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2020年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:総務局
2019年09月04日

  1. マイナンバー(社会保障共通番号)制度は、国民一人ひとりに番号をつけ、各自の納税、保険料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化し国が一元管理するもので、社会保障の給付抑制、税・保険料の徴収強化に利用し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことを最大のねらいとしている。加えて、マイナンバー制度は、既存の「住基ネット」などとは比較にならない大量の個人情報を蓄積しているが、市役所はもちろん、病院、介護サービスなど、公務・民間にかかわらず、多様な主体がアクセスでき、プライバシーを侵害される危険性が高まる。
    市民のプライバシー権をまもるためにも、市独自業務でのマイナンバーの利用はやめること。また国は、マイナンバーカードの普及が思わしくないため、公務員に取得を義務化しようとしているが、このことを含め、マイナンバー制度は直ちに中止・撤回するよう求めること。

  2. 国では改ざんや隠ぺい、情報漏えいなど公文書の管理が問題になっている。西宮市でも、公文書は市民の財産との観点から、管理法の理念を踏まえたルールの再構築や、2021年度を目途に公文書館的施設や書庫を整備するとしている。これら課題についてのとりくみを強めること。

  3. 「西宮市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例」 いわゆる?口利き防止条例?が成立し、施行されている。全国でも例のない「録音」については、市民に合意なく行わないこと。

  4. 国や県からの事務移譲増等により職員定数増をはかったものの、部署によってはひきつづき超過勤務が継続し、休暇が取りにくい状況が続いているときいている。超過勤務の要因の分析を行い、必要な部署には臨時や嘱託などの非正規での対応でなく、正規職員による適切な人員配置を行うこと。そのための条例整備を行うこと。
    また、国家公務員給与は人勧では若干の引上げがあるものの総合的見直しによる削減で全体としては下がっており、それと連動した地方公務員の賃金引き下げの圧力が強められている。こうした国からの地方自治体への攻撃は、きっぱりとはね返すこと。

  5. 職員人事について
    1. 職員の昇任・配置については、能力や指導力に応じて適材・適所、公平・公正に行なうこと。管理職の若年化が進んでおり、計画的な人材育成にとりくむこと。
    2. 女性の管理職登用率について、男女共同参画プラン(2019年〜2028年度)、「西宮市職員次世代育成支援・女性活躍推進プラン」(2015年〜2019年度)では2020年度にむけ課長級以上15%を目標とし、次期計画では現行よりより高い数値目標を設定するとしている。しかし、係長級以上では2018年4月1日現在17.6%から21.6%へと多少前進しているものの、課長級以上は同じく13.3%が13.1%へと、一向に向上していない。女性管理職登用率を引き上げることが可能な、働きやすい職場環境、労働条件をつくる努力をいっそう強めること。
    3. 障害のある人の雇用についても引き続き積極的にとりくむこと。
    4. 技術職などの人材育成を進め、市民サービスに影響が出ないようにすること。
    5. 健康を害して長期休職に入る職員が一定数あり、健康管理やメンタルヘルス、カウンセリングの有効活用などの支援を含め、人事管理を適正に行うこと。また、休職者の復帰支援も十分に行うこと。
    6. 育児休業については、取得しやすい職場環境が求められる。代替正規職員を配置するなど、安心して育児休業のとれる職場環境を確立すること。そのために必要な条例を整備すること。
      また、男性職員の取得は2016年度7人、2017年度7人、2018年度は10人(取得率7.75%)と、少しずつ向上しているが、2019年度までに13%の取得率をめざすという目標に照らしたときには、まだ不十分である。要因の分析も進め、目標達成をめざすこと。

  6. いま、市の業務につく職員のうち、約3割が非正規労働者となっている。しかし、嘱託調理員、嘱託介助員、嘱託看護師、老人ホーム嘱託職員、嘱託司書などの非常勤特別職の方は、労働時間数に違いがあるだけで労務内容は正規職員と変わりがない。
    この間、勤務条件の見直しも徐々に行われているが、同一労働・同一賃金の原則を取り入れること。臨時職員等についても、さらに労働条件を引き上げること。
    また、会計年度任用職員制度が新設され、2020年度から現行の嘱託・臨時職員のほとんどが会計年度任用職員(一般職非常勤職員)へ移行することになる。制度新設にあたっては同一労働・同一賃金の考え方もふまえ、非常勤職員の適正な勤務条件を確保するよう言われている。その点に留意し、関係団体とも十分協議すること。

  7. 西宮市役所では、少なくない職員が過労死ラインを超える超過勤務となっており、健康が脅かされ、ひいては市民サービスを低下させかねない事態となっている。この間、一定の改善努力が見られるが、抜本的な改善とはなっていない。その原因の一つは、月の超過勤務の上限時間を定めていないことである。直ちに月超過勤務時間の上限を過労死ライン未満に定めるとともに、大臣告示の月45時間年間360時間になるようとりくみを強化すること。

