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佐藤みち子の代表質問
2019年02月27日

市長の政治姿勢と市の財政について


 質問に入る前に、市が発注する工事を巡る入札情報漏えい事件で、再発防止委員会を設置しました。今後は事件の全容解明と再発防止に取り組むよう要望します。

 1月28日より通常国会がはじまりました。厚生労働省の「毎月勤労統計」不正により、雇用保険や労災保険など2000万人を超える被害が生じています。過労自死で夫を失った寺原笑子さんは「労災認定には高いハードルがあり、被害者なのに何年もたたかわないと認定されない。その上、国が数字をごまかして補償額を減らし、二重三重に国に裏切られた。怒りが抑えられない」とおしゃっています。
 厚生労働省の特別監察委員会の報告は組織的な隠ぺいはなかったと結論づけていますが、組織ぐるみと言う疑念が深まるばかりです。日本共産党は衆参の代表質問で「厚生労働省から完全に独立した組織をつくり、調査を一からやり直すべきだ」と真相解明を求めました。これまでも森友「公文書」改ざんなど安倍政権の隠ぺい、嘘が次々と明らかになっており、「統計不正」の温床には安倍政権の「政治モラルの大崩壊」があります。
 
 次に、消費税10%の増税についてです。2019年度末で、消費税導入から30年となります。この間の消費税収入は372兆円その期間に法人税は290兆円も減りました。消費税が法人税や所得税の穴埋めに使われ、財政再建にも、社会保障の拡充にもつながらなかったことは明らかです。昨年12月まで内閣官房参与を務めていた藤井聡京都大学大学院教授は、「今、消費税を増税すると貧困と格差が拡大し、国の財政も悪化して必要な公共投資や社会保障の確保も不可能になる。国民生活が先進国とは呼べない水準に下落することはまちがいない。増税は経済を破壊する。法人税の引き上げこそ最も検討すべき対策」と述べています。増税するならアベノミクスで大儲けをした富裕層と巨大な内部留保を抱える大企業にこそ求めるべきです。

 憲法9条の問題です。安部首相は昨年までは「自衛隊を憲法に書くだけ、何も変わらない」と語っていましたが、今年に入り「自治体が自衛隊に協力しない現状を変えるために憲法に自衛隊を書き込む」と言い出しました。名古屋学院大学の飯島滋明教授は「自衛隊を憲法に明記することで自治体に自衛隊募集の協力をさせる。安保法制によって日本防衛に関係のない海外での武力行使が、任務とされたために敬遠される『自衛隊』への入隊を、自治体に協力させようとする発想では、最終的には『徴兵制』を実施する事態も危惧する必要がある」と警告しています。
 さらに、昨年12月に政府が策定した新たな武器調達計画「中期防衛力整備計画」では、1機116億円の最新鋭ステルス戦闘機F35A型と空母に改修する護衛艦「いずも」と一体で運用するB型を合わせて105機導入すると決定しました。購入価格だけで1兆2,180億円です。これに対して航空自衛隊の元幹部からも「いったい何をするのか、目的が全く見えない」との批判が寄せられています。トランプ大統領に言われたから買う、目的は不明、これでは「浪費的爆買い」としかいいようがありません。すべて国民の税金でありこんな無駄使いは許せません。
 2018年4月現在、保育所の待機児童数は全国で1万9,895人でした。定員90人の認可保育所221か所の増設が必要とされます。1か所あたり1億2,000万円、221か所の建設にかかる費用は約265億円。F35戦闘機2〜3機分です。新しい軍国主義とファシズムへの国家改造の野望を許してはなりません。軍事費を削り国民の暮らしや福祉に使うべきです。

 原発の問題についても述べておきます。安倍首相が「成長戦略」の目玉に位置づけトップセールスを行ってきた原発輸出が総崩れに陥っています。原発はもはやビジネスとしても成り立ちません。国内でも再稼働を断念し「再生可能エネルギーへの大転換」を進めるべきです。以上、国政に関わる問題を述べました。

 さて、西宮市の2019年度の当初予算案が示されました。石井市長就任後初めての予算案です。一般会計1,840億7,348万円、特別会計876億3,290万円、企業会計474億6,677万円、総額3,191億7,316万円となり、前年度より66億5,967万円、2.1%の増です。当初予算案の総額としては、阪神淡路大震災直後の1997年を除いて過去最大の規模となっています。
 歳出では、市は消費税増税で実施される幼児教育の無償化を特徴としています。幼児教育の無償化の実施等で国庫支出金と県支出金が合わせて26億9,232万円の増となります。
 また、対象は子育て世帯と低所得者とする消費税増税に伴うプレミアム商品券事業について、商工費が5億4,412万円の増となっています。経済効果があるのか疑問です。
 さらに、香櫨園小学校、春風小学校、西宮養護学校の改築工事の進捗で学校整備費が24億2,157万円増です。第二庁舎の本格着工などによる庁舎整備費が10億2,929万円増です。一押し事業と新聞報道されたのが、認可保育所に申し込んで入所できず、やむなく認可外保育所を利用する児童に年齢に関係なく利用料の一部を補助します。日本共産党市議団が求めてきたことが実現しました。

 6月議会の所信表明で石井市長が述べた「子ども食堂」については、施政方針では、新期開設や運営面での情報交換会の開催などに取り組むとのことです。今後、早急に具体化し実施すべきです。6月議会補正予算で日本共産党市議団が反対した民設民営の学童保育が、予算化されていることは見過ごすことはできません。西宮浜の小中一貫校については、来年春にも開校を目指すと拙速に進めようとしています。この問題については後で質問します。

 次に、歳入の根幹となる市税は、納税義務者数の増、固定資産税や都市計画税の増などにより予算額は873億3,621万円で、前年より11億4,202万円の増額となっています。また、消費税増税に伴って自動車取得税が廃止され、新たに環境性能交付金9,800万円を見込んでいます。市債については、学校施設整備などに伴う教育債の増により、前年度に比べて3億840万円増え、歳入全体では66億5,967万円増えています。一般財源は、1,158億9,200万円(前年比2・8%増)で引き続き「安定」した財政と言えます。財政基金、減債基金、公共施設保全積立金の残高は2018年12月補正の段階で251億円となっています。市民の暮らしを応援する財源は充分にあります。  
 日本共産党市議団が2018年度に実施した市民アンケートでは、現在の暮らしは「苦しい」と答えた方が半数近くの43%、以前と比べて暮らしが「悪くなった」と答えた人が55%にもなります。地方自治体の本旨は福祉の増進です。市には国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすよう要望します。

質問
  1. 消費税は必要との立場の人からも、今の時期に増税をやるべきではない。との声が出されていますが、このことについての市長の見解をお聞きします。
    市議団のアンケートでは暮らしが悪くなったと答えた人が55%です。「市長への手紙」「市政報告・広聴会」等で、市長は市政や身近な要望等を直接聞いていますが、市長として市民の暮らしについてどのように感じているか。お聞きします。

  2. これまでの市長は財政について「厳しい財政状況」と述べていましたが、市長は施政方針では何も述べませんでした。市長は現在の財政状況についてどのように認識しているのかお聞きします。