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2020年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:環境局
2019年09月04日

  1. 地球温暖化抑止のとりくみについて
    世界各地で地球温暖化の影響とみられる局地的豪雨などの異常気象となり、日本国内でも頻発している。昨年の夏は気象庁が「災害」と表現するほどの暑さとなり、今年も各地で過去最高気温に達したところがあった。地球温暖化対策は待ったなしの課題であり、世界第5位の温室効果ガス排出国である日本が、削減の国際的責任を果たすのは当然である。
    政府は2019年6月に開催されたG20に合わせ、「パリ協定」の目標達成の「長期戦略」を作成した。しかし、「脱炭素社会」を掲げるものの、将来の技術革新に頼るとともに、すぐにとりくむべき対策や具体的目標に欠けるものとなっている。また、エネルギーミックスという位置づけによって危険な原発からの撤退までもあいまいにしている。国際社会が求める2050年までに排出二酸化炭素を80%削減する目標を堅持し、それに見合う具体的な対策を国や県、市が実行すべきである。市として次のことにとりくむこと。
    1. 地球温暖化抑止について本市は、「第二次西宮市地球温暖化対策実行計画」(2019年〜29年度)を策定し、二酸化炭素排出の少ないまちをめざしてとりくんでいる。しかし、電力自由化によって電力消費量の把握が困難になっているため、計画の達成率がわからないという大問題が新たに生じている。国にこの点の対策を求めること。
    2. 市内で最も排出量の多い市役所部門において具体的目標をかかげ、こだわって目標を実現すること。
    3. 市内の事業者にも市の計画やとりくみを説明し、省エネルギー計画の策定と実行を求めること。
    4. 店舗の看板や店内照明および自動販売機については、過剰な電光の使用を抑制するようひきつづき指導すること。また、市庁舎内の自動販売機を減らすこと。
    5. 市も節電対策に取り組んでいるがいっそうとりくみを強め、さらに、民間事業者等へも具体的な節電意識の向上への啓発を強化すること。

  2. 原発事故でひとたび放射性物質が大量に放出されると、その被害は空間的にも時間的にも社会的にも限定なしに広がり続ける。福島第一原発事故から8年過ぎたが、今なお避難している人たちが3万人近くいることや、汚染水がたまり続けていることにもそのことが示されている。また、増え続ける使用済み核燃料を安全に処分する技術もいまだ確立されていない。さらに、福島原発事故後の災害などの安全対策費の増大によって、原発がエネルギーとして安いものでなかったことも明らかとなった。国は、国民の「原発ゼロ」の圧倒的世論を真摯に、かつ重く受け止め、脱原発をめざし、自然エネルギーへと転換すべきである。市として次のことにとりくむこと。
    1. 原発ゼロ、原発再稼働反対の意思表示を国に対しはっきり行うこと。
    2. 市においても再生可能エネルギーへの転換を促進するために、特に太陽光パネル発電をさらに増やすように市民や事業者に啓発を行うこと。
    3. 市立中央体育館等、今後新増設される公共施設に太陽光パネルや蓄電池システムなどを大胆に計画し実行すること。
    4. 個人住宅用太陽光発電設置や蓄電池システムなどの補助制度の利用が促進されているが、さらに設置を増やすため補助金の増額を進めること。また、全国的に市民共同発電なども広がっていることからその研究も行い、立ち上げの時には市としてバックアップできる準備をしておくこと。
    5. 国や県に太陽光パネル設置に対する補助制度を復活させるよう求めること。また、自然再生エネルギーの買い取り価格が年々引き下げられているが、2012年水準に戻すよう国が電力会社などに求めるよう、市として積極的に働きかけること。
    6. バリアフリー法で共有部分にも補助がでることになったマンションにも太陽光発電設置の助成を行い、あわせて設置住宅等への固定資産税の減免をはかること。
    7. 民間企業にも太陽光発電の積極的導入を働きかけること。

  3. 環境学習サポートセンター、甲子園浜環境センター、甲山自然センターなどそれぞれが、環境学習の場としての役割を果たしているが、総合的に地球温暖化問題などの環境問題が学習できる場も必要である。佐用町にあるひょうご環境体験館などを参考に、県とも協議のうえ、学習の場の建設を検討すること。

  4. 神戸製鋼所が、灘区にある石炭火力発電所に新たに2基の増設を進めている。市は立地自治体ではなく意見を述べる立場にないと消極的であるが、稼働すれば温室効果ガスの大幅な排出となるだけでなく、PM2.5による被害の可能性もある。老松町をはじめ西宮市全域の大気にも影響を及ぼすことが予測されることから、市民の健康や環境を守るためにも市として増設に反対すること。

