁止条約に署名しておりません。このことについて石井市長は政府に署名すべきと要請すべきと思うが、考えを伺います。
 三点目、特に被爆者の高齢化は著しいものがあります。市が行っている平和施策の中で、被爆の実相を語り継いでいくこととともに、原爆写真などのいろんな媒体を使って伝える取り組みを強めるべきだと思いますが見解を伺います。
 四点目、世界163カ国7632都市が現在加盟し、兵庫県下では西宮市も含むすべての市町が加盟する平和首長会議ですが、国際的なすべての都市を対象にした総会は4年に一度開催されており、昨年こちらの総会には松永副市長が参加をされました。そして、被爆国であるという事もあると思いますが、日本国内の首長のみを対象とした国内加盟都市会議総会が毎年開催されています。市長は来年のこの総会に出席する考えはないか伺います。