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野口あけみの一般質問
2018年12月07日

学童保育(留守家庭児童育成センター)事業における指定管理者制度について


 ただいまより、日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、野口あけみが一般質問を行います。傍聴にお越しの皆さん、ありがとうございます。

1、学童保育(留守家庭児童育成センター)事業における指定管理者制度について

 留守家庭児童育成センター(以下、育成センターまたはセンターという)は、放課後や夏休みなどの長期休暇中、子どもたちに保育と生活の場を保障し、健全な育成を図ることを目的に設置された施設です。2006年度より指定管理者制度が導入され、それまで長く運営を委託してきた社会福祉法人西宮市社会福祉協議会(以下、社会福祉協議会、または、社協という)を非公募で指定管理者としました。2008年度からは指定期間4年間で公募によっての選定が一部センターに導入され、他は非公募で社協に、以降、4ないし5センターずつ公募対象を拡げながら、この12月議会で提案されている5センターをもって、すべてのセンターで公募が実施されたことになります。

 指定管理者制度とは、地方自治体が所有所管する公の施設についての管理運営について、それまでは地方公共団体やその外郭団体に限定していたものを、民間事業会社を含む法人など、その他の団体に包括的に代行させる制度です。民間事業者の発想やノウハウを取り入れ、より多様で満足度の高いサービスを提供することが可能となる、管理運営費の削減により地方自治体の負担軽減が図れる、などのメリットがあるとされています。
 地方自治法の規定上、公募は要件ではありませんが、本市では民間のノウハウを最大限発揮させ、競争性を高めるためとして、原則公募としています。

 日本共産党西宮市会議員団は、育成センター事業=学童保育事業は子どもの保育・育成が目的の事業で、単に施設の管理などというものではなく、また、事業の継続性や各施設に共通する一定の基準・水準が必要な事業であり、そもそも指定管理者制度にはなじまないと指摘。
 特に公募は、4年ごとに事業者がかわり、そのたびに指導員ががらりと総がわりしてしまうことにより、保護者や子どもたちを不安にさせるとして、反対をしてきました。2008年からすべての育成センターの子どもたち、保護者達が順繰りに、これまでなじんできた社協から、どんな事業者にかわるのか、あるいはかわらないのか、保育内容も変わってしまうのではないかと不安を抱いてきたわけです。事業者が変更されるセンターでは、両方の指導員が保育にあたる引継ぎ期間を設けていますが、当初1か月だったものが現在は2か月とのこと、それだけ不安の声が強いとのことでしょう。
 こうしたこともあり、公募施設の指定期間については、当該事業者が妥当だと判断された場合は、1回に限り6年間延長し、都合10年間継続した管理運営を可能にするという方針に転換されました。

 さて、7月10日付の市政ニュースで公募する、最後の5育成センターの募集要項が発表されましたが、夙川育成センターに応募した事業者から、「提案書が仕様書の要件を満たしていなかったため」として、10月10日辞退届が出されたこと、応募した事業者はその事業者1社のみであり再募集をすることが、同月17日の教育こども常任委員会の場で報告されました。応募者の辞退など、かつてなかったことです。
 また、かつてなかったこととしてあと1件、長年、学童保育所という名称の時代から育成センター事業に携わってきた社会福祉協議会が、指定管理者募集に対し、新たなといっていい対応方針を示したことです。  
 党議員団では、今年8月、社協の皆さんと育成センター事業について懇談をさせていただきました。その際、市に対し文書を提出しているとお聞きし、一連の文書を公文書公開にて入手しました。 
 5月18日付で社協が市に対し、「育成センター事業の今後の展開と指定管理者制度の運用・取扱い方針について」を照会、それに対する市の回答が7月にあり、再度社協から8月3日付の文書でもって以下のような対応方針を報告しています。
 すなわち、@募集要項において、施設の増設および大幅な指導員の増員の計画が留意事項として明記されている3センターについては、責任ある法人として計画を提案・提出することが不可能であり申請することを断念する。A施設の増設等の予定のない2センターについては、応募する。B再指定の育成センターについては、増設予定のセンターを含めて、事業継続の観点から引き続き指定管理者として最大限の努力を図っていく、というものです。
 
 41センターすべてで公募が行われたわけですが、今回の夙川センターのように応募申請した事業者が1つしかなかったという事例が12センターと、3割を占めます。公募の趣旨である競争性はまったくなかったわけです。長年育成センター事業を支えてもらってきた社協さえ、公募に際し条件に合わず応募しないという事態におちいっているのです。
 このように、今、育成センター事業は施設整備の課題や待機児童問題などとともに、指定管理者制度においても様々な課題を抱えているといわなければなりません。

 質問です。

@このたびの夙川育成センターにおける当初応募者の辞退、そして社会福祉協議会の対応方針について、その原因等をどう考え、どうみているか。

A4年間の指定期間ののち、妥当だとの判断で6年間再指定された、最初の津門、用海など8育成センターは、いよいよ2020年3月末で再指定期間が終了します。つまり、新年度、2019年度中に今後の育成センターの運営方針を定める必要があります。
先ほど紹介した社協との一連のやり取りの中で市は、「貴会(社協)の運営の現状や指定管理者制度への意見も参考にさせていただきながら、H31年度(2019年度)以降の制度設計を検討していきたい」と回答されていますが、現時点でどう検討していくつもりか。課題整理や問題意識についてもお聞きします。

B今後の育成センターの運営方針として、指定管理者制度をやめて、直営に戻し、以前のような一部委託に変更する。あるいはせめて非公募にする考えはないか。

C社会福祉協議会は、3センター応募断念の理由として、利用ニーズの増大、保護者の意識変化、さらに、子ども並びに世帯状況に応じた個別支援が求められるなど、業務の拡大と質的向上が求められる中で、指導員の人材確保が厳しい状況にある、としています。保育所や介護など人材確保の困難さは福祉の分野で広く言われています。おそらく社協だけでなく他の育成センターの事業者でも共通する課題だと思われます。この課題にいかに対応すべきと考えるか、お聞きします。