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2020年度西宮市当初予算編成に対する申し入れ書:教育委員会
2019年09月04日

  1. 子どもの権利を侵害する様々な諸問題が深刻である。しかし、一方で、子どもの権利を守り発展させるとりくみが少しずつではあるが、重要な進展がみられる。たとえば、2016年(平成28年)に改定された児童福祉法において、子どもを「保護対象」から「権利の主体」へと法の理念を大きく変えたことも、その一つである。そして、西宮市が策定した「西宮市子ども・子育て支援プラン」においても、その児童福祉法の改定された理念に注目している。この立場をさらに前進させ、国連が子どもの権利条約を具現化するために提唱している「子どもにやさしいまちづくり」を推進することを目標に、「子どもの権利に関する条例」の制定を、西宮市でも検討すること。

  2. 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」によって、教育委員会の制度は大きくかえられた。その後も教育行政に関する教育委員会の権限は変わらず保たれているとのことだが、その重要性を十分認識し、今後も市行政の介入を許さないこと。

  3. 安心して過ごせる居場所であるべき学校において、国や財界に役立つ「人材」づくりをすすめ、「キチンとチャンと」と子どもを縛り教職員の自由を奪い統制する動きが強まっている。憲法は、教育内容への国の関与をできる限り抑制することを求め、学校・教員の自由と自主性を保障している。教育の自由と自主性を守るため、以下のことについて努力すること。
    1. “生まれつき茶色い髪の毛なのに黒く染めなければならない”、“下着の色が指定されている”など、守るべき理由のわからない理不尽な校則である「ブラック校則」が全国的に大きな問題となっている。本市においても「ブラック校則」が施行されていないか調査し、もし施行されていれば是正させること。そして今後「ブラック校則」が施行されないよう全市的に指導していくこと。
    2. 「君が代」の斉唱について、各地で強制され、大きな声で歌うよう強要することが後を絶たない。決して強制することのないよう引き続き指導すること。
    3. 新中学校学習指導要領の教科「保健体育」の武道で「銃剣道」が加えられたが、「銃剣道」は旧日本軍が接近戦(白兵戦)を想定した戦技として用いられた格闘術である。絶対に採用しないこと。
    4. 歴史教育に対して、日本の侵略戦争を美化する偏狭な立場からの執拗な攻撃が行われている。教科書採択にあたっては、そのような不当な圧力によって選考がゆがめられることのないように、引き続き教員・保護者・住民等の意見をきちんと踏まえること。
    5. 道徳教育が2018年から小学校で、2019年から中学校で教科化された。文科省は学習指導要領解説の道徳編で「考え議論する道徳」と述べ、「一つの道徳的価値を教え込むようなことはしてはいけない」という趣旨の説明を加えているが、学習指導要領と検定教科書そのものからは「考え議論する」という観点は一切読み取ることができない。
      道徳の授業において、内心の自由を侵害することのないよう教員の自由裁量を保障するとともに、「一つの道徳的価値を教え込まない」ということを徹底すること。

  4. 2020年度より新学習指導要領が本格実施となり、英語教育が小学3年生から「必修化」、小学5年生から「教科化」される。また、プログラミング教育も小学校から順次導入される。このことに関して、以下の点に十分留意すること。
    1. 英語教育は2年間の移行期間があったものの、現場の教職員の不安を拭いさることはできていない。また本格実施されることによって、教職員・児童への過度な負担となることが予想される。これらの不安や負担を軽減していくために、現場からの声を十分に聞き取り、ALTを増やすなど丁寧な支援を行っていくこと。
    2. プログラミング教育が新たに導入されるにあたって、現場の混乱が予想される。教職員の声を聞きとったり、児童の反応をよく観察したりして、適切な教育が行われるよう丁寧な支援を行うこと。
    3. プログラミング教育が導入されることによって、総合的な学習の時間や生活の 時間などがプログラミングに充てられる可能性がある。子どもたちの貴重な体験学習等の時間を削ってまで行うような“過度”な実施とならないよう、十分に注視しておくこと。

  5. 平和教育を重視し、平和の尊さとともに、日本の侵略戦争と植民地支配の歴史的な事実や反省を、児童・生徒に伝えること。公教育のなかで侵略戦争を美化・肯定するようなことは決して許さないこと。また、核兵器禁止条約が採択され、各国政府の署名が広がり批准も広がっている。このような情勢を踏まえ、被爆の実相を語り継ぎ、核兵器の非人道性を児童・生徒にも知らせるなど、平和教育をさらに充実させること。

