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まつお正秀の決算討論
2018年10月03日

認定第20号、2017年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について


 さて、西宮市の2017年度決算は、歳入で一般会計1722億6235万円、特別会計925億722万円の計2747億6958万円、歳出は、一般会計1693億6494万円、特別会計905億9550万円の計2599億6044万円で、前年度に比べて歳入では44億3421万円の1.7%増、歳出では36億7719万円の1.4%増となり、歳入総額から歳出総額を差し引いた額は48億913万円で、翌年度に繰り越すべき財源4億7323万円を差し引いた実質黒字は43億3590万円となっており、実に39年連続黒字となりました。

 また、財政基金は213億円となり、減債基金35億円、公共施設積立基金27億円、さらに市が病院統合用地購入の為に土地開発公社に貸し付けた55億円も市の財産であることから、これらを合計した資金余裕は330億円にものぼっています。

 市債残高も一般会計と特別会計合わせて1441億7922万円となっており、前年度に比べて、30億7739万円の減少で、阪神淡路大震災前の水準に戻っています。このように本市が堅実な財政運営ができているというにとどまらず、無駄遣いさえしなければ、さらに市民の暮らし応援ができることを示しています。
 具体的な決算における反対箇所を五つ申し上げます。

 一つ目は前市長の政治姿勢の問題です。2017年度の予算は前市長が執行した予算としては最後となりました。前市長の様々な問題発言は就任当初から物議をかもしてきましたが、この一月の暴言だけでなく、退職金を減らされそうになると、約2700万円の退職金をもらってそそくさと辞職したことは、西宮市の名誉を傷つけたといっても過言ではないと思います。それだけでなく、大型の公共事業を進めようとしてきたことも大きな問題点です。具体的には、本庁舎やその周辺施設の整備の今後の方向性の検討もされないまま、元々教育委員会敷地と検察庁跡地に7階建ての総合防災センター建設という計画だったものが、いつの間にか第二庁舎構想となって、12階建てで整備費96億円が打ち出されました。また、当初の計画では観客席5000人の規模の中央体育館も含めた中央運動公園整備計画にも総額147億円を計上。今議会でこの計画を進めるための審議会設置議案が審議された民生常任委員会では、中央体育館の立地や規模などについての懸念が出されて委員会では否決となり、当局は再検討を余儀なくされました。これもプロバスケットボールチーム誘致ありきの前市長の意向を汲んで進めたことが今回の結果を招いていると思います。さらに国が進める大型の公共工事の一つとしてわが党が反対の立場をとっている名神湾岸連絡線についても、現段階で約700億円、先日示されたジャンクションなどの計画を見ればさらに金額が大きく膨れ上がる可能性もあり、この計画に前のめりの態度をとっている市の姿勢が問われているところです。こうした大型の公共事業を推進する政治姿勢に反対をするものです。

 二つ目はUR借り上げ住宅での裁判によって住民追い出しを進めていることです。今回の決算では市が裁判で訴えているシティハイツ西宮北口住民にUR家賃相当額の家賃と金利も含めた賠償額、約2年半分2268万円を調定額として歳入額に盛り込んでいます。追い出しありきという市の対応そのものが、希望する全世帯の継続入居を認めた宝塚市や伊丹市とは根本的に違い、認めることが出来ません。なお、石井市長は選挙前に、市が住民を訴えている状態はとても残念とし、西宮市の対応が兵庫県や他市と比べて突出して杓子定規に見えるとも主張されていました。にもかかわらず、住民の方たちと直接面談しながらこれまでの全員転居方針は変えないと表明されたことは誠に残念です。住民の意向に沿った解決を求めておきます。

 三つ目の反対箇所はマイナンバー制度の推進です。
 2017年度からマイナンバーカード交付等関連業務が市民第一課で開始されるとともに、国の法改正に対応したシステムの機能付加も行われました。また、2017年度の市・県民税特別徴収税額決定通知書にマイナンバーを記載して普通郵便で送付する予定でしたが、わが党議員団はマイナンバー制度については、個人情報漏えいなどが全国で問題になっていることから一般質問でマイナンバーを記載しないよう求め、結果的に本市は記載しないことになり、国はその後当分の間としていますが、今年度からマイナンバーを記載しないことにしています。わが党はこうした問題だらけのマイナンバー制度に関連するする支出に反対をするものです。

 四つ目の反対箇所は介護保険特別会計についてです。
 本決算は、2015年度から17年度にかけての第6期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の最終年度決算でした。国は2014年6月に、「地域包括ケアシステムの構築」と「費用負担の公平化」を大きな柱とする「医療介護総合推進法」を成立させ、これまでにも増しての負担増と給付削減で、国民からだけでなく、厚生労働省元幹部からも「介護保険は国家的詐欺だ」といわれることとなりました。
 2016年度からの利用料2割負担導入、施設入所の際の食事代部屋代の負担軽減策の受給要件厳格化による自己負担増や、特別養護老人ホーム入所を原則要介護3以上に限定したことに続き、2017年度からは要支援1、2の方の訪問・通所介護を介護予防給付から外し、介護予防・生活支援サービス事業=総合事業への移行を完了しました。
 生活援助は必ずしも介護の専門職によって提供される必要がないとして、12時間の研修を受けた介護予防・生活支援員によるサービスを提供可能とし、介護報酬を8割程度に抑え、さらに総合事業の事業費も上限を定めて、総費用を抑制しようとするものです。
 日本共産党議員団は、これらを容認することはできません。
 なお、今年度からの第7期事業計画に際しても、利用料3割負担導入や保険者機能強化のためとして保険者にインセンティブ付与等の法改定が行われ、それから1か月もたたない今年4月半ばには、2021年度からの次期計画改定の構想が財務省から発表されています。ケアマネージメントへの利用者負担導入や、要介護1、2の生活援助サービス等も要支援と同様に総合事業に移行させよう、などというものです。
 これら、制度の縮小・削減、後退をめざす構想にも、日本共産党として国民とともに反撃していくことを表明しておきます。

