HOMEへ
佐藤みち子の反対討論
2019年03月22日

各会計予算について


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第611号2019年度西宮市一般会計予算、議案第612号2019年度西宮市国民健康保険特別会計予算、議案第613号西宮市食肉センター特別会計予算、議案第618号西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、議案第622号西宮市水道事業会計予算、議案第623号2019年度西宮市工業用水道事業会計予算、議案第624号2019年度西宮市下水道事業会計予算及び議案第625号2019年度西宮市病院事業会計予算について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。
 以下、理由を述べます。

 2019年度の施政方針、予算を考える上で、まず、市民の暮らしはどうか。このことを第一に考えなければなりません。国との関係では、10月からの消費税増税の問題です。今年の年頭所感で、安倍首相は「景気回復の暖かい風が、全国津々浦々に届き始めている」と言いましたが国民にはその実感は全くありません。どの世論調査を見ても「景気回復の実感がない」と言う方が7割から8割です。「こんな経済情勢、不景気のもとで、増税をしてもいいのか」という批判が広がっています。総務省がおこなっている家計調査でも2014年の消費税8%への増税をきっかけに家計消費が落ち5年連続マイナス、増税前に比べて一世帯で25万円落ちています。では、働く人の所得はどうか。安倍首相は「5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが続いている」と言いましたが実態は、2014年の増税の年に、実質賃金が落ち、その後ずっと横ばいで平均、約10万円も下がっています。内閣府が3月7日に発表した1月の景気動向指数は下方修正されています。さらに世界経済は大きなリスクに直面しています。いまやるべきことは、内需拡大です。家計をあたためて働く人の賃金を引き上げ、日本経済の足腰を強くすることです。
 日本共産党は消費税に頼らない別の道を提案しています。税金は大企業や株の売買で大儲けをしている富裕層、スーパーリッチと呼ばれている人たちに応分の負担をして貰えば合わせて5兆円の財源が生まれてきます。このことを実行すれば消費税を増税する必要はありません。

 さて、2019年度は石井市長就任後、初めての予算編成です。本市の一般会計、特別会計、企業会計の総額は3,191億7,316万円となり前年度より66億5,967万円2.1%の増となっています。特徴は10月に予定されている消費税増税に伴う施策が予算化されていることです。その主なものは幼児教育の無償化、子育て世帯と低所得者を対象とするプレミアム商品券事業です。この事業は自治体が発行主体となり、全額国庫補助で実施しますがこの施策が低所得者対策になるのか疑問です。市民の負担も増えます。上下水道料金、中央病院の差額ベッド代等が消費税増税で上がることになり暮らしはますます大変です。
 次に、投資的事業では、香櫨園、春風、安井小学校整備事業や西宮養護学校の改築事業が進められます。また、日本共産党市議団が庁舎規模と整備費用が大きすぎると繰り返し再考を求めてきた第二庁舎が2019年度より本格着工がすすめられようとしていることは残念です。今後の本庁舎周辺整備では規模や予算等については過大なものとならないよう求めます。
 歳入では、納税義務者の増、固定資産税や都市計画税の増などにより市税が前年より11億4,202万円の増額です。根幹となる市税収入が歳入全体の半分を占めていることは、財政基盤が強いことを示しています。また、基金については2018年度当初予算で取り崩しを予定していた約70億円を取り崩さずに済むだろうということで財政・減債の二つの基金を合わせると約260億円にもなり、市民の暮らしを応援する財源は十分あると言えるでしょう。

 先日の代表質問で石井市長は消費税の増税については社会保障の構築のためには上げざるを得ないと肯定しました。しかし、消費税は所得の低い人にとっては大変負担感の重い税金です。西宮市でも苦しい生活を強いられている人がたくさんいますが、市長の発言からは弱い立場の人への思いやりが感じられませんでした。消費税導入以来の30年間、社会保障は改悪の連続であり、良くなったものは一つもないことは市民が実感しているところです。地方自治体の本旨は福祉の増進です。石井市長には国の悪政の元、苦しい暮らしを強いられている住民の暮らしを守っていく施策を進めるよう求めます。

 具体的な反対箇所について述べます。

 1点目、UR借り上げ住宅問題です。
 現在市から裁判で訴えられているシティハイツ西宮北口7世帯については、4月24日に判決が下される予定となっています。2019年度予算にはこの訴訟費用とともに、現在、事前予約しておられる方たちが住んでおられる住宅のURからの引き続きの借り上げ料や、空き住宅が出た場合の転居費用も盛り込まれていますが、特にこの訴訟費用については大きな問題があります。シティハイツ西宮北口に住まれる方たちには市が柔軟な対応をせずに突き放す対応をしたことです。シティハイツ西宮北口以外の住宅に住まれる方たちには、事前予約した住宅に空きが出るまでは期限後も住み続けることができること、また、当初は二つの住宅を予約することが転居の条件だったものが、現在は一つの予約でも希望住宅の空きが出なければ住み続けることができるようなっている点からも、この裁判が不当なものであるという事が言えるのではないかと考えます。
 この裁判で市が敗訴すればその市の不当性が認定されることになりますし、仮に市が勝訴したとしても、西宮市が最も冷たい方針で住民を追い出すことになったとマスコミも大きく取り上げることでしょう。そういう点からも、判決が下されるまでに早急に和解に向けた努力をすることを求めておきます。

