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杉山たかのりの一般質問
2019年02月28日

UR借上げ市営住宅問題について


 ただ今より、日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、杉山たかのりが一般質問を行います。今期、最後の一般質問ということになります。これまで取り上げてきたことを中心に私の実感から質問をしておきたいと思います。
 傍聴席のみなさん、ご苦労様です。

 UR借上げ市営住宅問題について質問します。
 今年の1月17日で阪神淡路大震災から満24年を迎えました。自治体として残っている重要な課題の1つが借上げ公営住宅問題です。
 この問題については、私を含め、日本共産党西宮市会議員団として繰り返し取り上げてきました。今期の最後ということで思うところを質問をしておきたいと思います。
 少し、経過を振り返ります。
 阪神淡路大震災で災害復興公営住宅の不足を補うため、民間からの借上公営住宅という制度が導入され、西宮市では1995年10月入居のシティハイツ西宮北口を皮切りに5棟447戸をUR、都市再生機構から20年間借上げ、市営住宅として供給しました。
 2012年2月、西宮市は20年間の借上げ期限をもってURに住宅を返還するという基本方針を決定、入居者に対して別の市営住宅への住み替えを求めました。
 2016年5月、西宮市はシティハイツ西宮北口の入居者7世帯に対して、明け渡し等を求める訴訟を行い、現在に至っています。
 私は、2011年から3年間建設常任委員会を担当していましたが、その間は一度も市当局から借り上げ住宅については報告がなく、副委員長として要求しても、一切報告を拒否してきました。
 その後、ようやく建設常任委員会で所管事務報告が3回行われています。
 2014年7月2日「UR借上市営住宅の住み替え斡旋と住み替え支援策について」
 2015年9月14日「UR借上市営住宅返還事業の進捗について」
 2017年3月9日「UR借上市営住宅の現状と今後のスケジュールについて」
 改めて目を通してみたのですが、2つのことが問題だったのではないかと思いました。
 1つは、2015年9月の報告の表題が「UR借上げ市営住宅返還事業」とあります。借上げ市営住宅の期限が来て、入居者をどのように取り扱うのかということではなく、借上げた住宅を返還することが最大の眼目だったのです。
 もう一つは、借上げ期限を厳守すること。入居者の生活や健康はお構いなしに、とにかく期限までに転居させることに固執したことです。
 この5棟の住宅には400世帯を超える人間が住んでいて、高齢者、障害者、女性、こどもなどが震災を経験して生き抜いてきたのです。しかし、西宮市にとっては、URから借上げた住宅をどううまく返還できるのか、ここからスタートしているわけですから、借上げ期限を守ることが至上命令で、そのためにあらゆる手段を使って、追い立てることになったのだと思います。
 この間、甲子園九番町や甲子園春風町、石在町に建て替えられた新しい住宅をはじめ比較的新しい住宅が、住み替え住宅として提供されてきましたが、市が他の市営住宅への住み替えを求めた当初は、階段式の住宅を中心とした、点在する住宅を提供し、借り上げ市営住宅入居者をばらばらに転居させるような方法をとっていました。
 しかも、入居者にとっては、自分が住んでいる市営住宅が、URから借上げた住宅で、20年たったら転居しなければならないということは全く知らされず、差別的な待遇での転居を強制されてきたというのが実情です。転居できないという入居者には訴訟という脅しまで使ってきたのです。
 なぜ、こんな事態になったのかといえば、西宮市当局が、借上住宅というものを理解せず、20年後の借り上げ期限が来た際の手立て、買い上げる、借り上げを継続する、転居先となる受け皿住宅を準備するなどの対策を怠った。そして、URへの返還、20年という期限に固執するという、入居者の立場に立たない、被災自治体で最悪の方針にしがみついたことにあります。
 私の問題意識から具体的に質問をしたいと思います。

質問1
 借上市営住宅問題の本質は、返還事業と称しているように、市当局にとっては、ハード、つまりURから借り上げた住宅をどうするのかであって、そこに住む一人一人の生身の人間が終の棲家だと思って住んでいた住宅を追われることの問題だとは考えていなかったのではないのか。

質問2
 当初から、借り上げ期限内で住み替えは不可能であり、期限に間に合わないことを前提とした対策を検討すべきだと繰り返し指摘をしたが、結局、私たちが指摘した通りになった。なぜ、借上期限に固執した返還事業、裏を返せば追出し事業になったのか。

質問3
 今後の方針について聞きます。現在行われている訴訟については、西宮市にとって仮に勝訴したとしても高齢者を法的措置とは言え強制的に追い出すことになり、勝っても負けても得るものはないと思います。となれば、和解が最善ではないか思います。現在も入居者及び、弁護団と、継続して協議を続けていると聞いていますが、現時点での訴訟についての市の方針を聞いておきたいと思います。

質問4
 最後に私が最も強く持っている問題意識です。募集パンフレットに借上住宅について簡単に説明がされています。これを読んで応募したのだから、20年経ったら転居しなければならないというのはわかっているはず、というのが市の基本姿勢です。
 当時は、20年という期限を区切った借上市営住宅というものは存在していなかったと思います。シティハイツ西宮北口への入居時は、法律さえありません。つまり、法律もなく、誰も知らないものを、経過から言えば市の職員も理解していない、我々市議会議員も20年後にこんな事態になることを予測もできない、借上市営住宅について、あの被災時に、募集パンフレットに書いてあったから理解して当然だということが本当に言えるのでしょうか。私はそんなことは不可能だと思いますが、市長の見解を聞いてみたいと思います。