 五つ目の反対箇所は食肉センター特別会計についてです。
 食肉センター特別会計については、1億7,600万円一般会計から繰り入れています。前年度より3,420万円増えていますが、この理由は、姫路に新しく民間の食肉センターが建設され、大動物の処理頭数がそちらに大量に移ったことによる収入減によって繰り入れが増えたことによるものとの事でした。この事業は、市民の税金をたくさん繰り入れながら市民への寄与がほとんどありません。今議会では2019年度よりさらに5年間、非公募によって同じ業者で指定管理での事業を継続するとの報告がありましたが、この事業については県への移管、もしくは民営化、それができなければ廃止すべきです。

 次に意見、要望を申し上げます。
 一つ目は、待機児童対策についてです。
 当局は、保育所待機児童対策として、来年、2019年4月1日までの3年間で1500人の新たな受け皿をつくる目標をたて、その達成をめざし整備を進めてきました。しかし、その努力は目標には及ばず、しかも、年々保育需要が増える中で、保育所の待機児童状況は一向に改善されず、依然として深刻です。さらに今後政府が進めるとする保育の無償化によって需要が拡大する恐れがあります。今議会の分科会で市は、この目標達成に向けて努力するとしましたが、来年4月以後の新たな保育所整備の計画をたてるという答弁がありませんでした。現状はそんなにのんびりしている場合ではないと思います。今後の待機児童解消をめざす目標と計画をもち、その実現のために全力を尽くすことを求めておきます。

 二つ目は小中一貫校の推進についてです。
 西宮浜における小中一貫校については、6月議会での石井市長の所信表明で2020年度の開校を目指すことがはじめて明らかにされました。また、2020年度開校という期日だけが明らかにされただけで、校区範囲についても、施設一体型で開始するのかどうかも、具体的な内容はまだ何も明らかにされていません。このたびの分科会審査の中でも、すでに2017年度には「西宮浜小中一貫教育にかかる調査及び関係機関との調整」がおこなわれていたことが明らかになりました。しかし、これまでどのような議論がされていたのかその中身は一切明らかにされていません。そのような状態で2020年度開校というのは、あまりにも拙速であり問題です。西宮浜小中一貫教育校の開設は、これまで喧伝されていた「西宮型小中一貫教育」の取り組みとは全く次元の違うことをやろうとするものです。また、西宮浜の限られた地域だけの問題でなく、公教育のあり方にかかわる大問題でもあります。時間をかけて、全市的に議論され、また、教職員や教育関係者などの意見も広く聴取しながら具体化すべきものと考えるものです。

 三つ目は、国民健康保険についてです。
 国民健康保険については、2018年4月より都道府県化が行われました。市は今年度、一般会計と基金からの繰入で保険料を抑制しましたが、国の本来の狙いは市町村が行っている一般会計からの繰入と自治体独自の減免制度を止めさせることにあります。市として今後も一般会計からの繰入を継続する共に、市独自の減免については、子育て支援として、新たに18歳未満の第3子の均等割り額を全額免除するよう要望しておきます。

 四つ目は生活困窮者の支援についてです。
 政府はこの10月から生活保護の生活扶助費を、特に都市部において3年間で最大5パーセント削減します。今回の生活保護の削減について、政府は低所得の人たちの消費が減っているからということを理由にしています。このことは今の景気が低迷しているという事であり、アベノミクスという経済政策が一部の人たちだけが恩恵を受けただけだった事を自ら証明しているのではないでしょうか。日本では生活保護を受けられるのに受給していない世帯が8割近くいるといわれています。さらに政府は追い打ちをかけるように来年10月から低所得者ほど負担が重い消費税を10%に引き上げる予定です。我々は以前市が行っていた生活保護受給者に対する夏季・冬季見舞金や水道料基本料金の減免などの復活を求めてきましたが、その他の施策も含めた低所得者へのさらなる支援を強く求めておきます。

 五つ目は今年になって相次いで発生している災害における対策についてです。
 今年は、酷暑、大阪府北部地震、7月の豪雨、台風20号、21号、24号と、西宮市も相次ぐ自然災害に見舞われ、高潮や強風による停電など、重大な被害も生じ、あらためて災害への対策が重要であることを再認識することになりました。ここでは3つの問題だけに絞って申し上げます。

 一点目、災害時の対応で最も求められるのはマンパワーです。西宮市は、阪神淡路大震災時、人口42万人に対して職員数は4100人だったものが、現在人口約49万人に対して3800人と大幅な職員削減を行っており、市当局も対応できないと言っています。最大限のマンパワーの確保、つまり職員の増員が必要です。

 二点目、自治体による対応の違いについてです。台風21号では大規模な停電が起こり、関西電力が停電の把握ができず混乱がありました。芦屋市は市として停電の情報提供を受け付けていましたが、西宮市は関西電力への連絡を市民に求めした。また、ブルーシートを配布、貸与していた自治体がありましたが、西宮市は対応していません。こうした対応の違いは市民から不信を持たれることから、今後の見直しを求めておきます。

 三点目、酷暑への対応です。今年の夏の暑さは「災害」と気象庁も呼ぶほどで、今後対策が必要となります。特に、避難所としても活用される学校体育館へのエアコン設置はいよいよ待ったなしの課題です。わが党議員団は、すでにその他の項目も含めた猛暑対策について申し入れを行ないましたが、この件と併せた対応とともに、引き続き災害に強いまちづくりの取り組みを強く求めます。

 以上が、認定第20号への反対討論です。