 2点目、マイナンバー制度です。2019年11月からマイナンバーカードに旧姓併記が実施されます。さらに国は2020年度以降にマイナンバーカードで健康保険証を代用できるようにとのことですが、以前から指摘しているようにマイナンバーカードについては個人情報が流出してもそれを防ぐ手立ては何もありません。この制度はやめるべきです。

 3点目、民設民営学童保育についてです。
 留守家庭児童育成センター(以下、学童保育)といいます。管理運営事業経費のうちの2,520万円の予算は、民間による放課後児童クラブを公募により選定し補助金を支給するもので、民設民営による学童保育の新規事業であり株式会社の参入も可能とするものです。当局の説明では、市費を投入するため、厚生労働省の規定と市の条例に基づいて運営されるとしています。しかし、民設民営の学童保育は利益が上がらなければ撤退することも考えられます。さらに、利益を上げるために、英語指導や音楽指導などのオプションをエスカレートさせる可能性もあり、市の学童保育に児童を預けることができない保護者はオプション費用を負担せざるを得なくなるなどの懸念が生じます。学童保育の事業は、民設民営はなじみません。市の学童保育の増設で対応すべきです。

 4点目、義務教育学校についてです
 この問題については先の日程で述べたとおりです。子どもや保護者、現場の教師や市民の意見を聞き議論を深めることが大事だと思います。拙速にすすめることには反対です。

 続いて意見、要望を申し上げます。

 1点目は、土木局、上下水道局の職員が相次いで逮捕された市発注工事の入札に関する情報漏えい事件についてです。
 市当局は市民の不信を招くような行為の防止と信頼を確保するため、公共工事不正行為再発防止対策委員会を設置しました。
 ところが再発防止委員会は、土木局、上下水道局の事件を所管する当時の特別職、局長級、部長級が委員7名中5名というメンバーで構成されています。当然、事件を調査し再発防止策を検討することになりますが、委員長は当時の土木局長であり、関係者、内部による委員会と思われても仕方がないのではと思います。
 4月からの人事異動で委員会のメンバーも変わることになると思いますが、市長のイニシアにより、本気で再発防止をして頂くことを求めます。
 なお、障害者就労施設への優先発注については、取り扱い方針の改善とともに、2019年度は発注する業務量も回復し、一定の解決を見たと言えます。しかし、尚、税金を原資とした5億円もの金品が政治家に渡っていたという疑惑は、未だ解明されていません。この問題についても真相究明を図るよう強く求めます。

 2点目、子どもの医療費助成についてです。
 この問題については所得制限を撤廃するよう代表質問、一般質問、委員会質疑等で繰り返し求めてきましたが、未だ実現していません。市内では約3割の子どもは医療が費無料ではありません。すべての子どもの医療費を無料にするために、市長の政治的決断を強く要望しておきます。

 3点目、幼児教育無償化についてです。
 消費税を財源とする幼児教育の無償化が10月から始まります。対象は3歳〜5歳児は原則全世帯、0歳〜2歳は住民税非課税世帯です。また、対象となる施設は、認可保育所、幼稚園、認定こども園が中心です。今でも子育て世帯はなにかと出費がかさんでいます。そこに消費増税がのしかかれば暮らしがさらに圧迫されることになります。
 すでに保育所も幼稚園も、低所得者などへの減免措置が実施されており、無償化は低所得者への恩恵は少ないとされ増税だけかぶせられることになります。また、給食費は実費徴収となるため、負担増になる世帯が出る可能性もあります。せめて、市が上乗せして給食費は無償にすべきです。この無償化の費用については、2020年度より公立保育所は市町村が全額負担する仕組みのため、民営化がすすむ危険がありますが、保育の公的責任を後退させることは国民の願いと相いれません。保育士が安心して働けるための処遇改善や子どもが豊かな保育・幼児教育を受けられることと一体で、無償化をすすめることが大事です。税金は大企業や富裕層に応分の負担を求め、無償化はそれらを財源として実施すべきです。

 4点目、保育所待機児童対策です。
 市は待機児童対策のため、2017年度から3年間で1.500人の定員増を計画しましたが1,211人の受入れにとどまり目標が達成されませんでした。ところが、市長は企業主導型保育所を入れると目標に達成したと施政方針で述べました。この企業主導型保育所は定員増の計画には含まれていません。今後も、待機児童解消は保護者が望んでいる認可保育所や公立保育所を増設するよう求めておきます。

 5点目、学童保育についてです。
 今議会、学童保育について指定管理者制度の見直しを求める陳情が提出されました。この陳情は指定管理者制度から学童保育を除外することを求めており、日本共産党市議団がこれまでも繰り返し主張してきた内容とも一致するものです。すべてが公募という事態になって、学童保育に求められる安定性や利用者と管理者との信頼関係や協働関係がそこなわれる恐れが生じていることからも、学童保育への指定管理者制度については、十分な検証と見直しをするよう強く要望します。