  6. 個人の尊厳、人権の尊重の問題は、新たな段階に発展している。人権に関する教育についても社会的発展をふまえすすめること。
    1. 人権に関する教育については、マイノリティ(少数者)の人が肩身の狭い思いをすることのない、ありのままの自分を肯定することができる社会をめざすということを明確にすること。そしてたとえば性的マイノリティ(LGBT)についても、その社会的認知の発展にふさわしい教育にとりくむこと。市内のある中学校では2019年1月から男子でもスカートの制服を、女子でもズボンの制服を選べるようになったが、このようなとりくみを全市に拡げること。
    2. 2009年4月に策定された「西宮市人権教育・啓発に関する基本計画」は、同和問題を含む8つの人権課題にとりくむとしているが、同和問題は終結すべきものであり、8つの人権課題から同和問題を外すこと。また、あわせて“西宮市人権・同和教育協議会”を廃止すること。

  7. 昨年度、本市において教員による盗撮事件が相次いだが、学校現場でのセクハラやパワハラ、また、体罰・暴力は、教員と生徒、あるいは生徒と生徒の間や教員と教員の間など、いかなる関係性においても絶対に許さないこと。加えて、万が一不祥事が起きてしまった際には、その問題を隠ぺいすることなく明らかにし、適切な対応をすること。

  8. 全国で少人数学級がひろがっているが、兵庫県・大阪府・広島県・熊本県の4県のみが未だに中学1年で「35人学級」を実施していない。「35人学級」を小・中学校全学年で実現することを国と県に求め続けること。さらに、30人学級の実現に向け、必要な正規教職員の確保や施設整備に対しても、国や県に必要な対応を求めること。実現するまでの間、市独自で少人数学級を実施すること。

  9. いじめや不登校対応、子どもの貧困対応、児童虐待早期発見など、学校にはマンパワーの充実と関係各機関との連携強化、また、そのための体制強化が強く求められる。次のことにとりくむこと。
    1. 2016年度より、本市の小中学校の不登校数が急増している。一人ひとりの子どもに応じた最善の対応ができるよう、体制を整えること。
    2. スクールカウンセラーは、県より市内全中学校に配置されているものの、小学校は41校中13校にしか配置されていない。残りの28校には市から3名のスクールカウンセラーを配置しているが、不十分である。また、スクールソーシャルワーカーは2019年度より5名に拡充されたが、こちらもまだまだ少ない。スクールカウンセラーの全校配置やスクールソーシャルワーカーの大幅増員、また、養護教諭の複数配置など、必要な人員増を国・県に強く求めること。
    3. 横浜市や川崎市、相模原市などでは、ベテランの教諭が学級担任を持たずに専任(児童支援専任教諭)で児童指導や支援を行い成果を上げている。本市では、県より児童生徒支援教員・生徒指導担当教員・不登校担当教員が配置されているが十分ではない。県に拡充を求めること。また、2018年度より市独自のとりくみとして小学校2校に生徒指導に係る非常勤講師を配置しているが、よりいっそう強化・拡充していくこと。
    4. こども未来センター・こども支援局・県こども家庭センターなどとの連携をいっそう強化すること。

  10. 教職員の「超多忙化」・「非正規化」を解決するために、教職員定数の改善を国に求めるとともに、以下の項目にとりくむこと。
    1. 2019年4月現在の本定欠教員が小学校で10.0%、中学校で11.4%となっており増加傾向にある。定員についてはすべて正規教員で確保するよう、県に強力に求めること。また、非常勤講師の加配、産休代替教員の確保についても、適正に行われるよう要望すること。
    2. 教員の負担軽減や部活動の質的向上を図るためとして、2018年度からモデル事業として中学校の部活動指導員が3名配置され、2019年度には10名に拡充されたが、早期に全校配置をめざすこと。同時に、指導員による高圧的指導などの問題が起きないよう研修等を実施すること。
    3. 市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手などを確保すること。
    4. 教員の更衣室・休養室(特に妊産婦教員の休養室)の設置がほとんど進んでいない。労働安全衛生基準に基づいて、確実に確保すること。
    5. 教員免許更新制や教員給与の格差付け、また、指導力が不足している不適格教員を学校から切り離して指導改善研修を受けさせ、研修後も指導力が改善されない場合は免職にすることができる人事管理制度については、国に廃止を求めること。
    6. メンタルヘルスケアを必要とする教員に対するケアを充実させること。
    7. 臨時教員や非常勤講師は有期雇用で「官製ワーキングプア」と言われるような実態がある。このような非正規教員の処遇を大幅に引き上げるよう、引き続き国・県に強く求めること。

