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佐藤みち子の一般質問
2019年09月06日

幼児教育無償化に伴う諸問題


 2019年10月に消費税が10%に上がることを前提に、幼児教育無償化がスタートします。
 まず、この制度の概要ですが、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳〜5歳のすべての子どもの保育料を無償化します。給食費については、実費負担となりますが、生活保護世帯、一人親世帯、住民税非課税世帯に加えて年収360万円未満、さらに全世帯の第3子の給食費は無料となります。
 0歳〜2歳児の子どもの保育料は住民税非課税世帯のみ無償化になります。給食費の実費負担はありません。
 一方で、認可外保育施設も無償化の対象とされました。この施設を利用する子どもについては、保育の必要性があると認定された3歳〜5歳の子どもを対象に月額3万7千円までの利用料を無償にします。0歳〜2歳の子どもは、住民税非課税世帯が対象で月額4万2千円までの利用料を無償にします。また、幼稚園の預かり保育についても保育の必要性があると認定を受けた場合は、最大限1万1300円までの範囲で預かり保育の利用料が無料になります。幼児教育の無償化と言いますが、すべてが無償化ではなく、ややこしい制度になっています。

 次に、幼児教育無償化制度の問題点について、いくつか述べます。
 一つ目の問題点は、財源が低所得世帯ほど負担の重い消費税頼みとなっていることです。日本共産党は幼児教育の無償化については当然だと考えますが、消費税を財源にすることには反対です。消費税は逆進性が強く、また、増税は特に、高齢者や子育て世帯の生活を直撃します。財源を消費税にすることは、今後、保育の充実を図るための財源を確保するためには、消費税の増税へとつながってしまいます。子育て支援の充実には、消費税ではなく、累進性の強い所得税や法人税等を充てるべきです。

 二つ目の問題点は、保育所待機児童問題です。
 2019年4月、市の保育所待機児童は厚生労働省の定義を当てはめると253人でしたが、希望する認可保育所に入所できなかった利用保留児童は761人となっており、深刻な状況です。また、公立や認可保育所では定員の弾力運用が、未だに解消できていないことや小規模保育所を卒園後、行き場のないいわゆる「3歳児の壁」についても未だに解消されていません。
 2016年度に策定された保育所3か年の待機児童対策では1500人の受入れ枠拡大をめざしましたが達成できませんでした。今後は、無償化によって保育所入所を希望する子どもが増えることが予想され、さらなる増設が必要です。日本共産党市議団は、これまでも保護者が安全で安心して預けることができる公立や認可保育所の増設を求めてきました。これらの保育所を増設することを求めます。

 三つ目の問題点は、認可外保育施設を無償化対象とすることです。
 このような施設を無償化にすることは認可外保育施設の固定化が進み、保育環境の全般的な改善が遅れ、保育の質が低下するという意見があります。もっともだと思います。
 当初、無償化の対象は認可保育所や認定こども園などの認可施設だけで検討されていました。しかし、入所を希望しても認可施設に入れない子どもがいることから、不公平との批判に対応して国は、認可外保育所も無償化の対象としました。
 このことには、市町村から批判があり国は、無償化の対象とする認可外保育施設を法律上、原則として、内閣府令に定める指導監督基準(以下、基準という)を満たす施設のみとしました。  
 ただし、施行後5年間は、基準を満たしていない施設でも無償化の対象とする経過措置が設けられました。基準を満たしていなくても無償化の対象となります。
 しかし、この経過措置期間中に限っては、市町村が内閣府令に定める基準の範囲内で、地域の実情に応じて、無償化の対象とする認可外保育施設の基準を条例で定めることが可能とされました。

 大阪府吹田市では、5年間の経過措置期間中の認可外保育施設の無償化対象基準の条例を策定し、市民にパブリックコメントを実施したのち、条例化しています。大阪府では茨木市、東京都江戸川区、杉並区は条例化し、門真市、千葉市、和光市では準備を進めています。しかし、このような動きは各自治体で活発ではありません。この問題について6月議会、市民クラブ改革の河崎議員が質問しましたが、市は、「保育所待機児童がやむを得ず認可外保育施設を利用する状況があることから、条例を制定して対象施設を制限することは考えていない」と、とても残念な答弁でした。子どもの安全を考えるのであれば条例制定が必要です。

 四つ目の問題点は、無償化といいながら、3歳〜5歳児の給食費については年収360万円以下の世帯、全世帯の第3子以外はすべて実費負担としていることです。
 保育関係者からは、「保育園は福祉施設である。0歳から6歳まで、家庭の様々な事情で、保育園の給食が命綱になっている。保育園に来さえすれば、温かいご飯や手づくりおやつを安心して食べられる。最低限の生活保障を保育園が担っている。食材料の実費徴収は、やめてください」との声が、多数出されています。私も同感です。

 保育料は保護者の所得に応じて応能負担となっていますが、給食費は、収入に関係なく応益負担です。学校給食の「無償化」が全国各地で実施されつつある時代になぜ、保育所給食は実費徴収するのでしょうか。当然、実費負担はやめるべきです。
 実費負担に対して、兵庫県高砂市では、主食費1000円は現行通り徴収しますが、副食費については無償にします。その財源には、国基準の保育料を基準より低く設定し、その分を市独自に負担してきた分が軽減されることからこの財源を使います。加西市、明石市も保育所・認定こども園等で、3歳〜5歳児の副食費を実費徴収せず無償にします。保育所も含めてすべての子どもに平等で豊かな食を保障する観点が重要であり、本来なら給食費も無償にすべきですが、国に要望するとともに、実現するまでは給食費を自治体が負担して無償にすべきと考えます。

質問
  1. 保育所待機児童問題は、引き続き重要な課題です。今でも待機児童は深刻であり、解消が急がれますが、市の考えをお聞きします。
    さらに、保育所が無償化になれば、今後も保育所入所を希望する子どもが増えることが予想されますが、市の考えをお聞きします。
    また、今後の保育所待機児童解消計画についてもお聞きします。

  2. 市のホームページを見ると認可外保育施設の一覧表が出てきます。2019年8月時点で43か所(企業主導型は除く)あります。その内、10か所の施設(約23%)が指導監督基準を満たしていませんが、この満たしていない理由についてお聞きします。

  3. 学校給食費は「西宮市学校給食条例」に基づいて実費徴収されています。
    公立保育所については条例を制定して徴収することになるのか。お聞きします。

  4. 公立保育所は主食1000円、副食費4500円、合わせて5500円の実費徴収となるが、民間保育所の給食費も公立保育所と同じ額になるのか。お聞きします。

  5. 公立保育所、民間保育所それぞれの給食費の徴収の方法、欠席した場合、また、土曜日は利用しない子どもについて、給食費徴収はどうなるのか。お聞きします。

  6. 他市のように、給食費については市が単独助成を実施すべきと考えるがどうか。