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庄本けんじの一般質問
2018年12月07日

小中一貫校の開設について


 次に、小中一貫校の開設について質問します。
 市長は、6月の所信表明のなかで、西宮浜において「小中一貫校」を2020年4月に開校すると表明されました。しかし、「小中一貫校」とはいかなるものか、ということについては、多くの人には、まだ認知され、理解されている状況にありません。
 小中一貫と呼ばれる教育は、さまざまな内容と形で取り組まれています。政府が分類したところによると、小中一貫校には、大きく分けて「義務教育学校」と、「小中一貫小学校・中学校」とがあります。しかし、その仕組みや教育内容は、やはり、さまざまです。施設の分類では、施設一体型、施設隣接型、施設分離型という3種類があります。
 政府は、その取り組みを制度化するために法の改定と、省令を改定しました。その主たる内容は、学校教育法第1条で、学校の定義のなかに「義務教育学校」を新たにくわえたこと。そして、「小中一貫小学校・中学校」については、政令と省令で教育課程の特例を定めることとしたことです。
 制度化された「義務教育学校」は,小学校と中学校とを合体させたもので、入学したら、そこから9年間のあいだ、小中の区別がない学校です。6歳で学校に入学し、6年間そこで過ごした後、次のステップは中学1年生ではなく、7年生、8年生、9年生として過ごすことになる、そのような学校です。
 あえてここで申しますと、小中一貫校の取り組みについては、その良し悪しの評価は千差万別です。むしろ批判のほうが多く見られます。政府でさえ、その教育効果については確かな検証がされていない、ということを国会の議論の中で認めています。
 たとえば、小中一貫校では、教育のカリキュラムの特別な編成が可能となりますが、一般の学校では6年生で終える教育を、5年生までに終えてしまうカリキュラムをつくることになります。そうなれば、当然、問題が生じます。公教育に複線化を持ち込み、教育格差を生み出す。そのような批判です。転校生にたいする対応をどうするのか、という解決しえない矛盾を抱えてしまうことになります。
 西宮市で始めようとする小中一貫校は、どのような形態の学校となるかはまだ定かではありません。しかし、新たな教育体系を導入する大きな問題であることは確かです。市民的な合意形成を重視しなければなりません。
 西宮市でこれまでおこなわれてきた小中一貫教育は、平成25年、2013年から全市で取り組んできました。その形や方法は、中学校単位の校区をもとに、20のブロックを設置し、それぞれのブロックにおいて一貫性を重視した指導をおこなうことによって、小学校と中学校とのあいだを滑らかに接続させようとする取り組みです。それが、いわゆる「西宮型小中一貫教育」です。
 新たな小中一貫校の開設は、ありようによっては、これまでの取り組みとは全く異なる教育を導入することになります。
 なぜ、小中一貫校か。市と教育委員会の説明では、西宮浜の地域は児童生徒が減少し、単学級になってしまうから、その危険を避けるためとしています。しかし、この議論の仕方は、筋が通らないと言わざるを得ません。
 単学級を避けるためには、西宮浜以外の地域からも児童生徒が通えるようにする方策を検討しなければなりません。その方策として考えられることは、学校区を広げるか、新たな学校選択制を導入することです。単学級を回避するという理由で小中一貫校の開設を提起するのは、ある種のトリックと言わざるを得ません。西宮浜地域の学校に通う児童と生徒を増やそうとするのであれば、学校区の拡大や学校選択制について正面から議論、検討すべきです。小中一貫校開設を議論するのは筋違いと言わざるを得ません。
 小中一貫校の開設を検討したいというのであれば、それは、単学級回避のためとするのではなく、西宮の公教育をどのように発展させるのかという問題として、提起し、議論すべきことです。
 そのようななかで、西宮市は西宮浜において2020年4月開校という期日を決めて、小中一貫校の開設準備を進めているのです。しかも、単学級を解消すると言いながら、解消できるとは言えないとしていることです。
 小中一貫教育については、子どもの育ちにとってどのようにするのが最善か、ということを基礎にすえて、議論すべきです。そして、市民的な合意を大事にして、それを積み重ねながら取り組んでゆくべきです。市民的な合意を形成するための十分な時間を保障することができない開校時期を決めて進めようとすることは、あまりにも拙速すぎます。

 そこで、3点お聞きします。
 一つは、2020年4月開校に向けて検討を重ねておられると思いますが、具体的な検討はどこまで進んでいるのか、その内容について明らかにしてください。
 二つ目は、小中一貫校の開設について、2020年4月開校という期日を決めたきっかけはどこにあるか、お答えください。
 三つめは、単学級を避けるためとしているが、その解決の方法として、なぜ、小中一貫校開設でなければならないのか、その理由をお示しください。