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庄本けんじの一般質問
2018年12月07日

高塚町の大規模開発について


 次に、高塚町の大規模開発について質問します。
 高塚町の4haにも及ぶ、通称高塚山が大規模開発によって削られ、緑豊かな自然は跡形もなく破壊され、古墳もなくなりました。開発計画を西宮市が受け付けた2016年の2月。それを知った周辺住民は、たいへん驚き、いてもたってもいられず、なんとか緑豊かな自然を残したい、その一念で「高塚の緑を考える会」を発足させ、以来、さまざまな活動をされておられます。
 開発計画が公表されてからのことを振り返り、そのなかで浮かび上がってきたいくつかの問題について、考えてみました。
 第一は、周辺住民の意思を無視して、開発をすすめていることです。周辺住民の思いは、豊かな自然を残してほしい、開発は周辺住民の思いをくみ上げてすすめてほしい、ということです。単純で、当たり前の思いです。そのよりどころとなっているのが、「文教住宅都市宣言」です。
 西宮市の都市計画マスタープランでは、まちづくりの基本理念は「文教住宅都市としての優れた環境と品の良さを感じさせる個性的な都市イメージを高める」としています。この文教住宅都市の理念は、私たちの誇りです。大事なことは、この理念が,デスクの上での思いつきでつくられたものではない、ということです。西宮市民が大きな運動を起こし築き上げたものです。
 1960年、御前浜沖への石油コンビナート誘致計画にたいして、住宅都市としての良好な環境の保護や宮水の保全のため、市民や学識者、酒造業者たちによる大規模な誘致反対運動がおこり、コンビナート誘致計画が撤回されました。その時の市民の思いを集大成して、つくられたのが「文教住宅都市宣言」です。
 ところが、住民のよりどころとなるはずのこの理念が、開発の前では生きて力を発揮してくれない、なんともしがたい、悔しい思いにさいなまれる、それが現実です。しかし、住民はあきらめていないのです。日々勉強し、たくましく、強くなっています。「まちづくりは私たちの手で」、「良好な住環境は私たちのもの」、「自分たちの在り方を決めるのは私たち」…そんな理念を打ち立て、「まちづくり権」を主張し、民事裁判を起こしています。
 時代は動いているのです。社会は変化しています。問題は、法の制度や行政のありようが時代の変化に追いついていないことです。そこが大きな問題です。
 それを解決する方策は、三つです。一つは、情報の公開。二つは、政策決定過程への住民参加。三つは、裁判権をひろく認めることです。
 開発行為において、また、まちづくりにおいて、住民の意思を尊重してすすめるというのは、時代が要請する問題であり、それにこたえる行政の改革が求められている、ということを、強調しておきたいと思います。
 問題の二つ目は、高塚町での開発がいくつかの違法状態を解決することなく、行政が開発許可を与えているとの疑義が生じていることです。たとえば、開発区域内に公園や緑地保存がおこなわれていないという疑義、甲陽断層の上に住宅を建てることを認めたという疑義、樹木保存のための植生調査が行われていないという疑義などです。西宮市が裁判に訴えられている問題の一部です。
 問題の三つ目は、工事中の業者の問題行動です。高塚町での開発工事では、数々の迷惑行為、約束違反が横行しています。たとえば、開発区域を囲む周辺道路のなかには車両が交差できない狭い道路がありますが、業者の住民説明会ではその道路は一切使わないと言明していたにもかかわらず、何の断りもなく車を止めて作業を始める、西宮市の市道を自分たちの使い放題に占拠する、休日の早朝から重機で作業をする、迷惑行為が絶えません。また、大雨による泥水流出の被害も起きています。こうした、工事中の迷惑行為や周辺住民に損害を与える行為がお横行しています。
 開発行為によって引き起こされる数々の問題をどのように解決するのか、行政に突き付けられています。

 そこでお尋ねします。
 第一に、無秩序な開発を住民の意思にもとづいて規制しうる条例がどうしても必要だと考えますが、市長の考えをお聞きします。
 第二に、開発において、違法が疑われる状態を解決しないまま開発許可がおこなわれたと住民が主張し、裁判がおこなわれていますが、このことについてどのようにお考えかお聞きします。
 第三に、工事中に周辺住民に危害や損害を与えないようにする責任は業者にありますが、それを指導監督する行政の責任について、市当局はどのように考えているか、お尋ねします。

 以上、壇上からの質問は終わります。