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庄本けんじの反対討論
2019年03月22日

教育学校設置条例について


 義務教育学校の設置と「おむすび広場」の利用有料化の件について
 ただいま上程中の諸議案のうち、私からは、議案第601号西宮市立学校条例の一部を改正する条例制定の件、ならびに、議案第602号西宮市立幼稚園において受ける教育に要する費用徴収条例の一部を改正する条例制定の件についての反対討論をおこないます。

 まず、議案第602号西宮市立幼稚園において受ける教育に要する費用徴収条例の一部を改正する条例制定の件にたいする反対理由です。
 この議案は、これまで試行実施されていた「おむすび広場事業」を本格実施するにあたって、その利用料を徴収することを可能にする条例案です。「おむすび広場事業」とは、公立幼稚園の在園児を対象にした一時的な預かり保育です。預かり時間は午後2時から4時です。この事業が本格実施されることは、たいへん喜ばしいことであり、わが党議員団は大賛成です。しかし、教育の無償化の流れが起き、それを広げるべき時に、利用料を徴収することはその流れに逆行するものと考えます。したがって、「おむすび広場事業」における利用料徴収を可能とする議案第602号の条例制定案に反対するものです。

 次に、議案第601号西宮市立学校条例の一部を改正する条例制定の件についての反対理由を述べます。
 本条例案は、西宮浜に義務教育学校を設置するための条例です。
 義務教育学校とは、いかなる学校か。ほとんどの人が知らず、多くの人にとっては初めて聞く全く新しい学校種です。制度化された義務教育学校は、小学校と中学校を合体させた9年間を一つの学校で児童生徒が過ごす学校であり、学年区分を自由に設定することができ、教育課程も学習指導要領にもとづかない編成が可能となる学校です。特別の教育体系を可能とする制度を、西宮の公教育に導入するものです。
 しかも、西宮浜に設置されようとする義務教育学校は、特認校の指定を受け、西宮市全域から児童生徒を募集する学校となり、義務教育学校の設置とはちがう別の制度を導入するものです。
 また、西宮浜の義務教育学校は、総合教育センターの付属校となり、研究機関としての学校となります。
 義務教育学校の設置であれ、特認校の指定であれ、また、総合教育センターの付属学校とすることなど、そのすべてが、西宮の公教育のあり方を激変させる可能性をはらんでいます。地域住民はもちろん、全市におよぶ重大な問題です。市民の理解と納得を得ること、地域住民と市民の共感を得ることを大切にしなければなりません。そのことをぬきに、ことをすすめることは許されません。
 市長就任直後の6月議会において、市長が所信表明で、西宮浜に小中一貫校を2020年4月に開校することを表明していらい、議会では様々な議論があったものの、具体的な内容はほとんど明らかにされませんでした。西宮浜における小中一貫校開校についての方向性がはじめて明らかにされたのは、今年に入って1月28日の教育こども常任委員会での所管事務報告においてです。市長が表明した小中一貫校の開設について、市民が知る条件を得たのはその時が初めてです。
 来年の4月開校では、義務教育学校についても、そこで編成される4・3・2制という学年区分についても、特認校の指定という学校選択制についても、総合教育センターの付属校になることについても、市民的にはもちろん、地域住民のみなさんも、さらに、教育に直接携わる教職員のみなさんさえも、その制度の仕組みや意義さえ理解できないまま、ことが進められることになります。住民や関係者への説明では、すでに決定されたものとして、保護者説明会、地域説明会が行われます。7月には学校案内のパンフレットの作成が始まり、8月には学校説明会とことはすすんでゆきます。あまりにも拙速すぎます。
 来年の4月開校ありきのスケジュールでは、地域住民と市民の理解、共感を得る努力を費やす客観的条件を投げ捨て、強引なやり方で進めることにならざるを得ません。教育のあり方をこのようなやり方で決め、強引に進めることは許されません。
 来年の4月開校ありきの方針を撤回し、教育の質的転換をともなう大方針を決定しようとするときには、ことの性質にふさわしい議論と検討を保障する体制と時間を確保することが必要です。そのことを強く求め、反対討論とします。

 なお、本601号議案と合わせて委員会に付託された請願21号西宮浜の義務教育学校設置についての請願についても、ここで触れておきます。
 この請願は、西宮浜の義務教育学校の設置について、その内容を市民にオープンにして、広く市民の声を聞くことを求めるとともに、慎重に時間をかけて検討することを求めています。
 また、請願趣旨では、「一般の市民は、『4・3・2制』の『義務教育学校』がどんなものか、ほとんど知らされてい」ないことを指摘し、「不安なこと、分からないことがたくさんあります」として、その代表的内容として、17項目にわたる疑問や不安に思われる事柄を列挙しています。たとえば、「小学校は45分授業、中学校は50分授業、チャイムはどうするの?」という疑問、あるいは、「4・3・2制になったら『小5ギャップ』が一層ひどくなる」のではないかという疑問などです。
 教育委員会は、17項目の疑問について答える文書を作成するとされていますが、17項目のうち、項目によってはまだ検討中というものも少なくなくありません。
 委員会での審議を通じても、西宮浜に設置される義務教育学校がどのような学校になるのかその全容が明らかにされたとは言えません。
 市民の声を聞くこと、また、慎重に時間をかけて検討することを求めた請願については、当然、賛成すべきものと考えます。

 以上、議案601号、602号にたいする反対討論ならびに、請願21号への賛意を表明して討論を終わります。