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2020年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:政策局
2019年09月04日

  1. 貧困と格差の拡大と深刻な経済不況のもとでの消費税10%への増税や社会保障改悪、憲法9条改憲策動、安保法制をはじめとする憲法違反の法制定、沖縄辺野古への米軍新基地建設の強行、原発の推進、隠ぺい・改ざん・ねつ造・そんたくなど、安倍政権はあらゆる分野で国民の声に背く政治を強行し続けている。
    国政の動向は49万市民に多大な影響を及ぼす。国政上の重要な問題については以下の態度で望むこと。
    1. 住民の命とくらしを脅かすことに対してはきっぱりと反対し、地方自治の本旨を貫く立場での行政運営を行うこと。
    2. 憲法については、第9条などの「改正」ではなく、憲法に基づく政治の実施を国に求めること。
    3. 実質賃金の連続減少、消費と家計の落ち込み、円安と物価上昇による中小企業の倒産など、「アベノミクス」不況はひきつづき明瞭であり、国民のくらしは、困難に直面している。にもかかわらず安倍政権は、消費税10%の2019年10月実施を狙っているが、市民生活を守る立場から、消費税増税実施反対の意思を示すこと。

  2. 2018年度決算認定案における基金残高は、財政基金が225億円、減債基金35億円、公共施設保全積立基金33億円にものぼる。また、アサヒビール跡地購入のため土地開発公社に55億円を貸付けており、これらをあわせた事実上の資金余裕は348億円である。一方、市債残高は、2018年度末1425億円とほぼ阪神淡路大震災前にもどり、うち、46%は後年度に交付税措置される臨時財政対策債が占めており、この程度の市債規模は懸念材料とはならない。
    よって、景気悪化など市税収入の見通しは不透明な状況はあるものの、総じて西宮市の財政状況は、ムダ遣いさえしなければ、市民の多様な要望に応えるだけのものがある。
    自治体の大きな役割はいうまでもなく「住民の福祉の増進」である。今後の公共施設保全に多額の費用がかかるなどと、緊縮ばかりを強調せず、高すぎる国保料や介護保険料等の引き下げ、こども医療費無料化の所得制限撤廃、学校配分予算の増額等、住民サービス向上のため、財政の有効活用を思い切って図る予算配分を行うこと。

  3. 市は、2004年から2008年にとりくんだ「行政経営改革基本計画」以降10年経過するものの、そのとりくみが十分浸透し、効果を発揮しているとは言えず、社会経済情勢の変化も見られることから、新たな「行政経営改革基本方針」を策定するとしている。この行政経営改革は、2019年度から2028年度までの10年間をとりくみ期間とし、3年ごとに具体的な実行計画を23項目の多岐にわたり策定し、「市民目線の市役所へ」「合理的で無駄のない市役所へ」「市民から信頼される市役所へ」と、「市民と共に新たな価値を生み出す市役所」に改革するとしている。
    その目的については、事業、施策を削減し、経費節減を図ってきた過去3次にわたる行財政改革とは違うと説明されているが、案の段階において、究極の目的は財政縮減ともとれる内容が随所に見られる。今後の実行計画の具体化においては、市民サービスの切り捨てではなく、「住民の福祉の増進」をすすめる真の市役所改革につながるものになるよう求める。

  4. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざすとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものであり、当初のPFI手法は事実上破たんしている。
    西宮市では今後、大型プロジェクトが目白押しとなっていることから、PFI事業の対象が増える可能性がある。PFI導入可能性調査等で市職員の膨大な時間が費やされるなど問題も多く、地元事業者の仕事につながりにくい。
    この際、PFI手法はやめること。

  5. 少子高齢化社会に向かうにあたって公共施設マネジメントは西宮市にとっても大きな課題である。市の計画は施設面積を、2032年までに10%、2062年までに20%削減するというものであるが、市営住宅の削減や統廃合など市民サービスの切り捨てになりかねない。
    公共施設マネジメントは、安易な「施設の削減ありき」とせず、長寿命化を基本に、市民サービスを低下させることのないよう、さらに市民の意見をよく聞き、必要な公共施設の増設も含め、検討すること。

  6. 市役所本庁舎、市民会館の建て替えなど本庁舎周辺整備は、県市病院統合による県立西宮病院廃院後の跡地を含めて、第二庁舎に続く大きな課題となる。まずは施設の長寿命化を検討したうえで、市民の要望、職員、議会の意見を十分聞き、過大とならないよう、時間をかけ慎重に検討すること。

  7. 災害被害者に対する支援では、自治体によって支援策の改善強化をすすめている事例も増えている。以下の項目にとりくむこと。
    1. 2018年の台風21号の際に、尼崎市では被災者にブルーシートを無償配布した。また、芦屋市では停電についての市民からの情報をとりまとめ、関西電力に伝達するなどした。いずれも本市ではとりくめていない。こうした事例を参考に市としても具体的な支援策を検討すること。
    2. 被災者生活再建支援法では、住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。国会では野党が一致して拡充を求める法案を提案した。少なくとも500万円以上への引き上げ、半壊も対象に拡大することを早急に実施するよう国に求めること。
    3. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小企業の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えることを国に求めること。