  8. 2018年度以降、学校での盗撮や現金窃盗、市発注工事の入札情報漏えい、そして、貸し館業務での還付金請求書偽造などで職員、教職員から8人の逮捕者が出る異常事態となっている。一部の職員のこうした行為により、市に対する市民の信頼は大きく失墜している。
    改めて全職員に全体の奉仕者としての公務員の責務を自覚させる厳しい指導、徹底した研修が必要である。また、今回不適切な事務執行がみられた入札関連業務や現金授受を扱う業務については、その原因を徹底解明し、今後同様の事件を起こせない仕組みに変更改善すべきである。これはまさしく市が行うとしている内部統制のとりくみであり、早急に実施すること。

  9. 国際労働機関(ILO)の総会で2019年6月、「仕事の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」が採択された。契約上の地位にかかわらず就労する者すべてを対象に、暴力とハラスメントを法的に禁止し、加害者に対しての制裁や被害者の救済・支援、監督・調査手段の確保などが定められた。一方、日本ではセクハラ、マタハラに加えパワハラ防止を措置義務とする改定女性活躍推進法が成立しているが、パワハラ禁止規定がないなどの弱点がある。ILO条約を批准できる水準へ改正するよう国に求めるとともに、市の業務に関するすべての職場で、ハラスメントが起きないよう措置すること。

  10. 公共工事や業務委託、指定管理者による施設の維持・管理などの公共事業において、従事労働者の適正賃金など処遇の改善が課題となっている。これに対応するため、公契約条例の制定が進められており、兵庫県下では三木市、加西市、加東市等が続いている。西宮市でも公契約条例の制定に踏み出すこと。

  11. 市発注の公共工事は、市民生活の向上とともに地元中小零細企業の育成という観点から取り組まれるべきである。長期の不況の下で、特にその期待は高い。引き続き、市内の中小業者に優先して発注するよう努めること。

  12. 一定金額以下の市の修繕工事等を、競争入札参加資格のない市内業者に直接発注し、中小零細業者の育成をはかる「小規模修繕契約希望者登録制度」は2006年7月導入以来、一定の件数、金額を確保してきたが、近年は頭打ちとなっている。さらに、制度の活用を広く庁内に徹底し、総額、件数を抜本的に増やすこと。
    また、発注金額は50万円未満となっているが、消費税増税や労務単価の引き上げ、物価高騰を考慮すれば制度の趣旨に合わなくなっている。直ちに引き上げること。
    さらに150万円まで引き上げ、発注工事を抜本的に増やすこと。

  13. 市施設の改善は、それぞれの所管ごとの対応となるが、市の全施設において共通水準のもと改善すべきである。以下のことにとりくむこと。
    1. エレベーターの設置、スロープや手すりの設置など、施設のバリアフリー化をすすめること。
    2. 市施設のトイレの洋式化は、この間、本庁舎や学校等で一定の前進が見られるが、まだまだ不十分である。引き続き施設ごとに目標をさだめ、計画的にとりくむこと。また、市施設はLGBT・性的マイノリティなど多様な市民が利用可能ないわゆる「みんなのトイレ」の設置、また、温水洗浄便座の設置を検討すること。特に本庁については、早期に設置すること。
    3. 市役所前公共駐車場の駐車料金は市役所執務時間内で30分のみ無料となっているが市役所利用者には短すぎる。検討されている1時間無料を早期に実施すること。各支所等の駐車場でも同様の措置を講じること。
      なお、最近、野球観戦等で市役所前公共駐車場が混み、来庁者に不便をきたすことが増えており、早急に対策をとること。
    4. 子ども連れで市役所に来る人のために、保育士を配置した「キッズルーム」が庁舎内に設置される自治体が増えている。市でも保育所の入所申し込みなど、子連れの来庁者や議会傍聴時の利用を希望する市民も増えていることから、庁舎内に「託児施設」を設置すること。
    5. 集会施設機能のある市施設については、モニターやプロジェクターをはじめとした機器の整備、WI-FIのサービスなど、最新のマルチメディアに対応した施設整備をすすめること。

  14. 相次ぐ税制、社会保障の改悪や、消費税の増税等で、収入は減っているのに税負担等が増え、市民生活が圧迫されている。税制度が複雑であることから、税の軽減、減免制度について、周知し広報に努めること。また、税等の滞納対策が進められているが、差し押さえ等、ゆきすぎた措置によって市民の生活が脅かされることのないよう配慮すること。そのためには、文書による通知だけでなく、電話等で連絡をとる、訪問するなど、早めに実情をつかむようにすること。

  15. 固定資産税についても支払いが困難な市民が増えている。自己使用の住宅について、他自治体では就学援助金を扶助とみなし固定資産税を減免している事例がある。他自治体の状況を研究し、市でも減免制度を創設すること。
    また、都市計画税については都市整備基盤が確立していることから廃止すること。