  11. 職員室の電話回線が少ないため、さまざまな対応で、電話の使用が急がれるにもかかわらず、電話が空くのを待たざるを得ない事態が生じている。2019年4月より、小学校5校・中学校5校に携帯電話が配備されているが、携帯電話で不都合がないか検証しつつ、各学校の要望に沿った対応をすること。

  12. 2019年度の学校管理事務経費(学校配分予算)は、一人当たり換算で小学校15,849円、中学校24,542円であり、震災前の1995年度(小学校27,306円、中学校は35,681円)時に遠く及ばない。教育予算を増額し、学校配分予算も大幅に増額すること。

  13. 特別支援教育について、次のことにとりくむこと。
    1. こども未来センターと連携した専門家チームの派遣や、市独自の特別支援教育支援員の全校配置、また、養護学校での介助員・看護師の配置など努力がなされているが、さらに充実を図ること。また、引き続き国・県に財政措置などの要望をすること。
    2. 配慮の必要な児童・生徒を介助するなど補佐する役割を持つ学校協力員については、2019年度から1時間あたりの謝礼が700円から910円に増額されているが、ボランティアという立場は変わっていない。一方で、2019年度より介助が必要な児童生徒が複数人いる学校には介助支援員が臨時職員として配置されるようになった。この際、学校協力員も介助支援員として採用し、介助が必要な児童生徒が1人からでも各学校に配置するよう拡充していくこと。
    3. 多様な様子を示し、程度もさまざまな発達障がいの子どもが増えている。引き続き教員加配を県に求めるとともに、適切な教育・支援が行えるよう全教職員向け、専門職向けの各種研修を強めること。

  14. 学力テストについて、次のように対応すること。
    1. 全国学力テストは子どもに過度な競争を強いるだけでなく、学校間の序列を生むものである。参加しないこと。
    2. 市が実施しているリサーチプラン学力テストは、義務教育9年間における基礎学力の定着と向上の観点、児童生徒一人ひとりの学力を保障する観点から実施されている。しかし、児童生徒の学力動向については教員が日常的に把握する努力を行っているため中止すること。

  15. 加熱しすぎる中学校の運動部活動が社会問題になって久しい。成長期にある中学生に無理な練習を課すことはスポーツ障害の原因になっている。中学校の部活動のあり方について、現場の意見や実態をよく聞き、生徒の成長・健康を第一に考えた活動を行うこと。

  16. 県の一斉事業であるトライやる・ウィークは、各中学校で受け入れ先の事業所を探さなければならないことや、地域によっては受け入れ先の確保に困難が生じるなど、関係者の負担が大きい。また、実施先で宣伝チラシの配布をさせられるなど、労働の肩代わりという問題も生じている。さらに、塩瀬中学校では父母の抗議があったにもかかわらず連続して自衛隊を体験先とするなど、多くの問題が噴出している。現場の意見を十分聞き取った上で、全校一律・一斉で実施するのではなく、各学校で実施しないことも含め、柔軟に対応できるよう改善すること。

  17. 「自然学校」は、教職員の多大な負担となっている。また、指導員の不祥事など、教育現場ではあってはならない重大問題が生じている。「自然学校」のあり方については、ここで改めて十分検証し、実施日数等を各学校の判断で調整できるよう見直していくこと。

  18. 学校園施設等の整備、改修について、現場の要求に対し速やかに応えること。
    1. 学校からの要望として出されている、雨漏りや床板のはがれ・窓枠やドアの立てつけが悪い等、修繕要望には直ちにこたえること。特に、人身事故につながりかねないもの・建築基準法に抵触するものは、緊急に対応し解決すること。そのために、各学校の修繕要望を把握し、予算を増額すること。なお、学校配分予算を修繕費に充てさせないこと。
    2. 学校施設の老朽化対策は、大幅に遅れている。それは、政府が大規模開発事業を優先してきたために起きていることである。政府はそうした姿勢を変えないまま、「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」を公表し、西宮市においてもその手引きに沿って「西宮市学校施設長寿命化計画」が策定され、各学校を80年〜100年長寿命化させる無謀な内容となっている。学校施設の老朽化対策予算の大幅な引き上げを政府に要求するとともに、本来建て替えが必要な施設は、建て替え計画を策定すること。
    3. 校舎新増改築に際して当然アスベスト含有が予測されるため、引き続き万全な対策をとること。
    4. トイレや更衣室において、性の多様性(LGBT)に対する合理的配慮を施した施設の改善を検討し、さらに進めること。
    5. 水着や体育着の着替えのための更衣室がない学校が、小学校で16校・中学校で12校ある。早急に改善を図ること。
    6. 学校のトイレの洋式化率は、2018年度末現在で小学校50.2%・中学校33.6%である。洋式化を急ぐこと。また、廊下からトイレの奥まで見える状態を改善すること。
    7. 委託業者によるトイレ清掃は効果も大きいことから、全体として回数を増やすこと。また、危険を伴う窓ガラス等の清掃については、児童生徒による清掃をやめ、委託業者による清掃を実施すること。