 6点目、児童相談所設置についてです。
 児童虐待の報道に胸が痛みます。本市も人ごとではありません。児童相談所は県や政令市には設置義務があります。一方、中核市でも児童相談所を設置することは可能ですが、財政や専門職の育成等、課題があり現在、金沢市、横須賀市の2市のみが設置しています。  
 しかし、子どもの虐待は増え続け幼い命を守るためにも必要な施設です。兵庫県内では明石市が4月に児童相談所を設置しますが、その取り組みにも学び本市でも児童相談所を設置するよう要望します。

 7点目、災害援護資金貸付についてです。
 阪神淡路大震災から24年たって、まだ未解決の問題がUR借り上げ住宅問題と災害援護資金貸付問題です。そもそも低所得者被災者に対する貸付であった同制度は、返済困難な事例が生じるであろうことは十分予測がついたことでした。
 国・県に対する償還期限の延長とともに、資力のない借受人については償還免除されるべきと、わが党も求めてまいりましたが、ようやく国も重い腰を上げ、東日本大震災並みに償還免除要件を拡げると通知し、県下の被災地では統一基準でもって償還免除の手続きを進めました。ところが後になって国が県の統一基準に疑義を申し立て、その対応が問題となっているところです。
 国は段階的に統一基準での免除を認めてきており、昨年12月末の通知によって、現在、958件の免除のうち480件、半分の免除に決着がついたとのことです。
 市は引き続き、県とともに統一基準に基づく償還免除を国に認めさせること、更なる免除要件の拡大などに尽力してください。また、国の関係法改正により、同貸付制度の根拠である西宮市災害弔慰金の支給等に関する条例の改正を6月議会にも予定しているとのことです。東日本大震災の例にならって、保証人なし、月払いも可能とし、もちろん低所得者被災者に寄り添い、無利息、延滞利息なしの自立に資する制度に改善することを強く求めます。

 8点目、市立西宮中央病院についてです。
 2019年度は、引き続き「経営改革プラン」にとりくみつつ、県立西宮病院との統合に向け、統合新病院の基本計画の策定と、中央病院の跡地利用の調査を進めることになります。それぞれが重要で困難な課題であり、当局の奮闘を期待するものですが、ここでは中央病院の跡地利用について若干の意見を申し上げます。
 跡地利用の調査の内容は、中央病院廃院の周辺医療環境等への影響調査、医療機関の参入意向調査、地域住民の意向調査等としています。地域では総合病院がなくなることへの不安の声があり、中央病院の分院をという声も聞いています。市は、医療機関の必要があるとした場合でも民間医療機関を誘致するとしていますが、新年度におこなう調査をしっかりと行ったうえで、市民の声にこたえる対応を求めておきます。

 次に、特別会計について順次討論します。
 議案第612号2019年度西宮市国民健康保険特別会計については先の日程で述べた理由で反対するものです。

 議案第613号2019年度西宮市食肉センター特別会計予算についてです。
 日本共産党市議団が毎年予算、決算の反対討論で述べていたこととほぼ同じ内容で、包括外部監査報告書で厳しい指摘がされました。食肉センターは1988年の西宮浜への移転後2017年度まで、継続的に1億円以上の一般会計からの繰入金が発生していること、2017年4月に姫路市で和牛マスター食肉センターが稼働を開始した結果、大動物の稼働率が低下し、2016年度以前と同程度の高い水準の稼働率を維持することが難しい状況となっていること、民間事業者のノウハウ活用・コスト削減等の指定管理者制度導入のメリットが十分にいかされていないこと等、改めて指定管理者制度による食肉センター運営を今後も長期的継続するメリットとデメリットを比較・考慮し、将来における食肉センターのあり方を早急に検討すべきであるとしています。
 掛田副市長は、この包括外部監査報告の指摘に対して「2019年度から食肉センターのあり方について検討を始める。山田市長時代にあり方を諮問した。検討委員会も視野に入れて5年かけて将来的なあり方を決めていく」と述べました。しっかりと検討し誰もが納得できる結論を導きだすようにしてください。要望しておきます。

 次に議案第618号西宮市後期高齢者医療事業特別会計についてです。
 さる、2月4日に行われた兵庫県後期高齢者医療広域連合に低所得者の均等割り額の特例軽減を廃止する条例案が提案されました。その内容は、年金収入が80万円以下の人は現在9割軽減で年間の保険料は4,885円ですが、特例措置が段階的に廃止されると、2019年度は8割軽減になり保険料は2倍の9,771円になります。さらに、2020年度から7割軽減になり保険料は、1万4,656円と3倍にもなります。受け取る年金は減っているのに保険料を重くすることは許されません。
 このように消費税が導入されてから30年間、国保も後期高齢医療保険、介護保険料等、社会保障は改悪の連続であり良くなったものは一つもありません。
 
 最後に、議案第622号、議案第623号、議案第624号、議案第625号については先の日程で述べた理由で反対するものです。
 以上、日本共産党西宮市会議員団の8件の予算案についての反対討論とします。
 ご静聴ありがとうございました。