  5. 国は「空き家対策特別措置法」を制定し、市も「西宮市空き家等対策計画」を策定している。市内では空き家は増えてきているが特定空き家はないと聞いている。状況を十分把握した上で、国の法律で対応できないケースが予想されるようであれば、条例化の検討も行なうこと。

  6. 国は、施設の集約化による施設建設費、運営費等の経費削減、ごみ処理施設及び発電の効率化に伴う環境負荷の低減等、様々な効果が得られるとして、市町村に対してごみ処理の広域化を求めている。市は、西部総合処理センターの破砕選別施設及び焼却施設が、1997年に稼働してから21年以上が経過することから、現在、このことも含めて芦屋市とごみ処理の広域化の可能性について協議を進めている。
    特に災害等を考慮すると各自治体が自前の焼却施設を確保していることが望ましい。広域化はやめること。

  7. ごみ問題について以下のことにとりくむこと。
    1. ごみの発生を生産段階から削減するためには、ごみ処理を自治体と住民に負担を押しつける現行制度について、OECDが日本政府に勧告している「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要であり、このことを引き続き国に求めること。
    2. ゴミ収集の業者委託は、市内7割以上へと拡大してきた。災害時の対応や、民間への適切な指導上の必要があることからも、これ以上の民間委託は行わないこと。
    3. 家庭用ゴミ収集については、減量化のためと称して有料化を求める意見が議会の一部にあるが、絶対に行わないこと。
    4. 粗大ごみや家電4製品等の不法投棄が多い。特に、家電4製品の不法投棄を誘発する「家電リサイクル法」について、リサイクル料金等の製品価格への内部化を義務づけるよう国に求めること。また、引き続き監視カメラの設置や不法投棄のパトロールを強めること。
    5. その他プラスチック製容器包装の分別収集については、当初の目標値から大幅に下回っている。まずは市民の意識向上のとりくみが必要である。そのためには、リサイクルの重要性とともに、詳細な分別方法等を周知し、回収の増加をはかること。
    6. 西宮市のビン類のリサイクル率は中核市の中でも著しく低くなっている。今後の破砕選別施設の更新にあわせ、色ごとなどの細かな分別収集を行なうこと。また、その他紙類などの分別収集も早期に実施すること。
    7. ごみ減量・再資源化を促進するうえでカギを握るのは事業系一般廃棄物や産業廃棄物である。この分野での再資源化を強化すること。
    8. ゴミを荒らすカラス対策については他市の事例や市民の意見をよく聞いて実効性のある対策を検討すること。
    9. 海洋プラスチック問題は国際的に大きな問題となっている。その対策の一つであるレジ袋の削減に有効であるとして大津市では、レジ袋有料化条例を制定する方向となっている。こうした動きを参考に、本市でも条例化を検討すること。

  8. 市は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」を目的としていた大阪国際空港周辺都市対策協議会に属し、環境・安全対策を求めてきたが、同協議会はジェット機の増便を求めるなど、利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調し、当初の目的から大きく変容しつつある。大阪空港廃止を主張する大阪市は同協議会から脱退した。市も脱退すること。

  9. アスベスト(石綿)は、人体に重大な健康被害を与えるものだけに、一本たりとも飛散させないという自治体の姿勢が求められ、対策は万全を期さなければならない。夙川学院短期大学解体時のアスベスト飛散について、業者と市の対応に不備があったと住民が訴訟を起こしたが、判決では市の対応について「妥当とは言い難い」と指摘している。2028年にはアスベスト含有の建材を使った建物の解体のピークを迎えることから、担当部署の人数を増やし十分に監視監督ができるような体制を確立すること。また、国に対してそのために必要な財政措置を求めること。

  10. 快適な市民生活を確保するために、以下のことを実施すること。
    1. 24時間営業の店舗や深夜営業のカラオケ店、また、焼肉等のにおいの強い飲食店など、騒音、臭気、光などの苦情が多い。「快適な市民生活の確保に関する条例」を実効ある内容に抜本的改正を行い、市民の要望に応えられるようにすること。
    2. 同条例において市内公共の場所における歩きたばこ(自転車運転中の喫煙を含む)を規制しているが、依然として歩きたばこは多い。喫煙マナー向上に向け、さらに啓発を進めること。