  19. 近年、猛暑は災害と言われるほどになっている。なによりも児童生徒の命と健康を守ることを優先し、次の対策を急ぐこと。
    1. 道路や鉄道、航空機などの騒音対策として設置された空調の老朽化が進んでいる。早期に計画を立て、エアコンを整備すること。
    2. 災害時の避難所となる体育館へのエアコン整備を進めること。

  20. 学校図書教育を充実させるために、臨時職員が配置されるようになったが、早期に専任の司書教諭を全校に配置すること。

  21. 「直営自校方式」で実施されている西宮市の小・中学校での学校給食は、食育の観点からも子どもたちの健康と成長を守る上でも大きな役割を果たし、保護者からも喜ばれている。以下のことにとりくむこと。
    1. 将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。
    2. 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら嘱託・新嘱託・臨時等で勤務時間の差とともに賃金格差がある。早急に関係団体と協議し、整理改善すること。
    3. 週2.5回の「米飯給食」を週3回以上にすることをめざすとしているが、その実現のためにも自校炊飯できるよう施設整備を進めること。とくに、新増改築校においてはその前提で整備すること。
    4. 食物アレルギーのある子どもが増加している。献立作成からアレルゲン情報の管理までを一括したシステムが2017年9月より全校で運用されているが、アレルギー対応をさらに充実させていくためにも、また、食育をより一層推進させていくためにも、栄養教諭を全校に配置するよう引き続き国・県に求めること。
    5. 夏場の調理室では40度を超えることもあると聞いている。調理員の健康面でも食材等の管理の面でも、空調の整備が必要である。順次進められてはいるが、早急に整備すること。
    6. 給食費の無料化に踏み切る自治体が広がっており、2017年度の文科省の調査によれば4.4%の自治体で無料化を実施している。給食は食育であり、よって教育費の無償化という教育基本法や憲法の精神に立ち、無料化を検討すること。

  22. 無秩序な開発により学校施設が不足する事態が生じ、それに対応するために「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を策定したが、「教育環境保全」に十分な効果を発揮しているとはいえない。仮設教室での対応が可能であれば規制の対象外としていることや、児童数推計の甘さなどに、その原因がある。現に瓦木中学校などで校区変更をせざるを得なくなった。規制強化の方向で要綱の内容を抜本的に見直し、条例化を検討すること。

  23. 本市には過大規模校が複数ある。過大規模校の問題点を洗い出し、それを解決するために研究すること。

  24. 2020年4月より「西宮市立総合教育センター付属西宮浜義務教育学校」が開校する。開校にあたって、以下の点を要望する。
    1. 中1ギャップは科学的根拠がないに等しいが、もしあるとすれば、その解消は4−3−2制という小と中を繋げる学年区分の操作によって行うのではなく、少人数学級の実現など、きめ細かい指導の実施によって行うべきである。実際に、4−3−2制にしても効果が見えにくいためか、採用する義務教育学校の比率は低下している。また、義務教育学校の新たな問題として「6年生問題」(小学校の最高学年としてリーダーシップを発揮し大きく成長する時期の発達が保障されないという問題)が指摘されている。小学生高学年の自覚を促し、よりよい成長を遂げさせるためにも4−3−2制はやめ、6−3制を維持すること。
    2. 5、6年生の授業時間を50分にしないこと。
    3. 5、6年生に教科担任制を導入したことによって、担任が学級をコントロールできなくなったり、教師が多忙化する問題が先行事例から指摘されている。過度に教科担任制を拡げないこと。
    4. 教師や児童・生徒が委縮してしまうような指導主事による過度な観察・介入を行わないこと。
    5. 全市から入学可能となるため、不登校児童・生徒が多数入学してくることが予想される。それらの児童・生徒に対する支援を充実させること。

  25. 「西宮市子ども・子育て支援プラン」が策定されたが、教育委員会としても、子どもの貧困対策についてこども支援局との連携を強め、先進例も参考にしながらそのとりくみを強化すること。例えば、全児童生徒対象の学習支援や、朝食提供・医療受診促進などの生活支援を積極的に進めること。

  26. 憲法26条にもとづいて教育の機会均等を保障するため、以下のことを実施すること。
    1. 義務教育は無償が原則であるにもかかわらず、その対象は授業料や教科書などに限られている。制服代・ドリル代・修学旅行積み立て・クラブ活動経費など保護者負担の解消を国に求めること。
    2. 就学奨励金について、生活保護基準の切り捨てに連動して対象者を狭めないこと。あわせて、対象を増やし、支給額を引き上げ利用しやすくすること。申請手続きについては保護者が希望する場合、直接教育委員会でも行なえるようにすること。
    3. 国は2014年度から高校授業料無償制に所得制限を導入し、就学支援金制度とした。教育予算増による「高校授業料無償化」を復活するよう強く国に求めること。
    4. すでに実施されている「高校生等奨学給付金」制度の拡充を国・県に求めるとともに、市独自の奨学金制度の拡充に努めること。
    5. 「大学等における就学の支援に関する法律」が2019年5月に成立し、2020年4月から施行されるが、「減免の対象は学生の1割」であるなど、その内容は極めて小規模なもので、あまりにも貧弱である。多くの学生と保護者、国民の切実な願いにこたえる制度に抜本的に改革するよう国に強く求めること。
    6. 世界一高い大学・専門学校などの学費について、無償化を国に求めること。

  27. 学校等で行われている健康診断において、心臓検診・腎臓検診の三次検診は、乳幼児医療・こども医療費等の医療費助成が適用されるが、所得制限を超える世帯では保護者が負担せざるを得ない。公費負担とすること。

  28. 2018年に「西宮市立幼稚園のあり方?」が示され、市立幼稚園13園が維持されることになったが、要望の多い「3年保育」を早急に実施すること。また、延長保育(おむすび広場事業)は2019年度より全園有料(1回300円)で実施されているが、無料化を検討すること。

  29. 県教育委員会は、高校学区を2015年度入学者から5学区に統合・拡大し、これにより西宮市は阪神・丹波学区に統合された。学区の広域化によって中学における進路指導の困難や、遠距離通学による経済的・身体的負担の増大など、諸問題があると聞いている。市教委自身が課題等を掌握し、必要な対応を行うこと。

  30. 2019年の参議院選挙は、投票率が48.8%と、戦後2番目に低い憂うべき事態となった。18歳選挙権が2016年の参議院選挙から開始されているが、学校現場での政治教育や生徒の政治活動を規制するような動きがある。投票率を上げていくためにも、規制するのではなく、主権者としての権利を保障し、適切な教育を具体的に行っていくこと。

  31. 図書館について、以下のことにとりくむこと。
    1. 正規司書職員を増員すること。
    2. 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間の延長についても、2015年度より一定の改善が図られたが、すでに実施している期間(現在4月から7月)を延長することや、閉館時間を繰り下げる図書館を拡大するなど、開館時間を延長すること。とくに、北口図書館での閉館時間を午後9時までとし、開館時間を延長すること。
    3. 地域の人たちにとって図書館が身近な存在となるよう地域の要望をよく聞き取り、必要な地域には図書館分室を増設するなど、図書館の整備を進めること。
    4. マイナンバーカードで図書館利用を可能としているが、頻繁に携帯するため紛失の可能性が高い。この際、マイナンバーカードでの図書館利用は中止すること。

  32. 公民館については、以下のことを留意し、改善を図ること。
    1. 公民館は、社会教育施設としての重要な役割がある。2015年度に公共施設適正配置審議会より、公民館・市民館・共同利用施設のありかたや配置について答申があったが、西宮市の公民館の歴史的役割・経過も踏まえ、安易な統廃合は行わないこと。
    2. 公民館の使用区分が2016年の9月から変更され、3年を経た。アンケートを実施するなど利用者の意見を集約し、より利用しやすいように改善を図ること。
    3. 各公民館の視聴覚設備については最新のマルチメディアに対応できるものを配置・整備すること。
    4. 市内各公民館活動の登録グループが日ごろの活動を発表する市民文化祭は、現在、文化振興財団への委託事業となっているが、公民館(社会教育部)が直接行うべきである。検討すること。
    5. 2020年度より、「受益者負担」という考えのもと利用料が増額されることになっているが、公民館の利用において「受益者負担」という考え方はそぐわない。この考え方を改め、利用料は値上げせず、社会教育施設としての公民館の本来の役割を果たすよう努めていくこと。

  33. 高塚山を削って4haにも及ぶ大規模な宅地造成の工事がすすんでいる。そこにある高塚古墳の保存については、開発事業地に計画されている公園内にその一部を設置したうえ、説明板を付設する予定とのことだが、周辺住民らの意見も踏まえ、確実に実施すること。